細胞診ガイドライン3 甲状腺・内分泌・神経系 2015年版 甲状腺/副甲状腺/副腎/中枢神経/脳脊髄液/眼器

全身26領域の細胞診を全5巻にまとめた学会初のガイドライン

編 集 日本臨床細胞学会
定 価 6,050円
(5,500円+税)
発行日 2015/11/20
ISBN 978-4-307-05045-6

B5判・256頁・カラー図数:345枚

在庫状況 あり

全身26領域の細胞診を全5巻にまとめた学会初のガイドライン。本書には、全領域共通の「細胞標本作製法」のほか、「甲状腺」「副甲状腺」「副腎」「中枢神経」「脳脊髄液」「眼器」を収載。各臓器の特異性に配慮し、臓器ごとに、検体採取法などの基礎的知識から最新の分子病理学的知見までを、多数の細胞像カラー図譜を用いて解説。近年、急速に進歩する細胞診の知識を整理し、現在のスタンダードを理解するために必携の一冊。
■細胞標本作製法
 A.塗抹固定法
 B.染色法

■甲状腺
総 論
 A.臨床的意義
 B.基礎的知識(解剖・発生・機能)
 C.病理組織学的分類
 D.検体採取法
 E.標本作製法(液状化検体を含む)
 F.染色法
 G.細胞の見方と判定法(液状化検体を含む)
 H.迅速細胞診
 I.免疫細胞化学染色
 J.遺伝子解析
 K.報告様式
各 論
 A.亜急性甲状腺炎
 B.慢性甲状腺炎,橋本病
 C.嚢胞および嚢胞性病変
 D.腺腫様甲状腺腫
 E.濾胞性腫瘍
 F.硝子化索状腫瘍
 G.乳頭癌
 H.低分化癌
 I.未分化癌
 J.髄様癌
 K.リンパ腫
 L.転移性腫瘍
 M.その他の疾患
図 譜

■副甲状腺
総 論
 A.臨床的意義
 B.基礎的知識
 C.検体採取法
 D.細胞の見方と判定法(甲状腺との鑑別)
 E.迅速診断
各 論
 A.副甲状腺過形成
 B.副甲状腺腺腫
 C.副甲状腺癌
図 譜

■副腎
総 論
 A.副腎細胞診の臨床的意義
 B.検体採取法
 C.細胞の見方
各 論
 A.副腎皮質病変
 B.副腎髄質病変
図 譜

■中枢神経
総 論
 A.基本的知識
 B.報告様式
 C.検体採取法と処理法
各 論
 A.浸潤性星細胞腫
 B.限局性星細胞腫
 C.乏突起膠細胞系腫瘍
 D.上衣系腫瘍
 E.脈絡叢腫瘍
 F.神経細胞系腫瘍
 G.松果体部腫瘍(松果体実質細胞腫瘍)
 H.胎児性腫瘍
 I.Schwann 細胞腫
 J.髄膜腫
 K.脊索腫
 L.悪性リンパ腫
 M.胚細胞腫瘍
 N.トルコ鞍部腫瘍
 O.非腫瘍性病変
図 譜

■脳脊髄液
総 論
 A.基礎知識
 B.細胞採取法と処理法
 C.脳室からの細胞採取法
 D.報告様式
各 論
 A.腫瘍性病変
 B.非腫瘍性病変
図 譜

■眼器
総 論
 A.解剖・機能
 B.検体採取法
各 論
 A.炎症性疾患(眼脂、結膜擦過物、角膜擦過物)
 B.変性疾患
 C.腫瘍性および腫瘍様病変
図 譜

索引
 わが国における癌の死亡率が増加の一途をたどり、死亡率の第1位となっている状況下、ますます公益性、専門性に基づいた医療の質の向上が求められ、各種癌検診や疾患の治療方針の決定における細胞診の役割も大きくなっている。このような医療環境の変貌のなか、日本臨床細胞学会は、2011年には設立50年を迎え、2013年には公益社団法人として認定され、国民の健康増進にかかわる専門性の高い学会としてさらなる活動が責務となっている。この間、本学会は資格認定試験を毎年施行し、多くの優れた専門医、細胞検査士を輩出し、社会的貢献とともに学術的発展を遂げてきた。今後は、細胞診専門医研修カリキュラム、細胞診検査士研修カリキュラムを充実させるとともに専門性の質の担保のため、最新の診断知識や技能の習得が必須となっている。
 このような細胞診を取り巻く医療・社会的環境の変化に応えるべく、公益社団法人日本臨床細胞学会の発足を契機に、理事長諮問委員会として細胞診ガイドライン作成のためのワ−キンググル−プが結成され、各臓器の委員会が構成された。そして2015年、「1婦人科・泌尿器」を初巻として、乳腺や甲状腺など全身約25臓器にわたる全5巻からなる「細胞診ガイドライン」が出版される運びとなった。全ての臓器担当責任者には学会の専門領域の理事が就任し、さらに多くの専門医、医師、細胞検査士が委員長、副委員長、委員として参画し、皆が真摯に執筆にあたった。また、学会関係者からの細胞像など多くの貴重な資料の提供も受け、今回の出版に至っている。各巻の内容は、各臓器の特異性に配慮し、検体の採取法、基本的な細胞診標本の作製技術から、癌取扱い規約、WHO分類やベセスダシステムなどを反映した報告様式や細胞判定についての具体的な注意点の記載などからなる「総論」、細胞診において理解すべき疾患の基礎的知識や細胞像図譜とその解説からなる「各論」で構成されている。特に、疾患の細胞像については、専門家の熟練した経験に基づく基本的見方、判定の要点とともに、重要な鑑別診断などについても詳細に記載されている。また、疾患の理解や診断・治療に必要な最新の分子病理学的知見についても解説されている。
 将来、本ガイドラインが日本の医療における細胞診普及とさらなる発展の礎となり、各臓器における細胞診に関する種々のエビデンスの蓄積に貢献することを確信するとともに、新たな世界に向けた細胞診の時代の先駆けとなることを祈念する。
 謝辞
 本ガイドラインは、長年細胞診にかかわってこられた諸先輩のご努力、ご功績を基盤とすることはもちろんのこと、このたびの初版作成の事業にご協力いただいた多くの執筆者、そして公益社団法人日本臨床細胞学会会員の多大なるご支援なくしては到底刊行に至ることは不可能であった。この場をお借りして参画いただいた方々に心より感謝申し上げる。また、出版に携わっていただいた金原出版の関係者のご尽力に改めて深甚なる感謝の意を表する次第である。

 2015年3月
                           公益社団法人日本臨床細胞学会
                  細胞診ガイドライン作成ワ−キンググル−プ委員会
                               統括委員長 内藤善哉