FUJITA’S TEXT1 腹腔鏡下幽門側胃切除 outermost layerに基づくこだわりの手術

藤田式! 腹腔鏡手術の開拓者らによる洗練された技術体系を今ここに!!

監 修 宇山 一朗
編 著 石田 善敬 / 角谷 慎一 / 柴崎 晋 / 中内 雅也
定 価 11,000円
(10,000円+税)
発行日 2017/12/10
ISBN 978-4-307-20380-7

A4判・120頁・カラー図数:108枚

在庫状況 あり

腹腔鏡による胃癌手術のパイオニアとして積み上げてきた藤田式の技術。本書では安全で精緻な手術を行うための考え方・手技を公開。
Outermost layer(神経外側の層)に基づいた郭清の展開、高い再現性を実現するリニアステイプラーによる体腔内吻合など、術中の各場面におけるこだわりの手技を解説する。
場面ごとに作り込まれた正確なイラストが、初学者に把握しづらい構造の理解を助ける。


【関連書籍】FUJITA’S TEXT2 ロボット支援下幽門側胃切除D1+
第1章 基本セッティング
1-1 ポート配置
1-2 使用機材の紹介
 
第2章 胃大弯側の郭清
2-1 #4sb リンパ節の郭清
2-2 #6リンパ節郭清前操作
2-3 #6リンパ節の郭清
2-4 十二指腸の離断

第3章 膵上縁の郭清
3-1 肝十二指腸間膜内側の郭清
3-2 内側アプローチ・左胃動脈切離
3-3 右側#9リンパ節郭清
3-4 左側#9リンパ節郭清
3-5 胃小弯の郭清
 
第4章 再建
4-1 Billroth-I 法再建
4-2 Billroth-II 法再建
 1991年に北野正剛先生が世界初の腹腔鏡補助下幽門側胃切除を施行してから早いもので四半世紀が経過しました。この間に、腹腔鏡用エネルギーデバイスや内視鏡用カメラなどの医療機器が大きく改良され、外科医の研鑽とあいまって、さらには患者さんからのニーズが後押しして、腹腔鏡下胃切除は大きく発展いたしました。2014年度版の内視鏡外科診療ガイドラインではcStageI胃癌に対して腹腔鏡下幽門側胃切除が推奨度Bとなり、標準治療のひとつとして位置付けられるようになりました。2015年度の胃癌に対する胃切除手術の約半分は腹腔鏡手術にて行われており、実臨床においても大きく発展、浸透してきました。学会はもちろんのこと、Web上でも多くの達人達の手術動画を簡単に見ることができるようにもなってきています。そして今では、開腹手術を知らずに腹腔鏡手術のみで育った若手外科医も珍しくなくなってきております。つまり、腹腔鏡下胃切除は、もはや特別な手術ではなくなったのだと実感する今日この頃です。
 小生は、1997年に藤田保健衛生大学に赴任して以来、本格的に腹腔鏡下胃癌手術を開始し、体腔内吻合、膵上縁郭清を含む系統的リンパ節郭清、進行胃癌への適応拡大など、数々の課題に挑戦してまいりました。その間には、多くの仲間達と日夜議論を深めながら、目の前の一症例毎に問題点を一つずつ改善させ、よりよい手技の開発、より安定した手術手技の定型化を目指して手技の改良を重ねてきました。今では腹腔鏡下胃切除は2000例を超えており、これらの経験を踏まえて確立したものが、outermost layerに基づいた郭清手技と自動縫合器を用いた体腔内吻合です。
 この度、「FUJITA'S TEXT1 腹腔鏡下幽門側胃切除 ─outermost layerに基づくこだわりの手術─」を上梓する運びとなりました。Outermost layerに基づいた郭清手技は、今では小生の中で最も重要なコンセプトのひとつとなっております。このコンセプトを、初学者でも容易に理解できるように、本書は全てイラストによって作成いたしました。我々が伝えたいと思う部分は、シンプルなイラストとそのコンセプトの説明を余すところなく盛り込むことで、より理解が深まるものと信じております。一人でも多くの若手外科医が本書を手にし、当科で築き上げ確立してきた腹腔鏡下胃切除のコンセプトを理解し、吸収して頂くことを切に望んでおります。それによって自身の手術技術の向上、ひいてはそれが目の前の患者さんの治療成績向上につながることを期待しています。最後に、本書の作成にあたり、激務の中執筆してくれた現医局員、元医局員の先生方、内視鏡手術手技確立・向上のため長年ともに切磋琢磨してきた多くの先生方、そして企画・校正などで大変お世話になりました金原出版株式会社の森崇氏、片山晴一氏、イラストレーターの川本満氏に深謝いたします。

2017年11月吉日
藤田保健衛生大学 総合消化器外科 主任教授
宇山 一朗