ドクターがやさしく教える! 医療AI入門
医療AIの基本を例題と多数の図解を用いて解説する入門書!
著 者 |
山下 康行 |
定 価 |
3,080円 (2,800円+税) |
発行日 |
2019/04/16 |
ISBN |
978-4-307-00485-5 |
A5判・160頁・図数:87枚
医療AIは大変なブームで、この機会に勉強してみようという医療従事者は多い。しかし、「AIによって医療は大体こうなる」という内容の記事や書籍は多くあっても、基本原理をわかりやすく学べる書籍は少ない。本書は医療現場を知る放射線科医が基本原理をわかりやすく解説しており、「今からでも学べるかな」「数式ばかりで難しそう」と悩んでいる医療AI初学者が第一歩を踏み出すのをサポートします。
1章 医療とAI
1 医療と人工知能は親和性が高い
2 AIの歴史と医療との関わり
A. 第1次人工知能ブーム(1950年〜1960年代)
B. 第2次人工知能ブーム(1990年代)
C. 第3次人工知能ブーム(2000年代〜)
3 AIとニューラルネットワーク、そしてディープラーニングまで
2章 機械学習と統計学はうらおもて
3章 医療で使う機械学習
1 機械学習の種類
2 教師あり学習とは?
A. 分類問題:疾患を鑑別する
B. 回帰問題:数値を予測する
C. 学習とは
D. 入力データの学習法
E. 過学習の罠
3 教師なし学習とは?
4章 色々な機械学習
1 線形回帰(単回帰および重回帰)
2 ロジスティック回帰
3 K近傍法(最近傍法:Nearest Neighbor)
4 サポートベクターマシン(Support Vector Machine:SVM)
5 決定木(Decision Tree)
6 アンサンブル学習
A. ランダムフォレスト
B. XG Boost
7 機械学習のパフォーマンス
5章 ベイズの定理の診断への応用
6章 人工ニューロン
1 神経細胞と人工ニューロン
2 入力信号の重み付け
3 活性化関数で出力の微調整を行う
7章 ニューラルネットワーク
1 ニューラルネットワークの構造
2 隠れ層の導入
3 ニューラルネットワークはだんだん賢くなる!?
4 ニューラルネットワークによる画像認識
8章 ディープラーニング
1 ディープラーニングの構造
2 他の機械学習との違い
3 ディープラーニングにおける過学習
4 ディープラーニングの学習と処理
5 ディープラーニングの種類
A. RNN(Recurrent Neural Network)
B. GAN(Generative Adversarial Network)
9章 畳み込みニューラルネットワーク(Convolutional Neural Network:CNN)
1 CNNの構造
2 画像入力
3 畳み込み(フィルタ処理)
4 プーリング
5 全結合層
6 出力層
10章 AIの医療へ展開
1 診療支援に対するAIの応用
2 検体検査への応用
3 画像診断への応用
4 画像処理への応用
5 病理診断への応用
6 その他の画像を使ったAI
7 Precision Medicineや予防医療への展開
8 創薬への応用
9 介護への応用
11章 AI時代の医療
1 医師はAIとどうつきあっていくべきか
2 AIの医療への導入において議論すべきこと
A. データの取得と利用に関わる問題(プライバシー等の問題)
B. 判断過程の不透明性による問題
C. AIの責任と意思決定をめぐる議論
D. 診断支援に関する質の評価や規格の設計
3 これからの医師に求められること
4 特に放射線診断医や病理医に向けて
ディープラーニングを中心とした人工知能(AI:Artificial Intelligence)への関心は産業界のみならず、医療業界でも極めて高いと思います。多くの職種がAIに取って代わられるとも言われ、すぐにではないにしても医師の仕事もかなりの部分がAIによって代行されるかもしれません。特に私の専門である画像診断の世界ではAIへの関心が高く、世界中の研究者や開発者がしのぎを削っています。それではそのAIとはどういうものなのか、知りたいと思って勉強を始めると、数式やプログラムが多用された難解な本がある一方、非常に内容の薄い通り一遍の本も多いのが現状です。特に医療に関してのAIの適切な本は皆無でした。
忙しい臨床医にとってプログラムを組むなど、とても時間はありませんし、多くの臨床医は数学が苦手だと思いますが、いかがでしょうか(?!)。私自身も一般の放射線診断医であり、統計の専門家でもなければ、プログラミングの知識もありません。しかし、新しもの好きで、AIを知ろうと多くの本を読み漁って、やっとAIとはこんなものかと見えてきたところです。
本書は臨床医をはじめ、多くの医療関係者に数式を使わずに図で直感的に理解できるように工夫して、AIをざっくりと、理解してもらいたいと思って執筆したものです。特に医療の中でも画像診断や病理診断では画像の認識が重要であり、その部分はやや詳しく執筆しました。AIを知ることによって、今後の医療業界への応用・普及の可能性と限界について知っていただけたら望外の喜びです。
2019年4月
山下 康行
熊本大学大学院 生命科学研究部 放射線診断学分野