乳癌・胃癌HER2病理診断ガイドライン 第2版

ASCO/CAPガイドライン2018に準拠した最新HER2検査ガイド!

編 集 日本病理学会
定 価 3,300円
(3,000円+税)
発行日 2021/04/20
ISBN 978-4-307-05054-8

B5判・100頁・図数:31枚

在庫状況 あり

6年ぶりの改訂となる第2版は、ASCO/CAPガイドライン2018に準拠している。前版はCQのみで構成されていたが、今回はアルゴリズムの解説や、改訂の背景、抗HER2薬についても詳しく記載した。HER2検査を実施するにあたって、より役立つ内容となっている。多くの方々が適正な抗HER2療法を受けられるよう、本ガイドラインで示すグローバルスタンダードに基づいたHER2検査が実施されることが求められる。
I 乳癌HER2病理診断ガイドライン

はじめに
1.HER2病理診断ガイドラインの改訂概要
 1)HER2検査のアルゴリズム
 2)アルゴリズムの解説
2.HER2と抗HER2薬について
 1)HER2(human epidermal growth factor receptor type 2)とは
 2)抗HER2薬の種類
3.抗HER2薬対象患者の選択方法(HER2検査法)
 1)HER2検査法の種類
 2)理想的な検体
 3)免疫組織化学(immunohistochemistry:IHC)法
 4)in situ ハイブリダイゼーション(in situ hybridization:ISH)法
4.HER2検査の精度管理
 1)最適な内部精度評価法
 2)最適な外部からの習熟度評価と精度管理
 3)継続的な教育、普及活動
 4)乳がんHER2検査病理部会(2000〜2018年)における取り組み
5.Clinical Question
 1)Pre-analytical
   CQ 1-1 HER2検査の対象となる検体は何か?
   CQ 1-2 手術先行の場合、針生検標本によるHER2検査結果は、手術標本によるHER2検査結果と同等とみなしてよいか?
   CQ 1-3 多発浸潤癌の場合、各々にHER2検査を行うべきか?
   CQ 1-4 10%中性緩衝ホルマリン以外の固定液を用いて、IHC法およびFISH法を行うことは可能か?
   CQ 1-5 検体が採取されてからホルマリン固定が行われるまでに許容される時間はどの程度か?
   CQ 1-6 10%中性緩衝ホルマリンを用いて固定を行う際に、推奨される固定時間はどの程度か?
   CQ 1-7 細胞診検体でのHER2検査は可能か?
   CQ 1-8 セルブロック検体でのHER2検査は可能か?
 2)Analytical
   CQ 2-1 IHC法に推奨される抗体はどのようなものがあるか?
   CQ 2-2 ISH法に推奨される試薬はどのようなものがあるか?
   CQ 2-3 IHC法に適した組織切片はどのように作製するか?
 3)Post-analytical
   CQ 3-1 報告書に記載すべき内容にはどのようなものがあるか?
   CQ 3-2 組織型から予測されるHER2検査結果と実際の結果との間に乖離が生じた場合、再検を行う必要があるか?
 4)その他
   CQ 4-1 HER2検査を行うための標本がないが、どうしたらよいか?
   CQ 4-2 原発・転移性乳癌いずれもHER2検査に利用不可能な場合はどうしたらよいか?
   CQ 4-3 IHC法に適さないホルマリン固定パラフィン包埋組織標本はどのようなものか?
   CQ 4-4 IHC法を用いる検体として凍結検体や細胞診検体で判定は可能か?
   CQ 4-5 IHC法、ISH法で用いる検体はどれくらい前のものまで実施が可能か?
   CQ 4-6 ISH法に適さないホルマリン固定パラフィン包埋組織標本はどのようなものか?
   CQ 4-7 IHC法で「過剰発現」とはどのスコアを示すのか?
   CQ 4-8 IHC法におけるHER2過剰発現の腫瘍内不均一性(heterogeneity:過剰発現を示す細胞群と示さない細胞群が互いに有意な割合で混在する)をどのように判断したらいいか?
  CQ 4-9 ISH法におけるHER2増幅の腫瘍内不均一性(heterogeneity:遺伝子増幅を示す細胞群と示さない細胞群が互いに有意な割合で混在する)をどのように判断したらよいか?
   CQ 4-10 ISH法においてグループ2、3、4と判定される症例の割合はどの程度あるか?
   CQ 4-11 IHC 2+でISH法を実施したがグループ2、3、4の結果であったため、IHC 2+を確認後、ISH法の再測定を行ったところ、別のグループの結果となった。このような場合どのように最終判定すればよいか?
【参考】体外診断用医薬品


II 胃癌HER2 病理診断ガイドライン

はじめに
1.HER2病理診断ガイドラインの改訂概要
 1)HER2検査のアルゴリズム
2.HER2と抗HER2薬について
 1)胃癌におけるHER2発現の意義
 2)予後および効果予測因子としてのHER2
 3)胃癌治療で用いられる薬剤
3.抗HER2薬対象患者の選択方法(HER2検査法)
 1)対象となる胃癌患者と理想的な検体
 2)免疫組織化学(immunohistochemistry:IHC)法
 3)in situ ハイブリダイゼーション(in situ hybridization:ISH)法
4.胃癌HER2の特徴
 1)分化型と未分化型(intestinal typeとdiffuse type)
 2)腫瘍内不均一性(intratumoral heterogeneity)
 3)生検組織と切除検体、原発巣と転移巣
5.胃癌HER2検査の精度管理

索引
第2版 序文

 このたび、乳癌・胃癌HER2病理診断ガイドライン第2版が刊行された。第1版が世に出てから約5年ぶりの改訂である。HER2検査は病理検体を用いて実施されるが、病理診断や術後病期分類などと同様、正しく行われていることが診療上の前提である。本ガイドラインは病理医、臨床検査技師がHER2検査を適正に行うために、現時点で科学的に最も正しいとされている検体の扱い、検査手法、評価の仕方、精度管理について総合的に解説したHER2検査の手引書である。当初、乳癌、胃癌においては国ごとにHER2検査ガイドラインが作られていたが、乳癌では2007年にASCO/CAPのHER2検査ガイドラインが出版され、また、胃癌では2016年に胃・食道胃接合部腺癌に対するCAP/ASCP/ASCOによるHER2検査ガイドラインが出版された。その後はわが国でもこれらの国際標準に沿ったHER2検査が行われるようになっており、本ガイドラインは、最新のASCO/CAP(あるいはCAP/ASCP/ASCO)ガイドラインの検査アルゴリズムを基本として作成されている。
 この5年でHER2陽性乳癌の薬物療法は大きく変化し、手術可能な早期乳癌および進行・再発乳癌に対する薬剤の種類が増え、レジメンも開発されて治療成績の確実な向上がみられた。HER2陽性胃癌においても抗HER療法についての多くの知見が蓄積されている。この間、出版されたHER2検査の文献だけでも相当の数に上り、これらの文献を緻密に吟味していく改訂作業は膨大であったと思われる。多忙な日常業務の合間に本ガイドラインの編集作業に関わっていただいたHER2病理診断ガイドライン第2版策定ワーキンググループのメンバーの方々に謝意を表したい。さらには原稿の査読、最新情報の収集、資料の提供、出版などで協力いただいたすべての方に感謝申し上げる。
 本ガイドラインが、病理診断部門のみならず乳癌や胃癌の診療に関わる医師、薬剤師などの医療従事者、製薬会社や試薬メーカーなど多くの人々に広く活用されることを期待する。また、本ガイドラインに記載された共通知識がより適切な治療適応の決定や治療成績のさらなる向上につながり、学術の発展にも寄与して将来の人類の幸福の向上につながることを希求している。

2021年3月

一般社団法人日本病理学会 理事長 北川 昌伸
一般社団法人日本病理学会 ガイドライン委員長 落合 淳志
胃癌・乳癌HER2病理診断ガイドライン第2版策定WG委員長 津田 均