肺がん検診のための胸部X線読影テキスト

胸部X線写真をどのように読影し判定するかを、実際の症例をもとに解説

編 集 特定非営利活動法人日本肺癌学会 集団検診委員会
定 価 6,600円
(6,000円+税)
発行日 2012/04/25
ISBN 978-4-307-07089-8

B5判・238頁・図数:575枚・カラー図数:9枚

在庫状況 あり

胸部X線写真による肺がん検診は、2010年の日本肺癌学会のガイドラインにより、一定の条件のもとグレードB(勧められる)となったが、現場の読影精度には差がみられる。また、集団検診では通常の読影とは異なった技術が必要となる。本書では、2012年2月に改訂された「肺癌取扱い規約」の「肺癌検診における胸部X線検査の判定基準と指導区分」に基づき、X線写真をどのように読影し判定するかを、実際の症例をもとに解説した。
第I章 胸部X線検診の意義と限界
はじめに
1.これまでの研究
 1)欧 米
 2)日 本
2.胸部X線写真による肺がん検診の位置付け
3.胸部X線写真による肺がん検診の必要条件
4.胸部X線写真がもつ限界
おわりに


第II章 胸部X線写真の撮影技術および条件
1.間接撮影
  ◆撮影条件
2.直接撮影(スクリーン・フィルム系)
  ◆撮影条件
3.直接撮影(デジタル)
1)CR(computed radiography)
2)FPD(flat panel detector)
  ◆撮影条件
4.撮影体位の設定
5.読影に適した画像の評価
6.読影環境
  ◆モニタの品質管理
参考資料1.:胸部間接撮影フィルムの評価基準
参考資料2.:デジタル画像の取り扱いに関するガイドライン2.0版
参考資料3.:医用画像表示用モニタの品質管理に関するガイドライン(JESRA X−0093*A−2010)−受入試験の確認項目と判定基準
参考資料4.:医用画像表示用モニタの品質管理に関するガイドライン(JESRA X−0093*A−2010)−不変性試験の確認項目と判定基準

第III章 胸部X線写真の正常解剖と読影方法
はじめに
1.胸部X線解剖:正常構造のチェックポイント
 1)胸 郭
 2)軟 部
 3)縦 隔
  (1)気 道
  (2)右傍気管線・奇静脈
  (3)前・後接合線
  (4)食道奇静脈陥凹・下行大動脈左縁
  (5)大動脈肺動脈窓(A-P window)
 4)肺 門
 5)肺 野
2.読影方法
 1)大まかな目の動かし方を決める
 2)肺野・肺門は左右を比較する
 3)隠れた肺野を意識する
 4)過去の画像と比較する
 5)背景肺野の性状に留意する
 6)これまで提唱されている胸部X線写真チェック方法の例
  (1)「小三J」読影法
  (2)「人の肺(ハい)」読影法
3.病変と間違えやすい所見
 1)apical cap
 2)乳 頭
 3)腕頭動脈の蛇行
 4)肋軟骨の石灰化
 5)骨島・化骨
 6)胸椎の骨棘

第IV章 肺がん検診における判定基準と指導区分
1.肺がん検診の方法
 1)問 診
 2)胸部X線検査
 3)喀痰細胞診
2.胸部X線検査の判定基準と指導区分
 1)判定区分A
 2)判定区分B
  (1)骨性胸壁
  (2)軟部胸壁
  (3)その他
 3)判定区分C
  (1)陳旧性病変
  (2)石灰化陰影
  (3)線維性変化
  (4)気管支拡張像
  (5)気腫性変化
  (6)その他
 4)判定区分D
  (1)活動性肺結核(判定区分D1)
  (2)活動性非結核性病変(判定区分D2)
  (3)循環器疾患(判定区分D3)
  (4)その他(判定区分D4)
 5)判定区分E
3.肺がん検診における要精検率

第V章 判定区分ごとの実例
[1]A判定
[2]B判定
  ◆胸 郭
  ◆胸 膜
  ◆中央陰影
  ◆横隔膜
[3]C判定
  ◆奇形や陳旧性変化
  ◆石灰化影
  ◆線維性変化
  ◆気管支拡張症
  ◆気腫性変化
  ◆石綿関連疾患,塵肺症
[4]D判定
 1.D1判定:活動性肺結核
 2.D2判定:活動性非結核性病変
 3.D3判定:循環器疾患
 4.D4判定:その他
[5]E判定
  ◆小さく淡い孤立性結節影
  ◆既存構造に重なる孤立性結節
  ◆肺門や中央陰影の異常
  ◆空洞を呈する腫瘤
  ◆気管支の狭窄・閉塞による二次変化
  ◆その他の二次変化
  ◆陳旧性病変に新しい陰影が出現
  ◆肺癌以外に異常所見を合併する
  ◆石綿関連悪性腫瘍

第VI章 代表的な胸部病変の種類と特徴
掲載症例一覧
[1]肺悪性疾患
 1.肺腺癌
 2.肺扁平上皮癌
 附.パンコースト肺癌
 3.肺大細胞癌
 4.肺小細胞癌
 5.転移性肺腫瘍
 附.良性転移性平滑筋腫
 6.肺悪性リンパ腫
[2]肺良性疾患
 1.肺過誤腫
 2.肺硬化性血管腫
 3.炎症性筋線維芽細胞性腫瘍
[3]縦隔疾患
 1.胸腺腫
 2.奇形腫
 3.神経原性腫瘍
 4.気管支嚢胞
 5.心膜嚢胞
[4]感染性肺疾患
 1.肺結核腫(結核性肉芽腫)
 2.非結核性抗酸菌症
 3.肺真菌症
 4.ニューモシスティス肺炎
[5]その他の疾患
 1.強皮症に伴う間質性肺炎
 2.特発性肺線維症
 3.COPD
 4.塵肺症
 5.サルコイドーシス
 6.びまん性汎細気管支炎
 7.リンパ脈管筋腫症
 8.MMPH
 9.リンパ球性間質性肺炎
 10.肺動静脈瘻
 11.器質化肺炎
 12.円形無気肺
[6]胸膜疾患
 1.胸膜中皮腫
 2.孤立性線維性腫瘍
 3.滑膜肉腫
 4.膿胸関連リンパ腫
 5.転移性胸膜腫瘍
[7]胸壁腫瘍
 1.軟骨肉腫
 2.ユーイング肉腫
 3.デスモイド腫瘍
 4.多発性骨髄腫
[8]石綿関連疾患
 1.石綿肺
 2.石綿関連肺癌
 3.胸膜プラーク
 4.良性石綿胸水
 5.びまん性胸膜肥厚