整形・災害外科

骨折治療の現在地を知る!

2024年04月臨時増刊号(67巻 05号)

企 画 渡部 欣忍
定 価 8,250円
(本体7,500円+税)
在庫状況 あり
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骨折治療の現在地を知る!
I 医学論文の読み方
外傷関連論文から考える真実に近づくための方法
乾 貴博
II 外傷治療のシステム
新百合ヶ丘総合病院外傷再建センターの目指すもの
松下 隆
日本で外傷整形外科治療を適切に行うにはどうすればよいか?−湘南鎌倉総合病院外傷センターをモデルに考える
土田 芳彦
帝京大学医学部附属病院外傷センター−大学附属施設としての役割は何か?
松井 健太郎
ヒップフラクチャーセンター−これまでの取り組みとこれから目指すもの
脇 貴洋
日本版best practice tariff−多職種による骨折リエゾンサービス:日本の最先端はこれだ!
福田 文雄
III 診断
整形外科外傷におけるAI診断の現状と展望
井元 佑一
小児肘関節外傷に対するエコー診断のすすめ−何をどの順番にみるか?
中川 知郎
IV 治療指針・治療戦略
鎖骨骨折に対する最新の治療指針・治療戦略
島村 安則
上腕骨骨折に合併した橈骨神経麻痺に対する最新の治療指針・治療戦略
坂 なつみ
橈骨遠位端骨折治療の変遷と現在地−各時代の最新治療は誰に何をもたらしてきたのか?
善家 雄吉
大腿骨ステム周囲骨折に対する最新の治療指針・治療戦略
横尾 賢
重度脛骨開放骨折に対する最新の治療戦略
二村 謙太郎
ピロン骨折に対する最新の治療指針・治療戦略
依光 正則
V 高齢者・脆弱性骨折
続発性骨粗鬆症の診断と治療update −皆さん、見逃してませんか?
野津 雅和
二次性骨折予防を目指した最新の骨粗鬆症治療update −どの薬を使うべきか
萩野 浩
高齢者の周術期せん妄の診断と治療update
菊地 未紗子
脆弱性骨盤輪骨折の診断と治療update −いつ手術を決めて、どう固定するか
本田 哲史
骨粗鬆症性椎体骨折の診療update
星野 雅俊
上腕骨近位端骨折に対するリバース型人工肩関節全置換術(RSA)の適応と手術手技
塚田 圭輔
成人や高齢者の上腕骨遠位部骨折に対する治療
寺浦 英俊
高齢者の上腕骨遠位部骨折に対する人工肘関節置換術の適応と手術手技
川崎 恵吉
大腿骨頚部骨折に対するセメント使用人工骨頭挿入術 −セメントテクニックを中心に
小林 史朋
大腿骨近位部の骨転移による病的骨折に対する人工関節置換術のすすめ
籾井 健太
非定型大腿骨骨折の診断と治療 −何が問題か? その解決策は何か?
新倉 隆宏
高齢者の大腿骨遠位部骨折に対する早期荷重を目指した内固定法
山下 伸之輔
高齢者の足関節骨折に対するTTCネイル固定について
木村 依音
高齢者足関節周囲骨折に対するMATILDA法の適応と手術手技
野坂 光司
VI 感染・偽関節
偽関節患者に対する自家末梢血CD34陽性細胞移植による骨・血管再生医療について
大江 啓介
Induced membrane technique(Masquelet法)における色付き骨セメント使用のすすめ
佐藤 寿充
High CALI(ハイカリ)のトリセツ
長谷川 真之
 本臨時増刊号「骨折治療の現在地を知る!」では、選りすぐりの筆者により、整形外科の外傷・骨折にまつわるホットな疑問に対する現時点における答えを出してもらいました。
 骨折治療は日進月歩していますが、良い医療を行うためには、施設やコメディカルを含めた医療システムが重要です。重度外傷と脆弱性骨折の治療では、必要とするシステムも異なります。いま、何が問題で、その解決策は?
 骨折の診断において、ディープラーニングによる整形外科外傷のAI診断と超音波エコー診断の現状と未来は?
 外傷治療はエビデンスを得るのが難しい分野ですが、患者数が多いcommon fractureは各治療法の効果や合併症に対するエビデンスが比較的得られやすいはずです。Common fractureを中心に最新のエビデンスに則った治療指針や治療戦略はいかに? そして、私たちは医学論文からどのようにエビデンスを読み解けばよいのでしょうか?
 高齢者の骨折と脆弱性骨折の治療には種々の問題があります。続発性骨粗鬆症の診断、二次性骨折予防、周術期せん妄予防は、ともすれば見落としがちですが、難しく重要なトピックスです。脆弱性骨盤輪骨折と骨粗鬆症性椎体骨折は、外科的治療が増加傾向にあります。最新の手術適応や治療法は? 高齢者の肩や肘関節周囲の骨折、骨転移による大腿骨病的骨折では、人工関節手術と骨接合術が競合する時代が近づいています。今後、整形外傷医にとっても必須の手術になります。大腿骨近位部骨折には早期手術・早期荷重を求めるのに、大腿骨遠位部骨折や足関節周囲骨折では免荷を許容しています。これはダブル・スタンダードであり、改善すべき問題です。何か新しい試みは? 欧米ではhip fractureに対する人工関節はセメント使用が一般的ですが、日本では使用頻度が低いようです。セメントテクニックは難しいのでしょうか? 非定型大腿骨骨折の問題点は何で、どう治療するべきなのでしょうか?
 偽関節や感染の治療では、Masquelet法や抗菌薬局所注入療法は最近のトピックスです。新しい工夫はあるのでしょうか? また、この分野における再生医療の可能性はどうなのでしょうか?
 以上、かなり欲張った企画でしたが、とても興味深くためになる内容になりました。

 2024年4月

帝京大学医学部整形外科学講座
帝京大学医学部附属病院外傷センター
渡部 欣忍