第4集 医学と創造性

加我 君孝 / 高本 眞一
定 価 2,200円
(2,000円+税)
発行日 2003/05/25
ISBN 978-4-307-00439-8

B5判・108頁・図数:72枚

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 医の原点の講義は私の心にも深く刻み込まれていますし,学生も深く感激し,後から聞いてもあの話は良かったと言っていますから,やはり本物の感動が講師の先生方から学生に伝わったのは事実でしょう。超一流の講師の先生方の真実への情熱,またその話を咀嚼できる東京大学の医学生の成熟度に誇りを持つことができました。
 昨年2年目ではこの素晴らしい話を学生だけに聞かせるのはもったいないということになり,病院のナースや一般の方にも広く公開しました。毎回出席してくださる方々もおられ,励ましの感想も書いていただきました。河合隼雄,有馬朗人,石坂公成,杉村隆,加賀乙彦,柳田邦男,安達良英,高崎直道各先生方が,皆さん別々の言葉でありながら,しかし医療医学が病に倒れた患者のためであることを種々の切り口から心を込めて語って下さいました。この講演をこのままにしておくのはもったいなく,金原出版の協力により,このような立派な冊子に編集することができました。これが医学生だけでなしに,一般の方にも「医の心」を伝える縁となれば,編者としても幸せです。
「医の原点」を企画してより
1.科学と芸術の対称性について
有馬 朗人(参議院議員・元東京大学総長)
■自然の対称性
■建築や絵画と対称性
■ヨーロッパ文明と対称性
■中国と日本文化と対称性
■対称性の種類
■ミクロ世界の対称性
■対称性と物理法則
■左右対称性とその破れ

2.私は如何にして免疫学者になり得たか
石坂 公成(元ジョンスホプキンス大学教授)
■伝染病研究所での細菌学実習
■免疫学の歴史的背景
ジェンナーと牛痘/コッホ,パスツールと病原菌同定/ベーリング,北里と抗毒素/パイフェルと溶菌/フレクスナーと肺炎菌多糖体/ハイデルバーガーと抗体蛋白定量
■日本で受けた教育
一冊の本との遭遇/ランドシュタイナーと抗原特異性/中村先生の教育/日本の免疫学の環境
■アメリカで受けた教育
キャンベル先生という学者/リシェ,ポルティエとアナフィラキシー/証明するのはおまえのビジネス/小説を書くつもりで論文を書け/免疫グロブリンEへの道
■学問に対する態度
予測に反することへの真摯な取り組み/プロフェッショナルとしての職業意識
■講演後の質問に答えて

3.東京大学医学部卒の文人−_外,茂吉,杢太郎,秋桜子−
加賀 乙彦(小説家)
■森 鴎外
『高瀬船』と安楽死/鴎外と茂吉/3つの医学研究/翻訳者鴎外/「歴史其儘と歴史離れ」の意義/「かのように」
■斎藤茂吉
『赤光』/「実相に観入」/進行麻痺への情熱/緊張病/『神経学雑誌』の文献抄録
■木下杢太郎
「太田母斑」/癜風菌の培養/名教授の『百花譜』/杢太郎と茂吉,鴎外/テエベス百門の大都
■水原秋桜子
『馬酔木』/「文芸上の真」と「実相に観入」
医学の文章と文学の文章
講演を終えて
講演後の質問に答えて

4.仏教と医術
高崎 直道(東京大学名誉教授,鶴見大学学長)
■ブッダは医師
■仏教とインド医学
■仏教における「こころ」「からだ」「いのち」
■こころの医者としての仏教−現代の課題−
■生死はほとけのおんいのち−道元の立場−