全身性強皮症・限局性強皮症・好酸球性筋膜炎・硬化性萎縮性苔癬の診断基準・重症度分類・診療ガイドライン

強皮症・皮膚線維化疾患についてまとめた初のガイドライン!

編 集 強皮症・皮膚線維化疾患の診断基準・重症度分類・診療GL作成委員会
定 価 3,850円
(3,500円+税)
発行日 2017/03/31
ISBN 978-4-307-40055-8

B5判・232頁・図数:11枚・カラー図数:4枚

在庫状況 あり

本研究班は、全身性強皮症の早期診断・早期治療を目的として、2003年に診断基準を、2010年に早期診断基準を作成した。2013年に欧米で診断基準が改訂されたことを受け、全身性強皮症の診断基準・重症度分類・診療ガイドラインとして改訂した。これに加えて、従来診断基準・重症度分類・診療ガイドラインが存在しなかった皮膚線維化疾患である限局性強皮症・好酸球性筋膜炎・硬化性萎縮性苔癬についても世界に先駆けて作成された。
本ガイドライン作成にあたって

第I章 全身性強皮症

A 診断基準
B 重症度分類
1.総論
2.皮膚
3.肺
4.消化管
5.腎
6.心臓
7.肺高血圧症
8.血管
C 診療ガイドライン
1 皮膚
1.皮膚硬化の診療アルゴリズム
2.Clinical Question
皮膚硬化CQ一覧
CQ1 modified Rodnan total skin thickness score(以下mRSS)は皮膚硬化の判定に有用か?
CQ2 どのような時期や程度の皮膚硬化を治療の適応と考えるべきか?
CQ3 副腎皮質ステロイドは皮膚硬化の治療に有用か?
CQ4 副腎皮質ステロイドは腎クリーゼを誘発するリスクがあるか?
CQ5 D-ペニシラミンは皮膚硬化の治療に有用か?
CQ6 シクロホスファミドは皮膚硬化の治療に有用か?
CQ7 メトトレキサートは皮膚硬化の治療に有用か?
CQ8 他の免疫抑制薬で皮膚硬化の治療に有用なものがあるか?
CQ9 リツキシマブは皮膚硬化の治療に有用か?
CQ10 他の生物学的製剤で皮膚硬化の治療に有用なものがあるか?
CQ11 メシル酸イマチニブは皮膚硬化の治療に有用か?
CQ12 その他の薬剤で皮膚硬化の治療に有用なものがあるか?
CQ13 造血幹細胞移植は皮膚硬化の治療に有用か?
CQ14 光線療法は皮膚硬化の治療に有用か?

2 肺
1.間質性肺疾患の診療アルゴリズム
2.Clinical Question
間質性肺疾患CQ一覧
CQ1 SSc診断時にILDのスクリーニングをすべきか?
CQ2 末期肺病変への進展を予測する有用な指標は?
CQ3 シクロホスファミドは有用か?
CQ4 アザチオプリンは有用か?
CQ5 ミコフェノール酸モフェチルは有用か?
CQ6 カルシニューリン阻害薬は有用か?
CQ7 副腎皮質ステロイドは有用か?
CQ8 エンドセリン受容体拮抗薬は有用か?
CQ9 メシル酸イマチニブは有用か?
CQ10 生物学的製剤(TNF阻害薬、アバタセプト、トシリズマブ)は有用か?
CQ11 リツキシマブは有用か?
CQ12 ピルフェニドンは有用か?
CQ13 自己末梢血造血幹細胞移植は有用か?
CQ14 プロトンポンプ阻害薬は有用か?

3 消化管
1.消化管病変の診療アルゴリズム
2.Clinical Question
消化管病変CQ一覧
CQ1 上部消化管病変の症状に対して生活習慣の改善は有用か?
CQ2 上部消化管蠕動運動低下に消化管機能調整薬は有用か?
CQ3 胃食道逆流症にプロトンポンプ阻害薬(PPI)は有用か?
CQ4 六君子湯は上部消化管の症状に有用か?
CQ5 上部消化管の胃食道逆流症に手術療法は有用か?
CQ6 上部消化管の通過障害にバルーン拡張術は有用か?
CQ7 上部消化管の通過障害に経管栄養は有用か?
CQ8 腸内細菌叢異常増殖に抗菌薬は有用か?
CQ9 腸の蠕動運動低下の症状に対して食事療法は有用か?
CQ10 腸の蠕動運動低下に消化管機能調整薬は有用か?
CQ11 腸の蠕動運動低下にオクトレオチドは有用か?
CQ12 腸の蠕動運動低下に大建中湯は有用か?
CQ13 腸の蠕動運動低下にパントテン酸は有用か?
CQ14 腸の蠕動運動低下に酸素療法は有用か?
CQ15 腸管嚢腫様気腫症に高圧酸素療法は有用か?
CQ16 腸の蠕動運動低下に副交感神経作用薬は有用か?
CQ17 重篤な下部消化管病変に対して手術療法は有用か?
CQ18 重篤な下部消化管病変に対して在宅中心静脈栄養は有用か?

4 腎
1.腎病変の診療アルゴリズム
2.Clinical Question
腎病変CQ一覧
CQ1 SScの腎障害は、強皮症腎クリーゼ(SRC)以外の病態も存在するか?
CQ2 正常血圧性SRCは、どのように診断するか?
CQ3 SRCを予測する因子あるいは臨床症状は何か?
CQ4 SRCにおける重症度や予後を決定する因子は何か?
CQ5 SRCの治療にはアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬は有用か?
CQ6 SRCの治療にはアンジオテンシンII受容体拮抗薬は第一選択薬として有用か?
CQ7 ACE阻害薬に治療抵抗性のSRCに有用な治療薬は何か?
CQ8 SRCの予防にACE阻害薬は有用か?
CQ9 SRCにおける血液透析は有用か?
CQ10 SRCの腎移植療法は有用か?

5 心臓
1.心臓病変の診療アルゴリズム
2.Clinical Question
心臓病変CQ一覧
CQ1 全身性強皮症における心臓の拡張障害の頻度は?
CQ2 その他に全身性強皮症に伴う心臓病変にはどのようなものがあるか?
CQ3 全身性強皮症に伴う心臓病変の血清学的指標はあるか?
CQ4 全身性強皮症に伴う心臓病変を検出するための検査にはどのようなものがあるか?
CQ5 全身性強皮症に伴う心臓病変にカルシウム拮抗薬は有用か?
CQ6 全身性強皮症に伴う心臓病変にACE阻害薬やARBは有用か?
CQ7 その他に全身性強皮症に伴う心臓病変に有用な治療法はあるか?
CQ8 全身性強皮症に伴う心臓病変に免疫抑制療法は有用か?

6 肺高血圧症
1.肺高血圧症の診療アルゴリズム
2.Clinical Question
肺高血圧症CQ一覧
CQ1 全身性強皮症(SSc)における肺高血圧症(PH)の成因と頻度は?
CQ2 全身性強皮症による肺動脈性肺高血圧症(SSc-PAH)をきたすリスク因子は何か?
CQ3 SSc-PAHのスクリーニングに有用な検査にはどのようなものがあるか?
CQ4 右心カテーテルを施行する基準は?
CQ5 全身性強皮症に伴うPHの中で、肺静脈閉塞症(PVOD)様病変の合併頻度は?その鑑別法は?
CQ6 全身性強皮症に伴うPAHの予後を規定する因子は?
CQ7 SSc-PAHに対して支持療法は必要か?
CQ8 全身性強皮症に伴うPHに免疫抑制療法は有用か?
CQ9 肺動脈圧が境界域高値(21-24.mmHg)、あるいはWHO機能分類I度の症例に対して薬剤介入するべきか?
CQ10 WHO機能分類II度のSSc-PAHの治療に用いる薬剤は?
CQ11 WHO機能分類III度のSSc-PAHの治療に用いる薬剤は?
CQ12 WHO機能分類IV度のSSc-PAHの治療に用いる薬剤は?
CQ13 SSc-PAHの治療目標は?
CQ14 間質性肺病変に伴うPH(ILD-PH)の場合に肺血管拡張薬を使用するべきか?
CQ15 SSc-PAHやILDに対して肺移植は有用か?
CQ16 SSc-PAHに対してメシル酸イマチニブは有用か?
CQ17 SSc-PAHに対してリツキシマブは有用か?

7 血管
1.血管病変の診療アルゴリズム
2.Clinical Question
血管病変CQ一覧
CQ1 血管病変の出現を予測する指標はあるか?
CQ2 禁煙は血管病変の予防・改善に有用か?
CQ3 カルシウム拮抗薬は血管病変に有用か?
CQ4 抗血小板薬あるいはベラプロストナトリウムは血管病変に有用か?
CQ5 プロスタグランジン製剤は血管病変に有用か?
CQ6 アンジオテンシン変換酵素阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬は血管病変に有用か?
CQ7 抗トロンビン薬は血管病変に有用か?
CQ8 エンドセリン受容体拮抗薬は血管病変に有用か?
CQ9 ホスホジエステラーゼ5阻害薬は血管病変に有用か?
CQ10 高圧酸素療法は血管病変に有用か?
CQ11 手術療法は皮膚潰瘍・壊疽に有用か?
CQ12 交感神経切除術は血管病変に有用か?
CQ13 交感神経ブロックは血管病変に有用か?
CQ14 スタチンは血管病変に有用か?
CQ15 皮膚潰瘍・壊疽に有用な外用薬は?
CQ16 上記以外で血管病変に有用な治療法はあるか?

8 リハビリテーション
1.リハビリテーションの診療アルゴリズム
2.Clinical Question
リハビリテーションCQ一覧
CQ1 全身性強皮症の機能障害を示す評価尺度にはどのようなものがあるか?
CQ2 リハビリテーションは手指拘縮の予防や改善に有用か?
CQ3 全身性強皮症に伴う間質性肺炎や肺高血圧症による心肺機能障害に対して呼吸リハビリテーションや心臓リハビリテーションは有用か?
CQ4 全身性強皮症の皮膚硬化による開口制限や仮面様顔貌に対してリハビリテーションは有用か?

第II章 限局性強皮症

A 診断基準
B 重症度分類
C 診療ガイドライン
1.限局性強皮症の診療アルゴリズム
2.Clinical Question
限局性強皮症CQ一覧
CQ1 本症はどのように分類できるか?
CQ2 皮膚生検は診断のために有用か?
CQ3 本症の診断や疾患活動性の評価に血液検査は有用か?
CQ4 本症の病変の広がりの評価に有用な画像検査は何か?
CQ5 本症は自然に疾患活動性が消失することがあるか?
CQ6 本症の注意すべき合併症は何か?
CQ7 本症と限局皮膚硬化型全身性強皮症は同一疾患か?
CQ8 本症と全身性強皮症との鑑別に役立つ所見は何か?
CQ9 本症は全身性強皮症に移行することがあるか?
CQ10 本症とParry-Romberg症候群は同一疾患か?
CQ11 本症と深在性エリテマトーデスの鑑別に役立つ所見は何か?
CQ12 どのような皮膚病変を治療対象とするべきか?
CQ13 皮膚病変に対して副腎皮質ステロイド外用薬は有用か?
CQ14 皮膚病変に対してタクロリムス外用薬は有用か?
CQ15 皮膚病変に対して副腎皮質ステロイドの全身投与は有用か?
CQ16 皮膚病変に対して免疫抑制薬は有用か?
CQ17 皮膚病変に対して光線療法は有用か?
CQ18 皮膚病変に対して副腎皮質ステロイド・免疫抑制薬・光線療法以外で有用な治療はあるか?
CQ19 筋攣縮に対して有用な治療はあるか?
CQ20 関節の屈曲拘縮・可動域制限に対する治療は何か?
CQ21 顔面・頭部の皮膚病変に対して外科的治療は整容面の改善に有用か?
CQ22 脳病変に対して有用な治療はあるか?

第III章 好酸球性筋膜炎

A 診断基準
B 重症度分類
C 診療ガイドライン
1.好酸球性筋膜炎の診療アルゴリズム
2.Clinical Question
好酸球性筋膜炎CQ一覧
CQ1 発症誘因には何があるか?
CQ2 診断にどのような臨床所見が有用か?
CQ3 診断や疾患活動性の判定に血液検査異常は有用か?
CQ4 診断や生検部位の検索・病勢の評価に画像検査は有用か?
CQ5 皮膚生検は診断のために有用か?
CQ6 末梢血での好酸球数増多や病理組織像における筋膜の好酸球浸潤は診断に必須か?
CQ7 全身性強皮症との鑑別に役立つ所見は何か?
CQ8 注意すべき合併症は何か?
CQ9 副腎皮質ステロイドの全身投与は有用か?
CQ10 寛解後に治療を中止することは可能か?
CQ11 外用薬は有用か?
CQ12 ステロイド治療抵抗性の症例に免疫抑制薬は有用か?
CQ13 光線療法は有用か?
CQ14 リハビリテーションは有用か?
CQ15 上記以外で有用な治療法はあるか?
CQ16 自然寛解することがあるか?

第IV章 硬化性萎縮性苔癬

A 診断基準
B 重症度分類
C 診療ガイドライン
1.硬化性萎縮性苔癬の診療アルゴリズム
2.Clinical Question
硬化性萎縮性苔癬CQ一覧
CQ1.他の病名で呼ばれることはあるか?
CQ2.診断にどのような臨床所見が有用か?
CQ3.診断に皮膚生検は有用か?
CQ4.自然軽快することはあるか?
CQ5.副腎皮質ステロイドの外用薬は有用か?
CQ6.タクロリムス軟膏の外用は有用か?
CQ7.光線療法は有用か?
CQ8.外科的治療は有用か?
 2004年に厚生労働省強皮症調査研究班により「強皮症における診断基準・重症度分類・治療指針」が作成され、2007年に改訂されました。2010年にはevidence-based medicine(EBM)に基づいた「全身性強皮症診療ガイドライン」が公表されました。本研究班では欧米の全身性強皮症の診断基準の改定および治療の変化に対応するため、今回新たに全身性強皮症の診断基準・重症度分類・診療ガイドラインを作成するとともに、これに加えて従来診断基準・重症度分類・診療ガイドラインが存在しなかった皮膚線維化疾患である限局性強皮症、好酸球性筋膜炎、硬化性萎縮性苔癬の診断基準・重症度分類・診療ガイドラインを新たに作成することとなりました。
 これら診断基準・重症度分類・診療ガイドラインは厚生労働省科学研究費補助金(難治性疾患等政策研究事業(難治性疾患政策研究事業))「強皮症・皮膚線維化疾患の診断基準・重症度分類・診療ガイドライン作成事業」の班員、全身性強皮症診療ガイドライン作成委員会前委員長によって構成された委員会が作成したものです。全身性強皮症の診断基準に関しては2013年ACR/EULARから発表された分類基準を参考にしつつ、本邦の従来の診断基準に改訂を加えました。全身性強皮症の重症度分類に関しては過去の重症度分類を参考としつつACR/EULARでの議論をふまえ、肺病変など一部を変更しました。全身性強皮症の診療ガイドラインに関しては、過去に作成したものを参考としつつ、最近数年での治療の変遷を鑑みてCQ(クリニカル・クエスチョン)を変更、追加するとともに各CQに対して、エビデンスに基づいて推奨文、推奨度、解説を作成しました。
 限局性強皮症、好酸球性筋膜炎、硬化性萎縮性苔癬については従来診断基準がなかったため、委員会で疾患概念を議論し新たに診断基準を作成しました。重症度分類についても現存のものがないため、委員会で重症例について議論し新たに重症度分類を作成しました。診療ガイドラインも現在まで存在しないため今回新たに重要なCQを挙げ、委員会で議論をして絞り込むとともに、各CQに対してはエビデンスに基づいて推奨文、推奨度、解説を作成し、詳細に検討しました。
 日常診療でご多忙であるのにもかかわらず膨大な時間を費やして、この「全身性強皮症・限局性強皮症・好酸球性筋膜炎・硬化性萎縮性苔癬の診断基準・重症度分類・診療ガイドライン」を策定して頂いた委員の方々に深謝いたします。また、この診療ガイドラインにより強皮症・皮膚線維化疾患に対する診療レベルが向上し、これらの疾患で苦しむ多くの方々の治療にこのガイドラインが役立ち、一人でも多くの方が治癒あるいは症状の改善がもたらされることを心から願っております。

2017年3月

強皮症・皮膚線維化疾患の診断基準・重症度分類・診療ガイドライン作成委員会
委員長 尹 浩信