神経眼科診療のてびき 第2版 病歴と診察から導く鑑別疾患

「聞く・話す・見る・触れる」だけで神経眼科は診断できる!

著 者 石川 弘
定 価 7,560円
(7,000円+税)
発行日 2018/10/10
ISBN 978-4-307-35169-0

A5判・384頁・カラー図数:512枚

在庫状況 あり

神経眼科は、眼を中心とした所見から原因となる神経疾患の診療を行う分野である。神経眼科疾患はそのすべてが理論的に説明でき、症状を正確に把握すれば病巣局在や原因までも知ることができる。最新の診断機器や画像診断は必要ない。耳と口を使って症状を聞き出し、目と手を駆使すれば神経眼科は診断できる。すべての臨床医に贈る!臨床経験に裏打ちされた記述と豊富な臨床写真で好評の神経眼科マニュアル。待望の大幅アップデート。
Chapter 1 神経眼科疾患の特徴
A 神経眼科の特徴
 1 神経眼科とは
 2 神経眼科疾患の主訴の捉え方
 3 神経眼科診療の手順
B 神経眼科に必要な神経解剖学の知識
 1 眼球運動系の解剖
 2 脳幹の血管支配
 3 外眼筋の解剖
 4 眼窩の解剖
 5 海綿静脈洞の解剖
 6 瞳孔系の解剖
 7 視神経・視路の解剖
C 神経眼科に必要な神経学の知識

Chapter 2 問診の要点
A 問診10カ条
B 眼球運動異常
 1 複視の性状
 2 発症様式
 3 経過
 4 随伴症状
 5 既往歴
 6 動揺視
C 眼瞼異常
 1 眼瞼位置異常
 2 発症様式
 3 随伴症状
 4 既往歴と家族歴
D 眼球突出
 1 障害側
 2 発症様式
 3 随伴症状
 4 既往歴
E 瞳孔異常
 1 羞明
 2 大きさの異常
 3 随伴症状
 4 既往歴
F 視神経・視路異常
 1 視神経・視路異常による視力低下
 2 視神経・視路異常による視野異常
G 問診から診察、診断へ

Chapter 3 基本診察
A 眼球運動の診察
 1 頭位の変化(代償頭位)の観察
 2 眼位検査
 3 回旋偏位の検査
 4 麻痺眼の同定
 5 眼球運動制限の肉眼的観察
 6 複像検査(赤ガラス試験)
 7 Hess赤緑試験
 8 Bielschowsky頭部傾斜試験
 9 牽引試験
 10 テンシロン試験
 11 核上性眼球運動検査
 12 眼振の観察
B 眼瞼の診察
 1 瞼裂幅測定
 2 上眼瞼挙筋力測定
 3 眼瞼の動きの観察
 4 テンシロン試験
C 眼球突出の診察
 1 眼球突出の肉眼的観察
 2 定量的測定
D 瞳孔の診察
 1 瞳孔径の測定
 2 瞳孔の形の観察
 3 瞳孔反射
 4 swinging flashlight test
 5 瞳孔の点眼試験
E 視神経・視路の診察
 1 視力測定
 2 Marcus Gunn瞳孔の確認
 3 視神経乳頭の観察
 4 色覚検査
 5 視野検査
 6 半側空間無視の検査
F その他の神経症状の診察
 1 三叉神経障害
 2 顔面神経麻痺
 3 顔面の発汗
G 一般眼科検査
 1 細隙灯顕微鏡検査
 2 眼圧測定

Chapter 4 眼球運動疾患
A 核・核下性眼球運動障害
 1 動眼神経麻痺
 2 滑車神経麻痺
 3 外転神経麻痺
 4 全外眼筋麻痺
 5 Fisher症候群
 6 Wernicke脳症
 7 cranial polyneuropathy
 8 ocular neuromyotonia
 9 代償不全型斜視
B 核上性水平眼球運動障害
 1 水平注視麻痺(側方注視麻痺)
 2 核間麻痺
 3 one-and-a-half syndrome
 4 開散麻痺
 5 輻湊障害
C 核上性垂直眼球運動障害
 1 垂直注視麻痺
 2 skew deviation(斜偏位)
 3 ocular tilt reaction(眼頭部傾斜反応)
D その他の核上性眼球運動障害
 1 ocular lateropulsion
 2 ocular contrapulsion
 3 小脳性眼球運動障害
 4 ocular motor apraxia
E 先天眼球運動制限
 1 Duane眼球後退症
 2 上斜筋腱鞘症候群(Brown症候群)
 3 double elevator palsy
 4 Moebius症候群
 5 general fibrosis syndrome
F 複視の治療
 1 片眼遮閉
 2 Fresnel膜プリズム
 3 眼筋手術
 
Chapter 5 眼振と異常眼球振動
A 眼振の分類
 1 眼振の発生機序による分類
 2 眼振緩徐相速度による分類
 3 眼振の方向性による分類
 4 眼振の振幅と頻度による分類
B 病的眼振
 1 uniplanar nystagmus
 2 輻湊後退眼振
 3 シーソー眼振
 4 解離性眼振、単眼性眼振
 5 Bruns眼振
 6 注視麻痺性眼振
 7 反跳眼振(rebound nystagmus)
 8 下眼瞼向き眼振(downbeat nystagmus)
 9 上眼瞼向き眼振(upbeat nystagmus)
 10 後天振子様眼振
 11 随意眼振
C 視運動性眼振(optokinetic nystagmus:OKN)
 1 頭頂葉病変
 2 注視麻痺
 3 核間麻痺
 4 輻湊後退眼振
 5 先天眼振
 6 機能性(心因性)弱視
D 異常眼球振動
 1 square wave jerks(矩形波眼球運動)
 2 ocular flutter(眼球粗動)
 3 opsoclonus(眼球クローヌス)
 4 ocular myoclonus(眼球ミオクローヌス)
 5 ocular bobbing(眼球沈下運動)
 6 ocular dipping(眼球沈み運動)
 7 lightning eye movement(稲妻様眼球運動)
 8 上斜筋ミオキミア
  
Chapter 6 外眼筋疾患
A 外眼筋肥大を示さない外眼筋疾患
 1 重症筋無力症
 2 慢性進行性外眼筋麻痺(chronic progressive external ophthalmoplegia:CPEO)
B 外眼筋肥大を示す外眼筋疾患
 1 甲状腺眼症
 2 眼窩筋炎
 3 外眼筋肥大を示すその他の疾患

Chapter 7 眼瞼疾患
A 眼瞼下垂
 1 上眼瞼挙筋力による分類
 2 先天眼瞼下垂
 3 後天眼瞼下垂
 4 偽眼瞼下垂
B 瞼裂開大
 1 神経性瞼裂開大
 2 筋性瞼裂開大
 3 機械的瞼裂開大
 4 偽瞼裂開大
C 眼瞼の痙攣性疾患と開瞼失行
 1 眼瞼の痙攣性疾患
 2 開瞼失行
 3 ボツリヌス毒素治療

Chapter 8 眼窩疾患
A 眼窩腫瘍
 1 血管性腫瘍
 2 涙腺腫瘍
 3 リンパ腫
 4 横紋筋肉腫
 5 皮様嚢腫
 6 神経性腫瘍
 7 転移性腫瘍
 8 隣接部腫瘍の進展
 9 蝶形骨大翼欠損
B 眼窩炎症性疾患
 1 細菌性眼窩炎症
 2 真菌性眼窩炎症
 3 眼部帯状疱疹
 4 多発血管炎性肉芽腫症(Wegener肉芽腫症)
 5 特発性眼窩炎症(眼窩炎性偽腫瘍)
C 眼球陥凹をきたす疾患
 1 骨伸展
 2 軟部組織収縮
 3 外眼筋同時収縮

Chapter 9 海綿静脈洞疾患
A 血管性疾患
 1 頸動脈海綿静脈洞瘻
 2 海綿静脈洞内内頸動脈瘤
B 炎症性疾患
 1 Tolosa-Hunt症候群(有痛性眼筋麻痺)
 2 肥厚性硬膜炎
 3 海綿静脈洞血栓症
C 海綿静脈洞腫瘍
 1 原発性
 2 隣接部位からの進展
 3 遠隔転移
D 海綿静脈洞付近の症候群 
 1 海綿静脈洞症候群(石川分類)
 2 上眼窩裂症候群
 3 眼窩尖端症候群
 
Chapter 10 瞳孔疾患
A 視神経障害の検出
Marcus Gunn瞳孔(relative afferent pupillary defect:RAPD、相対的瞳孔求心路障害)
B 瞳孔異常
 1 両眼散瞳
 2 両眼縮瞳
 3 不正円形瞳孔
 4 瞳孔不同
 5 light-near dissociationを示す疾患
 6 絶対性瞳孔強直

Chapter 11 視神経疾患
A 乳頭浮腫
 1 検眼鏡所見
 2 原因
 3 偽乳頭浮腫
B 視神経萎縮
 1 単性萎縮
 2 炎性萎縮(二次性萎縮)
 3 陥凹性萎縮(緑内障性萎縮)
 4 分節状萎縮
 5 帯状萎縮(band atrophy、bow-tie atrophy)
 6 遺伝性、家族性視神経萎縮
 7 Foster Kennedy症候群
C 視神経疾患
 1 うっ血乳頭
 2 診断に注意が必要な頭蓋内圧亢進疾患
 3 視神経炎
 4 特殊な視神経炎
 5 虚血性視神経症
 6 乳頭血管炎(optic disc vasculitis、papillophlebitis)
 7 糖尿病乳頭症
 8 視神経網膜炎
 9 鼻性視神経症
 10 中毒性視神経症
 11 栄養障害性視神経症
 12 外傷性視神経症
 13 Leber病
 14 視神経腫瘍
 15 浸潤性(癌性)視神経症
 16 傍腫瘍性視神経症
 17 先天視神経乳頭異常
D 視神経疾患診察の留意点
 1 視神経病変と網膜(黄斑)病変の鑑別点
 2 マリオット盲点の拡大を示す疾患
 3 一過性視力低下
 4 内頸動脈系閉塞性疾患
 5 若年者の両眼緩徐進行性視力低下
 6 機能性(心因性)弱視

Chapter 12 視路疾患
A 視路病変
 1 視交叉病変
 2 視索病変
 3 外側膝状体病変
 4 側頭葉病変
 5 頭頂葉病変
 6 後頭葉病変
B 大脳性高次機能障害による視覚異常
 1 有線領(V1)病変
 2 後頭葉色覚中枢(V4)病変
 3 背側視覚路(where pathway)病変
 4 腹側視覚路(what pathway)病変
 5 視覚保続
 6 Charles Bonnet症候群
自序にかえて

 『神経眼科診療のてびき』の初版を世に問うてから4年が経過した。文献的な知識ではなく、私自身の臨床経験に基づいた内容を多くの方々に理解していただき、このたび第2版を上梓することになった。
 この間、日本大学板橋病院と日本大学病院に加え、埼玉医科大学病院でも診療に携わるようになり、さらに臨床経験を積み重ねることができた。そのなかで、耳と口を使って症状を聞き出し、目と手を駆使して診断に導く私の診療の基本は、ますます価値が高まっていることが確信できた。本書では、初版で紹介したこのような診療に対する考えを、さらに押し進めることを目的とした。
 まず、診察の基本となる問診の章を全面的に書き換えた。問診に際し、実際どのように聞くべきかを具体的に記述した。一読していただければ、丁寧かつ的確に訴えを聞くことがいかに大切であるかが理解され、これだけでかなりの疾患の診断が可能となることが分かると思う。問診に続いて次章の基本診察を行えば、診断はほぼ確定する。最新の診断機器や画像診断は、単なる答え合わせの意味しかなさない。また、診察中でもすぐに役立つよう、問診の掉尾に各主訴から診断への道筋を記載した。
 つぎに、私自身が新たに経験した疾患を加えた。また、すべての章で、内容をより理解しやすいように図を含め加筆し、配置も工夫した。さらに視野に関しては、可能な限り自動視野計による検査結果を併載し、臨床現場の現状に沿うように努めた。
 再び本書を送り出すことができたのも、私一人の努力では到底不可能であり、多くの方々のご支援のお蔭である。また、金原出版株式会社編集部の中立稔生氏には今回も編集の労を執っていただき、心より感謝申し上げる。
 本書に一貫して流れる診療の基本は、いつの時代になっても不変である。本書を著した最大の目的である次代を担う臨床医に神経眼科への興味を抱いてもらい、知識を伝えることができれば、これに勝る喜びはない。

2018年9月
石川 弘