遺伝性乳癌卵巣癌(HBOC)診療ガイドライン 2021年版 第2版

HBOC待望のガイドライン改訂! 最新エビデンスに基づき診療方針を推奨

編 集 日本遺伝性乳癌卵巣癌総合診療制度機構
定 価 3,740円
(3,400円+税)
発行日 2021/07/01
ISBN 978-4-307-20436-1

B5判・296頁

在庫状況 あり

がん診療・遺伝診療に携わる医療者必見! リスク低減手術やサーベイランスの保険適用を受けた待望のガイドライン改訂版。HBOCと診断されたBRCA病的バリアント保持者と医療者が、診断後の治療方法、サーベイランス方法、血縁者への対応等についての協働意思決定を支援することを目的とするガイドラインである。乳癌・卵巣癌・前立腺癌・膵癌・悪性黒色腫において、診療アルゴリズムを掲載し、重要臨床課題について最新エビデンスをもととした推奨が示されている。
・CQ毎のエビデンスの確実性および推奨一覧
・本ガイドライン作成にあたって(スコープ)
・本ガイドラインで用いる用語の解説
・重要臨床課題・診療アルゴリズム

I.総論
総論1.遺伝性乳癌卵巣癌(HBOC)の概要
総論2.家族歴聴取と家系図記載法

II.各論
II-1.遺伝子診断・遺伝カウンセリング領域
遺伝BQ1.BRCA病的バリアントの臨床的意義と遺伝学的配慮は?
遺伝BQ2.どのようなクライエントにBRCA遺伝学的検査を推奨するか?
遺伝BQ3.コンパニオン診断やがん遺伝子パネル検査等によってBRCAバリアントが先行して同定されたクライエントに対する遺伝カウンセリングの対応は?
遺伝BQ4.HBOC遺伝カウンセリングの役割と施行時期は?
遺伝BQ5.HBOC遺伝カウンセリングで提供すべき情報は?
遺伝BQ6.HBOCを含む遺伝性腫瘍症候群が疑われるクライエントに対するマルチ遺伝子パネル検査(MGP)は推奨されるか?
遺伝BQ7.遺伝学的検査の結果、病的バリアントが同定されなかった場合にどのように対応するべきか?
遺伝BQ8.遺伝学的検査の結果がVUSであった場合にどのように対応するべきか?
遺伝BQ9.遺伝学的検査を希望しないクライエントにはどのように対応するべきか?
遺伝BQ10.生殖に関する遺伝カウンセリングにはどのように対応するべきか?

II-2.乳癌領域
乳癌BQ1.どのような乳癌患者にBRCA遺伝学的検査を推奨するか?
乳癌BQ2.BRCA病的バリアント保持者の乳癌根治手術・リスク低減手術に乳頭温存乳房切除術(NSM)は推奨されるか?
乳癌BQ3.BRCA病的バリアント保持者の乳癌根治手術・リスク低減手術に再建術は推奨されるか?
乳癌CQ1.BRCA病的バリアントを有する乳癌患者に対し、対側リスク低減乳房切除術(CRRM)は推奨されるか?
乳癌CQ2.乳癌未発症のBRCA病的バリアント保持者に対し、両側リスク低減乳房切除術(BRRM)は推奨されるか?
乳癌CQ3.BRCA病的バリアントを有する乳癌患者に対し、乳房温存療法は推奨されるか?
乳癌CQ4.BRCA病的バリアントを有する乳癌患者の温存乳房・対側乳房には造影乳房MRIを用いたサーベイランスが推奨されるか?
乳癌CQ5.乳癌未発症のBRCA病的バリアント保持者には造影乳房MRIを用いたサーベイランスが推奨されるか?
乳癌CQ6.BRCA病的バリアント保持者に対し、乳癌発症の予防にリスク低減卵管卵巣摘出術(RRSO)は推奨されるか?
乳癌CQ7.BRCA病的バリアントを有する乳癌患者に対し、新規乳癌発症予防のためにタモキシフェン(TAM)は推奨されるか?
乳癌CQ8.BRCA病的バリアントを有する転移再発乳癌に対し、プラチナ製剤の投与は推奨されるか?
乳癌CQ9.BRCA病的バリアントを有する転移再発乳癌に対し、PARP阻害薬の投与は推奨されるか?
乳癌FQ1.BRCA病的バリアントを有する乳癌患者に対する周術期薬物療法は、非保持者と同様の治療が推奨されるか?
乳癌FQ2.乳癌未発症のBRCA病的バリアント保持者に対し、新規乳癌発症に対する化学予防は推奨されるか?
乳癌FQ3.BRCA病的バリアントを有する乳癌患者に対し、乳房全切除術後放射線療法(PMRT)は推奨されるか?
乳癌FQ4.BRCA病的バリアント保持者に対し、ブレストアウェアネス(breast awareness)は推奨されるか?
乳癌FQ5.リスク低減乳房切除術(RRM)検体にはどのような病理検索が推奨されるか?
乳癌FQ6.男性のBRCA病的バリアント保持者に対し、乳癌の一次予防・二次予防は推奨されるか?

II-3.卵巣癌領域
卵巣癌BQ1.どのような卵巣癌患者にBRCA遺伝学的検査が推奨されるか?
卵巣癌BQ2.BRCA病的バリアント保持者に対するリスク低減卵管卵巣摘出術(RRSO)の標準的な術式は?
卵巣癌BQ3.BRCA病的バリアント保持者でリスク低減卵管卵巣摘出術(RRSO)が実施されない場合、卵巣癌のサーベイランスの方法は何が推奨されるか?
卵巣癌CQ1.BRCA病的バリアント保持者に対し、リスク低減卵管卵巣摘出術(RRSO)は推奨されるか?
卵巣癌CQ2.リスク低減卵管卵巣摘出術(RRSO)の際の卵管の病理検索はSEE?FIMが推奨されるか?
卵巣癌CQ3.卵巣癌に対し初回薬物療法で用いられるプラチナ製剤併用レジメンは、BRCA病的バリアント保持者(BRCA関連卵巣癌)に対しても同様に推奨されるか?
卵巣癌CQ4.プラチナ製剤を含む初回薬物療法に奏効したBRCA病的バリアントを有する卵巣癌患者に対し、PARP阻害薬の維持療法が推奨されるか?
卵巣癌CQ5.BRCA病的バリアント保持者の卵巣癌発症リスク低減のために低用量経口避妊薬(OC)あるいは低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(LEP)の内服は推奨されるか?
卵巣癌CQ6.乳癌未発症のBRCA病的バリアント保持者に対し、ホルモン補充療法(HRT)は推奨されるか?
卵巣癌FQ1.リスク低減卵管卵巣摘出術(RRSO)後の原発性腹膜癌のサーベイランスの方法は何が推奨されるか?
卵巣癌FQ2.BRCA病的バリアントを有し妊孕性温存を希望する卵巣癌患者に、卵巣温存の術式や化学療法の省略は推奨されるか?
卵巣癌FQ3.BRCA病的バリアント保持者に対し、リスク低減卵管摘出術(RRS)は推奨されるか?

II-4.前立腺癌領域
前立腺癌CQ1.前立腺癌が未検出であるBRCA病的バリアントの男性保持者に対し、前立腺癌のPSAによるサーベイランスは推奨されるか?
前立腺癌FQ1.どのような前立腺癌患者にBRCA遺伝学的検査が推奨されるか?
前立腺癌FQ2.BRCA病的バリアントを有する前立腺癌に対し、どのような治療が推奨されるか?

II-5.膵癌領域
膵癌CQ1.BRCA病的バリアントを有するプラチナ感受性切除不能膵癌に対し、PARP阻害薬の維持療法は推奨されるか?
膵癌FQ1.どのような膵癌患者にBRCA遺伝学的検査が推奨されるか?
膵癌FQ2.BRCA病的バリアント保持者に対し、膵癌のスクリーニングは有用か?

II-6.悪性黒色腫領域
悪性黒色腫FQ1.BRCA病的バリアントの保持は悪性黒色腫の発症と関連があるか?

II-7.疫学領域
疫学FQ1.BRCA病的バリアント保持者に対し、どのような生活習慣が乳癌の発症に関与するか?
疫学FQ2.BRCA病的バリアント保持者に対し、どのような生活習慣が卵巣癌の発症に関与するか?

・お役立ちサイト一覧
・利益相反状況の開示について
・索引
 遺伝性乳癌卵巣癌(hereditary breast and ovarian cancer:HBOC)と診断された方にとって、その変えることができない事実を受け止めながら前進するためには、当事者(BRCA病的バリアント保持者)と医療者が、わかっていること、わかっていないことを整理しながら、ともに考え、一人一人の価値観にあった選択肢を協働意思決定していくことはとても重要です。さらにはその血縁者に対しても知る権利と知りたくないという二つの思いを受け止めサポートしていくことが必要です。このガイドラインはその協働意思決定を支援する目的で作成いたしました。
 今回のガイドラインの前身は、厚生労働科学研究(がん対策推進総合研究事業)の研究班「わが国における遺伝性乳癌卵巣癌の臨床遺伝学的特徴の解明と遺伝子情報を用いた生命予後の改善に関する研究」(研究代表者 新井正美)によって作成された「遺伝性乳癌卵巣癌症候群(HBOC)診療の手引き2017年版」です。その後、遺伝医療の診療現場への積極的導入などの変化から、HBOCに関するニーズが広く認識されるようになり、2016年8月に同研究班からHBOC診療体制の整備拡充のために発足した日本遺伝性乳癌卵巣癌総合診療制度機構(JOHBOC)の下にガイドライン作成部会が作られ、今回、Minds「診療ガイドライン作成マニュアル2017」の作成方法を遵守し、ガイドラインとして作成したものが本書になります。
 2020年は変化のうねりの中で、それに適応しながら進んだ年となりました。今回のガイドライン作成にあたりCOVID-19感染症という大きな障害が起こりながらも、その中で急速に広がったオンラインでの会議を用い意見を交わすと言う方法がとられたことも新たなガイドライン作成の手法でした。延べ30回以上にわたるオンラインでの会議を開催し、また推奨決定の会議等では、オンラインという特性からも当事者の方の意見も必ずお聞きするように努め、ある意味では今までとは違った進め方をして作成されたガイドラインであると思います。その間、2020年4月に遺伝性乳癌卵巣癌診療の一部が保険収載されたことはわが国の遺伝医療における大きな一歩であると思われます。さまざまな変化の中で、一人一人の価値観に合った選択肢をサポートし、そしてさらにはその血縁者の思いにも寄り添い、BRCA病的バリアント保持者と医療者が多様な価値観を反映した上で意思決定をする際に、このガイドラインが一役を担うことができましたら幸いです。
 最後に、大変なご尽力をいただいた委員の皆様、および色々な局面で相談をさせていただきました中村理事長はじめ統括委員の先生方に心より御礼申し上げます。また、当事者の方々には長時間にもかかわらずオンラインでの推奨決定会議にご参加いただき、ご自身の経験からとても大事なご意見を賜り心からの敬意と感謝を表します。さらには、JOHBOC事務局の下田様、島本様、横山様の事務的なサポートがなければ進めることはできませんでした。金原出版編集部スタッフの皆様の出版までの綿密かつ入念なチェックにより完成することができましたことに感謝いたします。

2021年7月

日本遺伝性乳癌卵巣癌総合診療制度機構(JOHBOC)
ガイドライン作成部会 委員長 山内 英子