医療従事者が知っておきたい
AYA世代がんサポートガイド
AYA世代のがん診療を行う医療従事者が最初に知っておくべき知識を網羅したガイド、出来ました!
編 集 |
総合的な思春期・若年成人世代のがん対策のあり方に関する研究班 |
定 価 |
3,080円 (2,800円+税) |
発行日 |
2018/07/20 |
ISBN |
978-4-307-00483-1 |
B5判・132頁・カラー図数:10枚
AYA世代とは思春期・若年成人を指す。小児期と成人期の間にあたるAYA世代の患者は「病気の治療が生殖機能に及ぼす影響」「晩期合併症」「通勤や通学に及ぼす影響」「多感な時期に病気に罹患することによるさまざまな精神的ストレスや将来への不安」などの問題を抱えている一方、サポート情報が少ない。本書は医療従事者だけではなく、教育、就労支援など多方面の専門家が、治療から妊孕性、メンタルケア、経済問題、教育、栄養、コミュニケーションなど幅広く論じた。
序
若者が、そのかけがえのない時を生き抜くために
推薦の言葉
【総論】
1 AYAがんの特徴
2 AYAがんの診療実態
3 AYA世代の特徴
4 AYAがん患者のニーズ
5 AYA患者支援におけるチーム医療
《COLUMN》 小児がんにおける多職種連携
6-1 医師に必要なスキル
6-2 看護師に求められる視点
《COLUMN》 AYAサポートチーム
7 教育支援
《COLUMN》・病気に対する学校側の理解と配慮を ・学生相談室の利用を勧めよう
8 就労支援
《COLUMN》 社会保険労務士とは
9 経済・生活支援
10 AYAがん患者向けのがん情報
【各論】
1 心理・精神面
2 就学
《COLUMN》・院内学級の実際 ・大学復学に向けての環境づくり
3 就労
《COLUMN》 職場復帰にあたり医療従事者にお願いしたいこと
4 リハビリテーションと身体活動
《COLUMN》 地域・社会につなぐリハビリテーション
5 食行動と栄養
6 恋愛・セクシュアリティ
《COLUMN》 恋愛・セクシュアリティ―がん対策に書かれていないが、切実な問題
7-1 女性の妊孕性
7-2 男性の妊孕性
8 経済的問題
9 遺伝性腫瘍
《COLUMN》 遺伝学的情報―真に患者・家族を支える医療とは
10 意思決定、コミュニケーション
《COLUMN》 患者という枠を超えて寄り添ってほしい
11 配偶者(パートナー)の支援
《COLUMN》・パートナーに必要なサポートとは ・子育て世代の親の苦悩
12 親・きょうだいの支援
13 子どもの支援
14 エンド・オブ・ライフ・ケア
《COLUMN》 思春期の息子を見送る
15 ピアサポート
参考文献一覧
国内のAYA向けのがんの情報リソース
本書は主に、思春期・若年成人(AYA)世代のがん診療に携わる医療従事者を対象に、AYA世代のがんと世代の特徴を理解し、患者・家族が前向きに病気に立ち向かい、将来に希望が持てるように共に考え、支援するためのガイドブックです。
AYA世代のがんは、希少で多種多様ながん種からなるためにがん拠点病院においても経験する機会が少なく、がん種によって異なる診療科で治療を受けることが多いため、AYA世代特有のニーズへの対応が十分でない現状があります。AYA患者に原病に対する治療選択や不安はもとより就学、新規就労、就労の継続、性や生殖機能など世代特有の課題を抱えているうえ、同世代で交流をしにくく、悩みや情報の共有がしにくい状況です。また、AYA患者は、精神的・社会的な自立の度合いや置かれた状況が様々であり、A世代とYA世代で異なる課題も多く、個々にきめ細やかな配慮が必要となります。
平成26年3月に国は「がん研究10か年戦略」で「ライフステージやがんの特性に着目した重点研究領域」を定め、「小児がんに関する研究」の中で初めて「AYA世代のがんの実態解明と治療開発のための研究」が位置付けられました。それを受けて、平成27年度に厚生労働科学研究費補助金(がん対策推進総合研究事業)「総合的な思春期・若年成人(AYA)世代のがん対策のあり方に関する研究」班が採択され、上記を包括した医療提供体制のあり方を検討するために、AYA世代がん医療の実態と患者ニーズの大規模調査、ならびに、個別課題の研究を実施して参りました。
本書は、これらの研究成果を踏まえつつ、国内外の関連情報を網羅して、AYA世代がん医療の診療現場ですぐに役立つガイドブックを目指したものです。第3期がん対策推進基本計画においてAYA世代がん医療の充実が求められるなか、本書が、AYA世代がん患者が希望をもって治療に立ち向かえるように、それを支えるすべての医療関係者の皆様にお役に立てたら幸甚です。
最後に本書は、本研究班の班員ならびに関係者の英知を結集して作成したものであり、分担執筆いただいた方々、特に、編集に尽力いただいた清水 千佳子氏、小澤 美和氏、樋口 明子氏、ならびに、本書の上梓にあたりご尽力いただいた金原出版の石黒 大介氏に深謝いたします。
平成27-29年度厚生労働科学研究費補助金(がん対策推進総合研究事業)
「総合的な思春期・若年成人(AYA)世代のがん対策のあり方に関する研究」班
研究代表者:堀部 敬三
研究分担者(五十音順):大園 誠一郎、小澤 美和、小原 明、川井 章、北島 道夫、
木村 文則、清水 研、清水 千佳子、鈴木 直、鈴木 礼子、高井 泰、高橋 都、
高山 智子、多田羅 竜平、中塚 幹也、中村 晃和、新平 鎮博、古井 辰郎、
松本 公一、丸 光恵、森重 健一郎、山本 一仁
平成30年6月
研究代表者代表 堀部 敬三(国立病院機構名古屋医療センター)