口腔癌診療ガイドライン 2019年版 第3版

詳細な総説とGRADEアプローチが融合した最新ガイドライン誕生!

編 集 日本口腔腫瘍学会「口腔がん診療ガイドライン」改定委員会 / 日本口腔外科学会口腔癌診療ガイドライン策定小委員会
定 価 4,400円
(4,000円+税)
発行日 2019/10/20
ISBN 978-4-307-45014-0

B5判・200頁

在庫状況 あり

口腔癌診療に携わるすべての医療者に必携の診療ガイドラインが、6年ぶりに大改訂。2部構成となり大幅にボリュームアップ、内容もより充実した。Part1は前版までの内容を総説としてリニューアル、口腔癌診療を詳細に解説する。Part2はGRADEアプローチに基づいてエビデンスを精密に解析し、新たなクリニカルクエスチョンを精査する。付録にエビデンス解析過程の資料を豊富に収録。口腔癌診療のクオリティを高める1冊。
口腔癌診療ガイドライン2019年版 作成の手順に関して

Part1 総説

第1章 口腔癌診療アルゴリズム

第2章 疫学

第3章 診断
I 臨床診断
II 画像診断
 1.T-原発巣の画像診断
 2.N-領域リンパ節の画像診断
 3.M-遠隔転移の画像診断
 4.その他の画像診断
III 病理診断
 1.病理検査法
 2.上皮内癌を含めた口腔癌早期病変の考え方の変遷
 3.組織学的悪性度評価と浸潤様式、癌の深達度

第4章 原発巣の治療
Ia 外科療法-切除術
 1.舌癌
 2.口底癌
 3.頬粘膜癌
 4.下顎歯肉癌
 5.上顎歯肉癌・硬口蓋癌
Ib 外科療法-再建術
 1.軟組織の再建方法
 2.顎骨の再建方法
II 放射線療法
 1.小線源治療
 2.外部照射
III 化学放射線療法(殺細胞性抗がん薬以外の薬物の併用も含む)

第5章 頸部転移巣の治療
1.頸部リンパ節のレベル分類
2.頸部郭清術の基本術式
3.頸部郭清術の適応
4.頸部郭清術後の治療法
5.その他の治療法

第6章 術前・術後療法
1.術前療法
2.術後療法

第7章 支持療法とリハビリテーション
1.治療開始前からの摂食嚥下リハビリテーションおよび治療後の上肢挙上訓練の導入
2.治療開始時からの口腔管理
3.治療後のQOL 評価
4.術後の摂食嚥下リハビリテーションと舌接触補助床
5.放射線療法と抜歯

第8章 治療後の経過観察

第9章 再発癌の治療
1.外科療法
2.放射線療法ならびに化学放射線療法
3.薬物療法

第10章 緩和医療
1.疼痛管理
2.栄養療法
3.精神症状の緩和者の緊急医療

Part 2 GRADE アプローチによる推奨
I 方法
 1.作成方法について
 2.対象について
 3.包括的疑問について
 4.SR とevidence-to-decision framework(EtD)表
 5.推奨度の表現について
II 推奨と根拠
 1.早期例の治療
 2.切除可能な進展例の治療
 3.切除不能な初発局所進展例の治療
 4.局所治療が不能な再発例の治療
III 考察

付録
1.Part 2 の作成に関わった委員
 1.1.計画と編集
 1.2.資料ならびに推奨文の作成
 1.3.外部評価
2.本改訂の資金
3.診療ガイドライン作成方法について
4.口腔癌診療ガイドラインの対象について
5.包括的疑問・analytic framework・キークエスチョン・システマティックレビューについて
 5.1.analytic framework
 5.2.包括的疑問とKQ とSR の関係
6.アウトカムについて
 6.1.SR のアウトカム一覧と診療ガイドラインパネル会議で合意された重要度
 6.2.各アウトカムの詳細な定義
7.検索式
 7.1.疾患(口腔癌)について
 7.2.研究デザインについて
 7.3.治療・介入(一覧)
 7.4.データベース
8.EtD 表
 8.1.包括的疑問1:早期例に対して、最も望ましい治療法は?
 8.2.包括的疑問2:切除可能な進展例に対して、最も望ましい治療法は?
 8.3.包括的疑問3:切除不能な初発局所進展例に対して、最も望ましい治療法は?
 8.4.包括的疑問4:局所治療が不能な再発例に対して、最も望ましい治療法は?
9.根拠となるSR
 9.1.SR1:切除可能で外科療法を予定している症例に対して、術前療法を行うべきか?
 9.2.SR2:原発巣の外科療法と同時に予防的に頸部郭清術を行うべきか?
 9.3.SR3:頸部転移症例において、原発巣の外科療法と同時に行う頸部郭清術は、全頸部郭清術よりも選択的頸部郭清術を行うべきか?
 9.4.SR4:口腔癌術後の局所頸部再発のリスク症例に、追加治療を行うべきか?
 9.5.SR5:切除不能な初発局所進展例(遠隔転移なし)の化学放射線療法前に導入化学療法を行うべきか?
 9.6.SR6:超選択的動注化学放射線療法を行うべきか?
 9.7.SR7:局所治療が不能な再発例に、化学療法を行うべきか?(放射線療法の有無は問わない)
 9.8.価値観と意向
10.内部評価・外部評価・パブリックコメント
 10.1.推奨文決定の診療ガイドラインパネル会議前
 10.2.推奨文決定の診療ガイドラインパネル会議後

索引
<2019 年版 序>
 最近の口腔癌治療の進歩はめざましいものがある。今まで根治が困難と思われていた症例でも根治治療対象となるものが増えてきている。また、新たな治療薬の出現や各種治療法の進歩、治療後の機能、整容面の回復においても以前に比べ大きな発展が見られている。このように日々進歩し変化し続ける口腔癌診療の指針となるガイドラインは、日本口腔外科学会と日本口腔腫瘍学会との合同作業チームのもと2009年に『口腔癌診療ガイドライン2009年度版』として最初に発刊された。その後最新の知見を踏まえて改訂され、今回はその第3版となる2019年版である。今回の改訂では、臨床課題(クリニカルクエスチョン)の推奨を呈示する方法として、国際標準様式として用いられている最新のGRADE(Grading of Recommendations, Assessment, Development and Evaluation)アプローチを採用し、エビデンスのシステマティックレビューを行って推奨を決定することとした。また、推奨の決定にあたっては、各々の治療法に対して重要なアウトカムについてのエビデンスの質を客観的指標に基づいて決定し、その際、エビデンスの質、利益と害のバランス、価値観、リソースを勘案するとともに口腔外科医はもちろんのこと、他科や他職種の医療従事者、患者代表者をパネリストとして迎え、参画していただいた。また、従前の口腔癌診療ガイドラインの記載内容については、最新の文献的検索と知見を追加し、総説としてPart1に掲載した。まさに最新の手法を用いた質の高い診療ガイドラインが作成できたものと自負している。この『口腔癌診療ガイドライン2019年版』が広く口腔癌診療に携わる多くの医療関係者に役立ち、何より患者さんに対し最良で最新のエビデンスに基づいた診療が行われることを切に願うものである。
 最後に2019年版の発行にあたり、ご尽力いただいた日本口腔外科学会口腔癌診療ガイドライン策定小委員会、日本口腔腫瘍学会口腔癌診療ガイドライン改定委員会の委員各位、資料作成班の先生方、両学会のガイドライン評価委員会の先生方の多大なご努力とご熱意に心より感謝申し上げます。

2019年10月
公益社団法人日本口腔外科学会 理事長 鄭 漢忠
一般社団法人日本口腔腫瘍学会 理事長 桐田 忠昭


<2019年版 ガイドライン改訂にあたって>
 昨今、診療の質の向上を目的として、多くの領域で診療ガイドラインが作成されています。公益社団法人日本口腔外科学会と一般社団法人日本口腔腫瘍学会も合同で口腔癌診療ガイドラインを作成しており、第1 版を2009年に、第2版を2013年に発刊しています。今回の第3版は、前回から6年が経過しての発刊になり、最新のエビデンスに基づいた口腔癌診療の指針を求めていた方々に対して大変長らくお待たせをしてしまい、心からお詫びを申し上げます。今回の改訂では、GRADE(Grading of Recommendations, Assessment, Development and Evaluation)アプローチという最新の手法を取り入れた質の高い診療ガイドラインの作成を目指したため、その初めての作業に多くの時間と労力を費やしてしまいました。さらに、UICCによるTNM分類や口腔癌取扱い規約の改訂に時期を合わせたこともあり、今回の2019年版の発刊となりました。これまで世界的にはGRADE アプローチを採用した診療ガイドラインは多く出されていますが、癌診療の分野ではまだ少ないようです。かなりの時間を要しましたが、最新の手法を用いた質の高い診療ガイドラインを作成できたことを大変嬉しく思っています。
 従前の口腔癌診療ガイドラインは口腔癌診療の全体像を理解する手引き書として大変好評でしたが、系統的な手法を用いて研究の質の評価や結果の要約を行ったものではありませんでした。診療ガイドラインとは、「Minds診療ガイドライン作成マニュアル Ver.2.0」によると、「診療上の重要度の高い医療行為について、エビデンスのシステマティックレビュー(systematic review: SR)とその総体評価、益と害のバランスなどを考量して、患者と医療者の意思決定を支援するために最適と考えられる推奨を提示する文書」と定義されています。そのため、今回の改訂では、臨床課題(clinical questions: CQ)の推奨を呈示する方法には、SRと診療ガイドライン作成の国際標準様式として用いられている最新のGRADEアプローチを採用し、エビデンスのSRを行ってCQの推奨を決定し、Part2に掲載することとしました。推奨の決定にあたっては、各々の治療法に対して重要なアウトカムについてのエビデンスの質を客観的指標に基づいて決定し、エビデンスの質、利益と害のバランス、価値観、リソースを勘案しました。さらに、臨床現場での判断に関わる全てのステークホルダーが参画する必要がありますので、口腔外科医はもちろんこと、他科や他職種の医療従事者、さらには患者をパネリストとして迎え、推奨決定に参画してもらいました。なお、好評であった従前の口腔癌診療ガイドラインの記載内容は、引き続き総説としてPart1に掲載し、口腔癌のバイオマーカーという新たな項目を設けるとともに、分子標的薬と免疫療法に関しては新規の薬剤に関する記載を加え、さらには全項目において最新の文献検索を追加して改訂を行いました。
 最後になりますが、本診療ガイドラインの発刊にあたって、ご尽力いただいた多くの先生方に心より感謝を申し上げるとともに、本診療ガイドラインが口腔癌診療の現場で活用されることを祈念しています。

2019年10月
一般社団法人日本口腔腫瘍学会学術委員会 口腔癌治療ガイドライン改定委員会 委員長 中村 誠司
公益社団法人日本口腔外科学会学術委員会 口腔癌診療ガイドライン策定小委員会 委員長 横尾 聡