患者・市民・医療者をつなぐ 膵がん診療ガイドライン2019の解説 第3版

膵がんについて正しく知りたい方々のための73のQ&A

編 集 日本膵臓学会膵癌診療ガイドライン改訂委員会
定 価 2,420円
(2,200円+税)
発行日 2020/08/06
ISBN 978-4-307-20416-3

B5判・200頁・カラー図数:46枚

在庫状況 あり

膵がんの患者さんやご家族のほか、広く市民の方々に、膵がんに関する正しい情報を届けるための一冊です。
本書では、科学的根拠と専門家の意見などに基づいて作成された、医療者用の指針である『膵癌診療ガイドライン2019年版』の内容を、73のQ&Aでやさしく解説しています。
作成にあたっては患者団体にも参加していただき、よりわかりやすい解説を目指しました。
〈膵がん診療の流れ〉
膵がん診断の流れ
膵がん治療の流れ
膵がん化学療法の流れ

〈総論〉
・総論
Q1 膵臓はどこにあるのでしょうか? どんな働きをしているのでしょうか?
Q2 膵がんとはどのような病気なのでしょうか? 教えてください。
Q3 膵がんにはどのような人がなりやすいのでしょうか?
Q4 膵がんはどのようにして発見されるのですか?
Q5 膵がんの症状について教えてください。
Q6 手術はどのような膵がんに行われるのでしょうか? 治療の目的は何ですか?
Q7 臨床試験とは何ですか?
Q8 放射線療法はどのような膵がんに行われるのでしょうか? 治療の目的は何ですか?
Q9 化学療法はどのような膵がんに行われるのでしょうか? 治療の目的は何ですか?
Q10 ステント療法とは何ですか? 治療の目的は何ですか?
Q11 支持・緩和療法とは何ですか? 治療の目的は何ですか?
Q12 家族性膵がんとは何ですか?
Q13 患者会はどのような活動をしているのですか?

〈膵がんの診断法〉
・診断
Q14 腹部超音波検査とはどんな検査ですか? どのようなときに推奨される検査ですか?
Q15 CT検査とはどんな検査ですか? どのようなときに推奨される検査ですか?
Q16 MRI検査とはどんな検査ですか? どのようなときに推奨される検査ですか?
Q17 超音波内視鏡(EUS)検査とはどんな検査ですか? どのようなときに推奨される検査ですか?
Q18 内視鏡的逆行性胆管膵管造影検査(ERCP)とはどんな検査ですか? どのようなときに推奨される検査ですか?
Q19 PET検査とはどんな検査ですか? どのようなときに推奨される検査ですか?
Q20 細胞診、組織診とは何ですか? どのようなときに推奨される検査ですか?
Q21 膵がんを早期に診断するために必要な検査は何でしょうか?
Q22 病診連携とは何ですか? 膵がんを早期にみつけるために役に立つのでしょうか?
Q23 膵がんのステージについて教えてください。
Q24 膵がんの切除可能性分類とは何ですか?
Q25 審査腹腔鏡とは何ですか? 他の検査との違いは何ですか?

〈切除可能膵がんについて〉
・切除可能膵がんの治療・外科治療
Q26 膵がんの手術は手術例数の多い病院で受けるのが良いのでしょうか?
Q27 腹腔洗浄細胞診とは何ですか? どのようなことに役立つのですか?
Q28 門脈合併切除とはどんな手術ですか? 推奨されている治療でしょうか?
Q29 予防的拡大リンパ節・神経叢郭清(拡大手術) とはどんな手術ですか? 推奨されている治療でしょうか?
Q30 腹腔鏡下膵頭十二指腸切除術とはどんな手術ですか? 推奨されている治療でしょうか?
Q31 腹腔鏡下膵体尾部切除術とはどんな手術ですか? 推奨されている治療でしょうか?
Q32 膵がん手術後は長期間にわたって定期的な経過観察が必要なのでしょうか?
Q33 手術後の経腸栄養療法とは何ですか? 推奨されている治療でしょうか?
Q34 高齢者(80歳以上)に対する手術は推奨されているのでしょうか?
Q35 膵全摘術とはどんな手術ですか? 推奨されている治療でしょうか?

・切除可能膵がんの治療・補助療法
Q36 切除可能な膵がんの場合、手術に先立って化学療法(抗がん剤治療)や放射線療法を行うことは推奨されているのでしょうか?
Q37 膵がんを切除した後で、化学療法(抗がん剤治療)や放射線療法を行うことは推奨されているのでしょうか?

〈切除可能境界膵がんについて〉
・切除可能境界膵がんの治療
Q38 切除可能境界(ボーダーライン・リセクタブル) 膵がんとは何ですか? 手術は推奨されているのでしょうか?
Q39 動脈合併切除とはどんな手術ですか? 推奨されている治療でしょうか?
Q40 切除可能境界膵がんを切除した後で、化学療法(抗がん剤治療)を行うことは推奨されているのでしょうか?

〈局所進行膵がんについて〉
・局所進行切除不能膵がんの治療
Q41 局所進行切除不能膵がんとは何ですか? どのような治療が推奨されているのでしょうか?

・局所進行切除不能膵がんの治療・放射線療法
Q42 局所進行切除不能膵がんに対して、どのような化学放射線療法が推奨されているのでしょうか?
Q43 予防的リンパ節領域照射とは何ですか? 推奨されている治療でしょうか?
Q44 化学放射線療法前の導入化学療法とは何ですか? 推奨されている治療でしょうか?
Q45 痛みなどの症状がある場合に放射線療法や化学放射線療法を行うことがあると聞きました。推奨されている治療でしょうか?
Q46 高精度放射線治療とは何ですか? 推奨されている治療でしょうか?
Q47 ハイパーサーミアとは何ですか? 推奨されている治療でしょうか?

・局所進行切除不能膵がんの治療・化学療法
Q48 局所進行切除不能膵がんに対して、どのような化学療法(抗がん剤治療)が推奨されているのでしょうか?
Q49 最初の化学療法(一次化学療法)の効果が不良な場合に、次にどのような治療が推奨されているのでしょうか?
Q50 化学療法(抗がん剤治療)はどのくらいの期間続けるのでしょうか?

・局所進行切除不能膵がんの治療・外科治療
Q51 切除不能と診断された場合でも、さまざまな治療によって切除可能になることはあるのでしょうか?

〈遠隔転移を有する膵がんについて〉
・遠隔転移を有する膵がんの治療・化学療法
Q52 遠隔転移を有する膵がんに対して、どのような化学療法(抗がん剤治療)が推奨されているのでしょうか?
Q53 最初の化学療法(一次化学療法)の効果が不良な場合に、次にどのような治療が推奨されているのでしょうか?
Q54 化学療法(抗がん剤治療)はどのくらいの期間続けるのでしょうか?
Q55 免疫療法とは何ですか? 推奨されている治療でしょうか?

・遠隔転移を有する膵がんの治療・放射線療法
Q56 骨転移の痛みに対して放射線療法は推奨されているのでしょうか?
Q57 手術後に再発した場合に放射線療法は推奨されているのでしょうか?

・遠隔転移を有する膵がんの治療・外科治療
Q58 膵がんの術後転移・再発巣に対する手術は推奨されているのでしょうか?

〈支持・緩和療法について〉
・ステント療法
Q59 膵がんによる黄疸に対する処置にはどのような方法があるのでしょうか?
Q60 手術前の黄疸に対する処置にはどのようなステントを使うのでしょうか?
Q61 手術ができない場合の黄疸に対する処置にはどのようなステントを使うのでしょうか?
Q62 金属ステントには「カバー付きのもの」と「カバーの無いもの」があると聞きました。どちらが推奨されているのでしょうか?
Q63 膵がんによって消化管が狭くなって食物の通りが悪くなった場合に、手術でバイパスを作る方法とステントを挿入する方法があると聞きました。どちらが推奨されているのでしょうか?
Q64 ステントが挿入されていても化学療法(抗がん剤治療)や放射線療法は安全に行えるのでしょうか?

・支持・緩和療法
Q65 がんの治療中に気持ちがつらくなったらどのようにすればよいのでしょうか?
Q66 膵がんによる上腹部痛、背部痛にはどのような治療が推奨されているのでしょうか?
Q67 膵がん手術後の運動療法とは何でしょうか?
Q68 アドバンス・ケア・プランニングとは何でしょうか?
Q69 FOLFIRINOX療法、ゲムシタビンとナブパクリタキセルの併用療法によって起こる末梢神経障害(しびれ、痛みなど)に対して、推奨されている治療はありますか?
Q70 栄養支持療法とは何ですか? 推奨されている治療でしょうか?
Q71 患者さん向けの質問促進パンフレットとは何でしょうか?
Q72 医療者が患者さんとのコミュニケーションの方法を身につけることは必要でしょうか?
Q73 生活や経済的な負担を軽減するためにはどのような方法があるのでしょうか?

編集後記
索引
はじめに

 現代医学の進歩により、かつて死因のトップであった結核や脳血管疾患による死亡者が減少し、1980年代以降、悪性新生物(いわゆる“がん”)による死亡数がトップになり、年々増加の一途をたどっています。2019年の厚生労働省発表の「人口動態統計の概況」によると、1年間のがんによる死亡者数は約37万人と国民総死亡者数の約27パーセントを占めるに至っています。そのうち膵がんによる死亡者数は約3万6千人と、全がん死患者の約10%を占め、肺がん、大腸がん、胃がんに次いで第4位となっています。超高齢者時代を迎え、今後さらにがんによる死亡者数が増加することが予想されます。膵がんで亡くなった有名人には大相撲九重親方(第58代横綱、千代の富士関)やスティーブ・ジョブズ、最近では星野仙一・元プロ野球監督がいますが、医学が進歩したとはいえ、こと膵がんに関しては、転移や周辺臓器に浸潤し易く、また早期発見が難しいため、残念ながら手術で完全に切除できる患者さんが少ないのが現状です。手術で完治できない膵がん患者さんに対しては、本書でも解説されているように、従来と比してより有効な化学療法や放射線治療法も開発されてきましたが、まだまだ長期予後を期待できる状況にはなく、未だに「暗黒臓器」と呼ばれる所以であります。その意味でも、生命予後向上のために、早期診断と新規治療法の開発が望まれるところですが、予後不良の膵がんを克服するためには医療者だけでなく、患者さんやご家族とも一体となって対処することが大変重要であると思われます。
 日本膵臓学会ではわが国における膵がん診療の質の向上と標準化を図るとともに、最新の情報を医療者に提供する目的で、2006年に医師向けの「科学的根拠に基づく膵癌診療ガイドライン」を刊行し、2009、2013、2016年と改訂を重ねてきました。
 この度、さらに膵がん診療に関する最新の情報を追加して2019年度改訂版を作成しました。これを受けて市民向けに分かりやすく解説された本書が、さらに膵がんに対する患者さんと御家族の理解を深めるとともに、QOLの向上に貢献することを期待しています。
 最後になりますが、本書の作成に御尽力されました作成委員長の奥坂拓志先生ならびに作成委員の皆様に深謝します。

2020年6月
一般社団法人 日本膵臓学会理事長
岡崎 和一