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小児・AYA世代の腫瘍に対する陽子線治療診療ガイドライン 2019年版
小児やAYA世代のがんに対する陽子線治療の適用がわかる1冊!
編 集 | 日本放射線腫瘍学会 / 日本小児血液・がん学会 |
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定 価 | 3,080円 (2,800円+税) |
発行日 | 2019/04/01 |
ISBN | 978-4-307-07111-6 |
B5判・92頁・図数:19枚
在庫状況 | あり |
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2016年より、陽子線治療が小児がんに対して保険収載されました。陽子線治療は、小児とAYA世代(10代後半から30代)への有害事象を低減させることが期待されています。前半では総論として小児・AYA世代のがんと陽子線治療の一般的事項について記載し、線量分布、二次がん、費用対効果についてのシステマティックレビューを掲載。後半では、脳腫瘍を含む小児の代表的固形がんを取り上げました。
『小児・AYA 世代の腫瘍に対する陽子線治療診療ガイドライン』発刊に寄せて
『小児・AYA 世代の腫瘍に対する陽子線治療診療ガイドライン』発刊にあたって
Clinical questions・推奨一覧
ガイドラインの基本的事項
総論I
小児・AYA(Adolescent and young adult)世代のがんと陽子線治療
総論II
陽子線治療を用いた小児がん治療におけるシステマティックレビュー(SR)
SR-1:陽子線治療の線量分布に対する医学物理学的研究のシステマティックレビュー
SR-1.1:全脳全脊髄照射(craniospinal irradiation:CSI)
SR-1.2:頭蓋内局所照射
SR-1.3:頭頸部、体幹部照射
SR-2:陽子線治療による二次がん発症に関するシステマティックレビュー
SR-3:陽子線治療の費用対効果に関するシステマティックレビュー
各論
CQ1 髄芽腫に対する術後放射線治療として陽子線治療は推奨されるか?
CQ2 上衣腫に対する術後放射線治療として陽子線治療は推奨されるか?
CQ3 切除不能および術後に遺残した頭蓋咽頭腫に対して陽子線治療は推奨されるか?
CQ4 頭蓋内胚細胞腫瘍に対する全脳室照射、全脳全脊髄照射において陽子線治療は推奨されるか?
CQ5 横紋筋肉腫に対して陽子線治療は推奨されるか?
CQ6 神経芽腫の原発巣に対する放射線治療として陽子線治療は推奨されるか?
CQ7 切除不能または不完全切除された小児骨肉腫に対して陽子線治療は推奨されるか?
CQ8 ユーイング肉腫ファミリー腫瘍(Ewing sarcoma family of tumors:ESFT)に対して陽子線治療は推奨されるか?
CQ9 切除不能または不完全切除された脊索腫、軟骨肉腫に対して陽子線治療は推奨されるか?
略語集
『小児・AYA 世代の腫瘍に対する陽子線治療診療ガイドライン』発刊にあたって
Clinical questions・推奨一覧
ガイドラインの基本的事項
総論I
小児・AYA(Adolescent and young adult)世代のがんと陽子線治療
総論II
陽子線治療を用いた小児がん治療におけるシステマティックレビュー(SR)
SR-1:陽子線治療の線量分布に対する医学物理学的研究のシステマティックレビュー
SR-1.1:全脳全脊髄照射(craniospinal irradiation:CSI)
SR-1.2:頭蓋内局所照射
SR-1.3:頭頸部、体幹部照射
SR-2:陽子線治療による二次がん発症に関するシステマティックレビュー
SR-3:陽子線治療の費用対効果に関するシステマティックレビュー
各論
CQ1 髄芽腫に対する術後放射線治療として陽子線治療は推奨されるか?
CQ2 上衣腫に対する術後放射線治療として陽子線治療は推奨されるか?
CQ3 切除不能および術後に遺残した頭蓋咽頭腫に対して陽子線治療は推奨されるか?
CQ4 頭蓋内胚細胞腫瘍に対する全脳室照射、全脳全脊髄照射において陽子線治療は推奨されるか?
CQ5 横紋筋肉腫に対して陽子線治療は推奨されるか?
CQ6 神経芽腫の原発巣に対する放射線治療として陽子線治療は推奨されるか?
CQ7 切除不能または不完全切除された小児骨肉腫に対して陽子線治療は推奨されるか?
CQ8 ユーイング肉腫ファミリー腫瘍(Ewing sarcoma family of tumors:ESFT)に対して陽子線治療は推奨されるか?
CQ9 切除不能または不完全切除された脊索腫、軟骨肉腫に対して陽子線治療は推奨されるか?
略語集
序
現在のがん治療は、外科療法、放射線療法、化学療法が3つの柱であると考えられています。放射線治療は、外科治療と並ぶ重要な局所療法であり、成人の腫瘍では多くの疾患において標準的治療となっています。一方、小児がんは稀少疾患でありながら、三大治療を適確に組み合わせた集学的治療により治療成績が向上してきました。しかし、小児には多種・多様の腫瘍が発症するため、専門医でさえ放射線治療の方針決定には難渋することも多いのが現状です。また最近では、小児がんの治療成績の向上とともに、成長、知能、内分泌機能への影響や、二次がんなどの放射線治療にともなう晩期有害事象が注目される時代となってきております。
さて、平成28年4月から、新しい放射線治療の1つである陽子線治療が、20歳未満の小児がんに対して日本で初めて保険適用となりました。つまり、日本では成人のがんに先行して小児への利用が認められたということになります。陽子線治療は、その物理的特性から、正常組織への線量を減らすことで小児への有害事象が低減することが期待されており、欧米諸国でも小児に対して近年利用されてきた方法です。しかし、稀少疾患に対して新しい放射線治療が適応となったことで、本領域について専門の医療者は限られており、広く小児がんに対する陽子線治療の特徴について科学的に集めたデータを、医療者だけでなく国民に対してわかりやすく提示することが必要であると考えられます。
このような背景の中で、今回『小児・AYA世代の腫瘍に対する陽子線治療診療ガイドライン』を発刊することは、まさにタイムリーな企画であったと考えております。稀少疾患のガイドライン作成には困難な面が多かったと思われますが、多様化する医療の中で適切な診療の提供のために、今後大いに役立つものと考えております。
最後に、櫻井英幸委員長をはじめとするガイドライン作成にご尽力頂いた諸先生方に深い感謝の意を申し上げるとともに、本ガイドラインが小児・AYA世代の腫瘍の診療の進歩に大きく貢献することを祈念し、序文のことばとさせていただきます。
平成31年3月
公益社団法人日本放射線腫瘍学会理事長
茂松 直之
『小児・AYA世代の腫瘍に対する陽子線治療診療ガイドライン』発刊に寄せて
今から20年程前、米国横紋筋肉腫治療研究グループIntergroup RhabdomyosarcomaStudy Group(IRSG)の最新臨床試験(IRS-?)のフルプロトコールを初めて手にした時、その内容の膨大さと詳細さ、緻密さに目を見張ったものでした。なかでも本グループの放射線治療担当医たちの作成したリスク群別・発生部位別放射線治療チャートの緻密さには感銘さえ覚えたものです。
放射線治療は、肉腫をはじめとする小児がんの集学的治療において、外科手術、化学療法と連動し、その治療成績の改善に大きく貢献してきました。原発部位や所属リンパ節・遠隔転移の有無に応じて、細かに規定された照射野や照射量、またその施行のタイミングと併用する全身化学療法の組み合わせなど、複雑ではあるものの洗練された試験治療計画は、成長過程にあり、治癒後にも長い人生のある患児に対して、いかに最小限の副作用で最大限の効果を提供できるかを考え抜いた放射線治療医たちの葛藤の証しであると感じました。
病巣がたとえ患者の身体の深部にあっても、他の放射線治療に優るとも劣らない効果と副作用の圧倒的な軽減が図れる陽子線治療の恩恵を最も受けるのは、小児がん患児と考えられます。その効果の検証は今後も数十年にわたり、国際的に、科学的に行っていかねばなりませんが、患児とその保護者が放射線治療の選択肢として陽子線をもつ現代においては、医療者はその適応とメリットとデメリットについても熟知しておかねばなりません。
このため、日本小児血液・がん学会は、患児およびその保護者に適切な情報を提供し、その意志決定を支援するため、日本放射線腫瘍学会が世界に先駆け取り組んだ『小児・AYA世代の腫瘍に対する陽子線治療診療ガイドライン』完成に全面的に協力いたしました。
櫻井英幸委員長をはじめ、ガイドライン作成に取り組まれた諸先生方に敬意を表するとともに、本ガイドラインの完成が多くの小児・AYA世代の患者とその家族にとって福音となることを祈念し、記念すべき本ガイドラインの完成をお祝い申し上げます。
平成31年3月
一般社団法人日本小児血液・がん学会理事長
細井 創
『小児・AYA世代の腫瘍に対する陽子線治療診療ガイドライン』発刊にあたって
日本放射線腫瘍学会は、国内の陽子線治療の評価を行うため、小児がんの陽子線治療に対する実施状況を全国的に集約し、平成27年秋に先進医療会議に対して報告した。しかし、この結果と比較するための標準治療の情報を、国内で十分に集めることができなかったため、本領域に関するシステマティックレビューを外部委員の評価を受けつつ実施し,合わせて報告することとなった。この結果、平成28年度診療報酬改定において、小児腫瘍に対する陽子線治療が保険収載されたわけであるが、「本作業が厚生労働省の資料として利用されるだけでなく、広く医療者や国民に情報を届けるべきである」という日本放射線腫瘍学会の西村恭昌 前理事長のご意見を受け、日本放射線腫瘍学会・粒子線治療委員会が、その受け皿となった。
ガイドライン作成にあたっては、日本放射線腫瘍学会と日本小児血液・がん学会の共同作成という形で、両学会から委員が推薦され作成委員会を組織した。また、日本脳神経外科学会および日本整形外科学会からは専門委員を派遣していただき、内容に関する詳細なご助言をいただいた。
本文の構成としては、まずガイドラインの基本事項を記載した後、前半部分では総論として、小児・AYA世代のがんと陽子線治療の一般的事項について記載し、線量分布、二次がん、費用対効果についてのシステマティックレビューを掲載した。これらの総論部分は、臨床的アウトカムに基づく解析ではないため、エビデンスレベルの等級および推奨の強さを明示せず、レビューの結果を客観的に提示し解説するように心がけた。後半の各論部分では、脳腫瘍を含む小児の代表的固形がんを取り上げ、システマティックレビューの結果を掲載した。小児がんという特殊性と稀少性のため、X線治療と陽子線治療のランダム化試験は存在せず、研究デザインによる評価の限界性および小児腫瘍という疾患特異性を考慮して、特に有害事象に関する情報を重要視して推奨の強さを決定した。
本ガイドラインの作成にあたり、毎回の会議で熱い議論を交わした作成委員のご尽力に感謝するとともに、複数回にわたり的確なご助言をいただいた日本放射線腫瘍学会および日本小児血液・がん学会のガイドライン委員会、日本脳神経外科学会および日本整形外科学会の専門委員、そして実務協力者の先生方、出版にあたり積極的なご協力をいただいた金原出版の諸氏に深く感謝の意を申し上げたい。本ガイドラインの利用が、小児がんの診療において適切な情報提供と意志決定に寄与することを願っている。
平成31年3月
小児・AYA世代の腫瘍に対する陽子線治療診療ガイドライン作成委員会委員長
櫻井 英幸
現在のがん治療は、外科療法、放射線療法、化学療法が3つの柱であると考えられています。放射線治療は、外科治療と並ぶ重要な局所療法であり、成人の腫瘍では多くの疾患において標準的治療となっています。一方、小児がんは稀少疾患でありながら、三大治療を適確に組み合わせた集学的治療により治療成績が向上してきました。しかし、小児には多種・多様の腫瘍が発症するため、専門医でさえ放射線治療の方針決定には難渋することも多いのが現状です。また最近では、小児がんの治療成績の向上とともに、成長、知能、内分泌機能への影響や、二次がんなどの放射線治療にともなう晩期有害事象が注目される時代となってきております。
さて、平成28年4月から、新しい放射線治療の1つである陽子線治療が、20歳未満の小児がんに対して日本で初めて保険適用となりました。つまり、日本では成人のがんに先行して小児への利用が認められたということになります。陽子線治療は、その物理的特性から、正常組織への線量を減らすことで小児への有害事象が低減することが期待されており、欧米諸国でも小児に対して近年利用されてきた方法です。しかし、稀少疾患に対して新しい放射線治療が適応となったことで、本領域について専門の医療者は限られており、広く小児がんに対する陽子線治療の特徴について科学的に集めたデータを、医療者だけでなく国民に対してわかりやすく提示することが必要であると考えられます。
このような背景の中で、今回『小児・AYA世代の腫瘍に対する陽子線治療診療ガイドライン』を発刊することは、まさにタイムリーな企画であったと考えております。稀少疾患のガイドライン作成には困難な面が多かったと思われますが、多様化する医療の中で適切な診療の提供のために、今後大いに役立つものと考えております。
最後に、櫻井英幸委員長をはじめとするガイドライン作成にご尽力頂いた諸先生方に深い感謝の意を申し上げるとともに、本ガイドラインが小児・AYA世代の腫瘍の診療の進歩に大きく貢献することを祈念し、序文のことばとさせていただきます。
平成31年3月
公益社団法人日本放射線腫瘍学会理事長
茂松 直之
『小児・AYA世代の腫瘍に対する陽子線治療診療ガイドライン』発刊に寄せて
今から20年程前、米国横紋筋肉腫治療研究グループIntergroup RhabdomyosarcomaStudy Group(IRSG)の最新臨床試験(IRS-?)のフルプロトコールを初めて手にした時、その内容の膨大さと詳細さ、緻密さに目を見張ったものでした。なかでも本グループの放射線治療担当医たちの作成したリスク群別・発生部位別放射線治療チャートの緻密さには感銘さえ覚えたものです。
放射線治療は、肉腫をはじめとする小児がんの集学的治療において、外科手術、化学療法と連動し、その治療成績の改善に大きく貢献してきました。原発部位や所属リンパ節・遠隔転移の有無に応じて、細かに規定された照射野や照射量、またその施行のタイミングと併用する全身化学療法の組み合わせなど、複雑ではあるものの洗練された試験治療計画は、成長過程にあり、治癒後にも長い人生のある患児に対して、いかに最小限の副作用で最大限の効果を提供できるかを考え抜いた放射線治療医たちの葛藤の証しであると感じました。
病巣がたとえ患者の身体の深部にあっても、他の放射線治療に優るとも劣らない効果と副作用の圧倒的な軽減が図れる陽子線治療の恩恵を最も受けるのは、小児がん患児と考えられます。その効果の検証は今後も数十年にわたり、国際的に、科学的に行っていかねばなりませんが、患児とその保護者が放射線治療の選択肢として陽子線をもつ現代においては、医療者はその適応とメリットとデメリットについても熟知しておかねばなりません。
このため、日本小児血液・がん学会は、患児およびその保護者に適切な情報を提供し、その意志決定を支援するため、日本放射線腫瘍学会が世界に先駆け取り組んだ『小児・AYA世代の腫瘍に対する陽子線治療診療ガイドライン』完成に全面的に協力いたしました。
櫻井英幸委員長をはじめ、ガイドライン作成に取り組まれた諸先生方に敬意を表するとともに、本ガイドラインの完成が多くの小児・AYA世代の患者とその家族にとって福音となることを祈念し、記念すべき本ガイドラインの完成をお祝い申し上げます。
平成31年3月
一般社団法人日本小児血液・がん学会理事長
細井 創
『小児・AYA世代の腫瘍に対する陽子線治療診療ガイドライン』発刊にあたって
日本放射線腫瘍学会は、国内の陽子線治療の評価を行うため、小児がんの陽子線治療に対する実施状況を全国的に集約し、平成27年秋に先進医療会議に対して報告した。しかし、この結果と比較するための標準治療の情報を、国内で十分に集めることができなかったため、本領域に関するシステマティックレビューを外部委員の評価を受けつつ実施し,合わせて報告することとなった。この結果、平成28年度診療報酬改定において、小児腫瘍に対する陽子線治療が保険収載されたわけであるが、「本作業が厚生労働省の資料として利用されるだけでなく、広く医療者や国民に情報を届けるべきである」という日本放射線腫瘍学会の西村恭昌 前理事長のご意見を受け、日本放射線腫瘍学会・粒子線治療委員会が、その受け皿となった。
ガイドライン作成にあたっては、日本放射線腫瘍学会と日本小児血液・がん学会の共同作成という形で、両学会から委員が推薦され作成委員会を組織した。また、日本脳神経外科学会および日本整形外科学会からは専門委員を派遣していただき、内容に関する詳細なご助言をいただいた。
本文の構成としては、まずガイドラインの基本事項を記載した後、前半部分では総論として、小児・AYA世代のがんと陽子線治療の一般的事項について記載し、線量分布、二次がん、費用対効果についてのシステマティックレビューを掲載した。これらの総論部分は、臨床的アウトカムに基づく解析ではないため、エビデンスレベルの等級および推奨の強さを明示せず、レビューの結果を客観的に提示し解説するように心がけた。後半の各論部分では、脳腫瘍を含む小児の代表的固形がんを取り上げ、システマティックレビューの結果を掲載した。小児がんという特殊性と稀少性のため、X線治療と陽子線治療のランダム化試験は存在せず、研究デザインによる評価の限界性および小児腫瘍という疾患特異性を考慮して、特に有害事象に関する情報を重要視して推奨の強さを決定した。
本ガイドラインの作成にあたり、毎回の会議で熱い議論を交わした作成委員のご尽力に感謝するとともに、複数回にわたり的確なご助言をいただいた日本放射線腫瘍学会および日本小児血液・がん学会のガイドライン委員会、日本脳神経外科学会および日本整形外科学会の専門委員、そして実務協力者の先生方、出版にあたり積極的なご協力をいただいた金原出版の諸氏に深く感謝の意を申し上げたい。本ガイドラインの利用が、小児がんの診療において適切な情報提供と意志決定に寄与することを願っている。
平成31年3月
小児・AYA世代の腫瘍に対する陽子線治療診療ガイドライン作成委員会委員長
櫻井 英幸
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