ニッチなディジーズ あなたがみたことのない病気を診断するための講義録

レアな疾患を診断するためのスキルを講義形式で楽しくレクチャー!

著 者 國松 淳和
定 価 3,780円
(3,500円+税)
発行日 2017/04/17
ISBN 978-4-307-10184-4

A5判・264頁・図数:30枚

在庫状況 あり

「ニッチなディジーズ」とは頻度的にレアな疾患、またスキマ領域にあってどの科にも属さない認知上の死角にある疾患の総称である。「診たことのない病気でも、その備えと考え方のスキルがあれば診断できる!」をテーマに10講のレクチャーを講義形式で掲載。授業を聴いているような臨場感で楽しく学べる。真の臨床医は“ひづめの音が聞こえたら、馬も探すし、シマウマも探す”。今日、出会うかもしれないレア疾患をつかまえろ!
第1講 なぜrareなものを学ぶのか
・まずは自己紹介
・Rareな疾患をどうやって見つけるのか
・最初の一例と言えば「忽那賢志先生」!
・「シマウマ」を探すとき
・ニッチに生きる総合内科
・あなたが診た患者は本当に風邪だったのか?
・ケースレポートが診療に役立つとき
・ニッチなディジーズ的勉強法
・サイゼリヤ勉強会のススメ
・Rare疾患を診断するために

第2講 カタマリをつくらないリンパ腫
・ニッチなリンパ腫をいつ疑うか?
・血管内大細胞型B細胞リンパ腫
・節外性NK/T細胞リンパ腫、鼻型
・Enteropathy-associated T-cell lymphoma
・原発性体腔液リンパ腫
・肝脾型T細胞性リンパ腫
・IVLは臨床診断がカナメ!
・IVLの「Jpn型」と「Euro型」
・まずはIVLを臨床診断できるようになろう

第3講 悪性じゃないけど困るカタマリ
・どこから採る?
・鑑別疾患を絞る思考プロセス
・IgG4関連疾患にニッチ感はない!?
・IgG4関連疾患のmimickerを考える
・Rosai-Dorfman病
・炎症性偽腫瘍
・キャッスルマン病

第4講 とにかく“繰り返す”病気 前篇
・序盤の各論力
・診断推論は二極化できない
・群発頭痛は実はレア!
・群発頭痛は経過でみる
・「duct」に関連する繰り返す疾患
・胆道ジスキネジー
・SMA 症候群
・頭がおかしくなっちゃうくらいつらい
・「後医は名医」の裏は真?
・頭がおかしくなっちゃうくらいつらい「腹痛」

第5講 とにかく“繰り返す”病気 後篇
・Sickle cell disease
・鉛中毒
・遺伝性血管性浮腫
・Fabry病
・パニック発作・ヒステリー発作
・Fume fever
・繰り返す病気を分類してみよう

第6講 不明熱のニッチな原因
・発熱が「不明熱」に変わるとき
・59歳男性:両下肢浮腫と繰り返す発熱
・初期プラン&アプローチ
・発熱の経過とプロブレムリスト
・診断に迫るためのプラン
・最終診断は…?

第7講 悪性のような性格を持ったアヤシイ病気
・病気にも性格がある
・病名からではなく、まずは病態を診断する
・しみこむ・たまる・カタマリをつくる
・しみこみ系:アミロイドーシス
・POEMS症候群
・Schnitzler症候群
・TAFRO症候群
・ランゲルハンス細胞組織球症
・Erdheim-Chester病

第8講 内科でもみかける子どもの(?)病気
・内科で小児の病気を考えるとき
・ウィルソン病
・ニーマンピック病C型
・糖原病
・小児のランゲルハンス細胞組織球症
・結節性硬化症
・「子どもは小さな大人ではない」と言うけれど……
・TNF受容体関連周期性症候群

第9講 まだまだあります惑わす病気
・Schizophrenicなディジーズ
・橋本脳症
・自己免疫性脳症とその周辺
・アイザックス症候群
・狐惑病と精神症状
・成人型シトルリン血症

第10講 最後の最後もニッチにディジーズ
・みたこともない病気を疑うスキル
・成人T細胞白血病・リンパ腫
・慢性活動性EB ウイルス感染症
・ニッチにディジーズ

■「KISS」でまとめるニッチなディジーズ
はじめに

 国立国際医療研究センター総合診療科は、世間で思われているより、完成されたカチッとした診療科ではありません。定期的な教育レクチャーなどをウリにしている病院やプログラムと比べてしまえば、私たちがそれらに割く時間は圧倒的に劣ります。というのも、私を含めてうちの後期研修医は全員が朝が苦手で始業前なんてとてもできないし、また日中は外来業務で多忙で、夕〜夜も入院患者の病状説明などにあてられ、また各自の調べ物などをしていると、レクチャーなどする時間も受ける時間もろくにないからです。
 とはいえ当科にも一応のレクチャーが存在します。それは、私と後期研修医の時間と気力が残り、しかもそのタイミングが合致したときです。なので不定期です。私のほうもちゃんとした準備をしていません。内容は大体次の要領で決まります。

・科のホワイトボードにメモが貼ってあり、後期研修医たちが「今度レクチャーがあったら取り上げて欲しいネタ」を雑に書きためていて、それに基づくもの
・その日、國松がしゃべりたいこと
・最近、なぜかよく診る疾患について
・てきとう

 形式は、準備していないのでほとんどが「語り」で行われ、脳内を図解するためにホワイトボードは少し使います。必要と思える教科書などを持ってくることもあります。スライドはほぼ使いません。

 さて本書は、すぐに原因がわからない症候からどのようにして比較的レアな疾患を疑い、診断していくかについて「講義録」の形で記述してあります。「ニッチなディジーズ」というレクチャーシリーズが、当科の教育リソースとして実際に確立しているわけではありませんが、私からウチの後期研修医たちへの日頃の「生の」語りの記録であることには間違いありません。そういう意味では、歴代・現役含めて、私と一緒に診療をした後期研修医たちにお礼を言いたいです。ありがとう。
 書籍にするため多少物言いや体裁を(ある程度ちゃんとしたレクチャー風にするために)整えましたが、この講義録は、私 國松が内科系の後期研修医(一般には卒後3〜5 年目くらい)に向かって喋っているという設定であることをご想像いただければ幸いです。
 最後に、先に言い訳をしておきますが、本書はあくまで「講義録」の体ですので、説明が字で読むと時に雑ですし、根拠というより考え方の一つを提示するような語りになっています。この点は、各自・各施設で整合性をお取りくださるようお願い申し上げます。

 それではレクチャー、始まりますよ〜。

国立国際医療研究センター病院 総合診療科
國松 淳和