細胞診ガイドライン4 呼吸器・胸腺・体腔液・リンパ節 2015年版 上気道/呼吸器/胸腺/体腔液/リンパ節・血液

全身26領域の細胞診を全5巻にまとめた学会初のガイドライン!

編 集 日本臨床細胞学会
定 価 6,600円
(6,000円+税)
発行日 2015/06/12
ISBN 978-4-307-05046-3

B5判・270頁・カラー図数:332枚

在庫状況 あり

全身26領域の細胞診を全5巻にまとめた学会初のガイドライン。本書には、全領域共通の「細胞標本作製法」のほか、「上気道」「呼吸器」「胸腺」「体腔液」「リンパ節・血液」を収載。各臓器の特異性に配慮し、臓器ごとに、検体採取法などの基礎的知識から最新の分子病理学的知見までを、多数の細胞像カラー図譜を用いて解説。近年、急速に進歩する細胞診の知識を整理し、現在のスタンダードを理解するために必携の一冊。
■細胞標本作製法
 A.塗抹固定法
 B.染色法

■上気道
総論
 A.解剖8
 B.検体採取法
 C.染色法
各論
 A.非腫瘍性疾患
 B.腫瘍性疾患
図譜

■呼吸器・胸腺
総論
 A.呼吸器細胞診に必要な細胞構成
 B.検体別処理法
 C.免疫細胞化学、遺伝子検査
各論
 A.肺癌の組織分類
 B.肺癌の代表的組織型と細胞所見
 C.肺の非悪性腫瘍
 D.転移性肺腫瘍
 E.肺の非腫瘍性疾患
 F.縦隔腫瘍の組織分類
 G.縦隔腫瘍の代表的組織型と細胞所見
図譜

■体腔液
総論
 A.発生・解剖・超微形態
 B.中皮細胞とヒアルロン酸
 C.臨床的意義
 D.体腔液貯留と臨床所見(石綿胸水症を含む)
 E.検体の取り扱いと検体処理法
 F.LBC検体の取り扱いと細胞像
 G.特殊染色の応用と実際
 H.免疫染色の応用と実際
 I.術中迅速体腔液細胞診の実際
 J.体腔液細胞診の進め方
 K.体腔液細胞診の報告様式
各論
 A.非腫瘍性病変
 B.パタ−ン分類による細胞の見方
 C.胸水・心嚢液細胞診
 D.腹水細胞診
 E.悪性中皮腫
 F.小児腫瘍─小型細胞からなる腫瘍(small blue cell tumor)
 G.関節腔
 H.その他の疾患
図譜

■リンパ節・血液
総論
 A.標本作製法
 B.細胞の見方と判定法
 C.検体処理法
 D.リンパ節穿刺吸引細胞診の報告様式
 E.病理組織学的分類
各論
 A.非腫瘍性病変
 B.高悪性度Bリンパ腫
 D.T/NK細胞リンパ腫
 E.Hodgkinリンパ腫
 F.その他の血液疾患
 G.リンパ節における非血液疾患

図譜

索引

 わが国における癌の死亡率が増加の一途をたどり、死亡率の第1位となっている状況下、ますます公益性、専門性に基づいた医療の質の向上が求められ、各種癌検診や疾患の治療方針の決定における細胞診の役割も大きくなっている。このような医療環境の変貌のなか、日本臨床細胞学会は、2011年には設立50年を迎え、2013年には公益社団法人として認定され、国民の健康増進にかかわる専門性の高い学会としてさらなる活動が責務となっている。この間、本学会は資格認定試験を毎年施行し、多くの優れた専門医、細胞検査士を輩出し、社会的貢献とともに学術的発展を遂げてきた。今後は、細胞診専門医研修カリキュラム、細胞診検査士研修カリキュラムを充実させるとともに専門性の質の担保のため、最新の診断知識や技能の習得が必須となっている。
 このような細胞診を取り巻く医療・社会的環境の変化に応えるべく、公益社団法人日本臨床細胞学会の発足を契機に、理事長諮問委員会として細胞診ガイドライン作成のためのワ−キンググル−プが結成され、各臓器の委員会が構成された。そして2015年、「1婦人科・泌尿器」を初巻として、乳腺や甲状腺など全身約25臓器にわたる全5巻からなる「細胞診ガイドライン」が出版される運びとなった。全ての臓器担当責任者には学会の専門領域の理事が就任し、さらに多くの専門医、医師、細胞検査士が委員長、副委員長、委員として参画し、皆が真摯に執筆にあたった。また、学会関係者からの細胞像など多くの貴重な資料の提供も受け、今回の出版に至っている。各巻の内容は、各臓器の特異性に配慮し、検体の採取法、基本的な細胞診標本の作製技術から、癌取扱い規約、WHO分類やベセスダシステムなどを反映した報告様式や細胞判定についての具体的な注意点の記載などからなる「総論」、細胞診において理解すべき疾患の基礎的知識や細胞像図譜とその解説からなる「各論」で構成されている。特に、疾患の細胞像については、専門家の熟練した経験に基づく基本的見方、判定の要点とともに、重要な鑑別診断などについても詳細に記載されている。また、疾患の理解や診断・治療に必要な最新の分子病理学的知見についても解説されている。
 将来、本ガイドラインが日本の医療における細胞診普及とさらなる発展の礎となり、各臓器における細胞診に関する種々のエビデンスの蓄積に貢献することを確信するとともに、新たな世界に向けた細胞診の時代の先駆けとなることを祈念する。
 謝辞 
 本ガイドラインは、長年細胞診にかかわってこられた諸先輩のご努力、ご功績を基盤とすることはもちろんのこと、このたびの初版作成の事業にご協力いただいた多くの執筆者、そして公益社団法人日本臨床細胞学会会員の多大なるご支援なくしては到底刊行に至ることは不可能であった。この場をお借りして参画いただいた方々に心より感謝申し上げる。また、出版に携わっていただいた金原出版の関係者のご尽力に改めて深甚なる感謝の意を表する次第である。

 2015年3月
                                    公益社団法人日本臨床細胞学会
                           細胞診ガイドライン作成ワ−キンググル−プ委員会
                                        統括委員長 内藤善哉