甲状腺癌取扱い規約 第8版

最新UICC-TNM分類、WHO分類等に準拠し、4年ぶりに改訂!

編 集 日本内分泌外科学会 / 日本甲状腺病理学会
定 価 3,740円
(3,400円+税)
発行日 2019/12/23
ISBN 978-4-307-20405-7

B5判・88頁・図数:5枚・カラー図数:102枚

在庫状況 あり

臨床領域ではUICC-TNM分類(第8版)を踏まえ、T3の定義、腺外浸潤の範囲などを見直した。病理診断領域ではWHO分類(第4版)に従い組織学的分類を一部改訂し、WHO分類との主要な相違点を詳しく解説した。国際基準を基本としつつ、わが国の知見も取り入れた本規約が、甲状腺癌診療の標準化、国際化に寄与し、ひいては新たなエビデンス創出に一役買う。
I.総論

II.記録する事項
 A.術前の所見
  1.自覚症状
  2.甲状腺腫瘤の所見
   a.腫瘤の占居部位
   b.腫瘤の大きさ
   c.腫瘤の性状
   d.皮膚および皮下組織
  3.術前の腫瘍分類
   a.T分類
   b.Ex分類
   c.N分類
   d.M分類
   e.Stage分類
 B.手術時の所見・外科治療の内容
  1.甲状腺腫瘤の所見
   a.腫瘤の占居部位
   b.腫瘤の大きさ
   c.腫瘤および甲状腺の割面
  2.手術時の腫瘍分類
   a.sT分類
   b.sEx分類
   c.sN分類
   d.sStage分類
  3.甲状腺切除範囲
  4.リンパ節郭清範囲(D分類)
  5.合併切除
  6.その他の手術
  7.腫瘍の遺残(R分類)
  8.手術合併症
 C.術後組織所見
  1.組織学的所見
   a.pT分類
   b.pEx分類
   c.pN分類
  2.pStage分類
 D.手術以外の治療
  1.TSH抑制療法
  2.放射性ヨウ素内用療法
  3.放射線外照射治療
  4.分子標的薬治療
  5.化学療法
  6.その他

III.UICCによるTNM分類と病期(Stage)分類

IV.甲状腺腫瘍の病理診断
 A.甲状腺切除検体の取扱い
  1.固定法
  2.切開法
  3.肉眼観察と切出し法
 B.組織学的分類
 C.組織型の説明
  1.良性腫瘍
   a.濾胞腺腫
  2.悪性腫瘍
   a.乳頭癌
   b.濾胞癌
   c.低分化癌
   d.未分化癌
   e.髄様癌
   f.混合性髄様癌・濾胞細胞癌
   g.リンパ腫
  3.その他の腫瘍
   a.硝子化索状腫瘍
   b.円柱細胞癌
   c.粘液癌
   d.粘表皮癌
   e.甲状腺内胸腺癌
   f.胸腺様分化を伴う紡錘形細胞腫瘍
   g.扁平上皮癌
   h.肉腫
   i.その他
   j.続発性(転移性)腫瘍
  4.分類不能腫瘍
  5.腫瘍様病変
   a.腺腫様甲状腺腫
   b.アミロイド甲状腺腫
   c.嚢胞
  付.WHO組織分類第4版(2017)との主要な違いについての解説
 D.組織診断用のチェックリスト
  組織像
 E.細胞診
  1.インフォームド・コンセント
  2.標本採取
  3.標本作製法
   a.塗抹法
   b.固定法
   c.液状化検体細胞診
  4.報告様式
   a.判定区分
   b.判定区分の診断基準
   c.付帯事項
   d.本規約とベセスダシステムの異同
  5.細胞所見
   a.腺腫様甲状腺腫
   b.亜急性甲状腺炎
   c.橋本病
   d.濾胞性腫瘍
   e.硝子化索状腫瘍
   f.乳頭癌
   g.低分化癌
   h.未分化癌
   i.髄様癌
   j.リンパ腫
  細胞像
 甲状腺癌取扱い規約General Rules for the Description of Thyroid Cancer は1977年8月の第1版発行から42年の月日を経て、第8版の発行に至った。従来、甲状腺外科学会(甲状腺外科検討会、甲状腺外科研究会)の規約委員会が発行の主体となってきたが、2018年10月に日本内分泌外科学会との統合が成り、新しく一般社団法人日本内分泌外科学会が発足したことを受けて、編者は日本内分泌外科学会の甲状腺癌取扱い規約委員会、甲状腺病理委員会および日本甲状腺病理学会の甲状腺癌取扱い規約委員会ということになった。
 今回の改定は臨床面ではUICC(国際対がん連合)のTNM分類第8版への改定(2017年)、病理面では第4版WHO分類(2017年)の発行、そして細胞診に関しては第2版ベセスダシステムの発行(2018年)を受けてのものである。UICC第8版ではT分類においてT3がT3a(腫瘍径>4cm)とT3b(前頸筋群への明らかな浸潤、甲状腺周囲脂肪組織浸潤は含まない)に分けられ、上縦隔リンパ節転移はN1bからN1aに変更されるなどの修正が行われた。本規約の改定ではこれらの改変に準拠しつつ、本規約独自の分類である腫瘍の甲状腺外浸潤の程度を表すEx分類はT分類に従い修正したうえで残すことにした。Ex分類(T3b、T4a、T4b分類)が浸潤臓器によって定義され、深達度によらない点や甲状腺周囲脂肪組織浸潤はEx0とする点、上縦隔リンパ節転移が解剖学的位置ではなく、手術手技によって定められている点など議論が残る部分もあるが、これらについては今後の検討課題としたい。なお、UICC第8版ではStage分類において、分化癌(乳頭癌、濾胞癌)における年齢の境界を45歳から55歳に引き上げ、N1症例を高齢群でもStageIIにとどめるなどの改定が行われた。これらについて本規約では従来どおり、「UICCによるTNM分類と病期(Stage)分類」の項に示した。
 病理診断では、第4版WHO分類で新たに取り入れられた境界病変(FT-UMP、WDT-UMP、NIFTP)について、わが国の実臨床の状況に合わせ採用することはせず、詳細な解説を加え対応可能とした。また、WHO分類では低分化癌の定義をより限定的なトリノ基準に従うものとしたが、本規約では従来の基準を踏襲した。一方、濾胞癌の浸潤様式による分類についてはWHO分類に準拠して、微少浸潤型、広汎浸潤型に加え、被包性血管浸潤型を設けた。細胞診については、第2版ベセスダシステムおよび甲状腺結節取扱い診療ガイドライン2013との比較表を掲載し、本規約の報告様式を明瞭化している。
 本規約は版を重ねるごとに、国際基準を基本としつつも、わが国の先達が築いてきた知見を取り入れて熟成されてきた。特に病理診断事項については第7版の病理委員会(加藤 良平、越川 卓、長沼 廣、坂本 穆彦)も改定に貢献された。今後も新たな科学的根拠の蓄積によって、より妥当性の高いものに改定されていくものと考えられる。本規約が甲状腺癌診療に携わる医師、研究者の水準の向上、標準化、国際化に寄与するとともに、一例一例の所見を大切に観察することで、新たなエビデンス創出のための基盤となることを願う。

 2019年11月

規約委員会代表 杉谷 巌

日本内分泌外科学会・日本甲状腺病理学会
甲状腺癌取扱い規約委員会
 委員長  杉谷 巌
 副委員長 伊藤 康弘、菅間 博
 委員   亀山 香織、北村 守正、絹谷 清剛、菅沼 伸康
      鈴木 眞一、日比 八束、堀内 喜代美
 顧問   原 尚人
甲状腺病理委員会
 委員長  菅間 博
 副委員長 亀山 香織
 委員   今村 好章、近藤 哲夫、中島 正洋
 顧問   廣川 満良