新X線解剖学 改訂第6版

臨床医の他、健康診断医、診療放射線技師の方々にもお薦め!X線解剖学の定番!

原 著 小林 敏雄
改 訂 大場 覚
定 価 6,160円
(5,600円+税)
発行日 2009/03/30
ISBN 978-4-307-07083-6

B5判・200頁・図数:225枚

在庫状況 なし

前回の改訂は2001年であったが、この間にCT、MRIの画像機器と画像処理が更に一層進歩し、特にMRIでは脳、脊髄、神経、筋肉や靱帯までもわかるようになり、観察できる解剖部位も圧倒的に増えた。したがって、それらを網羅しようとすれば、膨大なページを割かねばならない。CTもmultidetector row CTによって迅速に、薄層スライスが撮像でき、造影して再構成すれば血管造影に近い像すらみえるようになった。核医学の分野においても、大きな進歩があり、従来のシンチグラムの適応も随分変化して使われなくなった検査法も多くなった。したがって、今回の改訂では、核医学やMRIによって新たに観察できる画像解剖は敢えて追加せず、専門書に任せることにした。従来のシンチグラムも極一部のものを残し、大部分削除した。また、画像検査の進歩により、従来のX線装置を利用した造影検査の適応も大きく変わってきたので、ほとんど行われなくなった造影検査も削除したが、解剖を理解する上で必要なものは残した。
解剖学用語は医学を志す者にとっては、ラテン語表記は欠かせられないが、現在の画像診断に携わる者にとっては、あまり必要とも思われないので、すべて日本語と英語で記載するようにした。解剖学用語については日本解剖学会が最近改訂した解剖学用語改訂13版(医学書院)を参考にした。
今回の改訂は放射線診断医よりも、診療放射線技師や健康診断医を意識して行った。そのため、新たに加筆した項目にX線像の成り立ちと見え方がある。X線像がX線コントラストから成り立っている以上、どのように成り立っていて、それをどのようにX線写真の読影に応用するのか、また、X線の入射方向による人体の見え方の違いという2つの基本を理解することが、X線写真を読影する際にまず必要だと常々考えていたからである。
最近は胸部X線撮影も行わず、X線被ばく量も考慮せず、高額な医療費を払わせられる患者の立場も考えないでCTを安易に撮像する風潮がある。簡単に撮影できるX線撮影は、X線被ばく量もCTに比べれば遥かに低いし、支払う医療費も少なくてすむ。現在の医療の現場で、一般医にとっても検診に携わる者にとっても、最も多く利用されているのがX線検査である。それらの像をより正しく読むことは何よりもそれを享受する患者や検診を受けられる人にもおおいに役立つはずである。
臨床医はもとより、健康診断医、診療放射線技師の目線に立って改訂したつもりである。
(「改訂第6版にあたって」より)
第1章 X線解剖学の意義と特徴
 1. X線解剖学とは
 2. X線解剖学の特異性
 3. 新X線解剖学とは

第2章 X線像の成り立ちと見え方
 1. 体内のX線濃度とX線コントラスト
 2. X線像の辺縁の見え方
 3. シルエットサイン
 4. 頸胸部徴候と胸腹部徴候
 5. 肺内側副気路と肺内コントラスト
 6. エア・ブロンコグラムとトラム・ライン
 7. 気管支壁,食道壁,腸管壁の描出
 8. 大気とのコントラスト

第3章 胸部
 1. 軟部
  a. 体表軟部組織
  b. 乳房
 2. 骨部
  a. 肋骨
  b. 肋軟骨
  c. 胸骨
  d. 鎖骨
 3. 肺
  a. 概要
  b. 葉間裂
  c. 胸膜
  d. 肺紋理
  e. 気管・気管支
  f. 肺区域
  g. 二次小葉
  h. 肺の実質と間質
  i. 胸部リンパ節
 4. 縦隔
  a. 縦隔の区分
  b. 縦隔肺境界線
 5. 心臓および大血管
  a. 心・大血管の形
  b. 心臓の大きさ
 6. 胸部CT
 7. 胸部MRI
 8. 横隔膜
  a. 横隔膜の解剖
  b. 横隔膜形態のバリエーション
   (1) 穹分割
   (2) 階段形成
   (3) 横隔膜肝亀背
  c. 横隔膜の辺縁のボケ像とテント形成
 9. 食道
  a. 食道の解剖学的区分
   (1) 頸部
   (2) 胸部
   (3) 腹部
  b. 食道のX線学的区分
  c. 食道の運動

第4章 腹部
 1. 腹部単純X線写真
   (1) 腎臓
   (2) 膀胱
   (3) 肝臓
   (4) 小腸
   (5) 大腸
   (6) 側腹部
 2. 消化器
  a. 胃
   (1) 胃二重造影
   (2) 胃の粘膜ひだ
   (3) 胃小区
  b. 十二指腸
  c. 小腸
  d. 大腸
   (1) 盲腸
   (2) 回盲部
   (3) 虫垂(虫様突起)
   (4) 結腸
   (5) 直腸
   (6) X線像における大腸の特徴
   (7) 大腸の微細構造
  e. 胆・
  f. 肝臓
  g. 膵臓
 3. 造血器
  a. 脾臓
 4. 泌尿器
  a. 腎臓
   (1) 腎部のCT像と超音波断層像
   (2) 腎盂造影
   (3) 膀胱尿道造影
  b. 腎臓の血管

第5章 腹膜外腔
 1. 後腹膜腔
 2. 後腹膜リンパ節
 3. 胸管およびウィルヒョウリンパ節
   (1) 胸管
   (2) ウィルヒョウリンパ節
第6章 骨盤部
 1. 骨盤の性差と年齢差
 2. 骨盤構造の正常像と異常像
 3. 骨盤の血管
   (1) 骨盤動脈
   (2) 骨盤静脈
 4. 子宮の超音波像
 5. 骨盤部CT像より単純X線像への還元
 6. 骨盤部MRI

第7章 頭頸部
 1. 概要
 2. 頭部
  a. 正面像と側面像
  b. 軸位像 −頭蓋底軸方向(軸位)
  c. 副鼻腔
  d. 大後頭孔
  e. 乳様突起
  f. 中耳と内耳
  g. 視神経管
  h. 脳の血管
   (1) 頸動脈造影による動脈像
   (2) 頸動脈造影により造影される静脈系
   (3) 椎骨動脈造影による動脈像
   (4) 大脳動脈輪
   (5) 椎骨動脈造影により造影される静脈
  i. 脳室系と脳槽
   (1) 脳室系
   (2) 血液脳関門
   (3) 脳槽
  j. 頭部コンピュータ断層撮影像(CT)
  k. 頭部磁気共鳴画像(MRI)
  l. 顔面骨と顔面のRIシンチグラフィ
   (1) 骨スキャンによる顔面骨シンチグラフィ
   (2) ガリウムによる涙腺シンチグラフィ
  m. 唾液腺RIシンチグラフィ
 3. 頸部
  a. 頸部の単純X線像
  b. 喉頭造影
  c. 喉頭,咽頭のCT像
  d. 甲状腺と上皮小体
   (1) 甲状腺
   (2) 上皮小体

第8章 脊柱および四肢
 1. 脊柱
  a. 概要
  b. 正面像と側面像
  c. 脊椎の形成異常
  d. 脊柱の彎曲異常
  e. 椎間腔の異常
 2. 四肢
  a. 概要
  b. 肩甲骨
  c. 上腕と前腕
  d. 手の骨
  e. 股関節
  f. 大腿骨
  g. 膝蓋骨と膝関節
  h.下腿骨
  i. 足骨(または足根)
 3. 骨髄,軟部および関節のMRI
  a. 肩関節
  b. 膝関節
 4. 骨髄

参考文献
索引