乳癌診療ガイドライン1 治療編 2018年版 第4版

3年ぶりの全面改訂!新推奨方式を採用し医師と患者のShared Decision Makingを実現

編 集 日本乳癌学会
定 価 5,400円
(5,000円+税)
発行日 2018/05/16
ISBN 978-4-307-20387-6

B5判・408頁・図数:1枚・カラー図数:48枚

在庫状況 あり

「薬物療法」「外科療法」「放射線療法」領域に関する臨床議題をバックグラウンドクエスチョン(BQ)・クリニカルクエスチョン(CQ)・フューチャーリサーチクエスチョン(FQ)に分類し、それぞれの科学的根拠、益と害のバランス、患者の希望の一貫性、経済的視点などを踏まえて最新の診療指針を示した。計124項目のBQ、CQ、FQを掲載。医師と患者のShared Decision Making実現を目指した新しいガイドラインを診療の傍に。
■乳癌診療ガイドライン2018 年版作成にあたって

薬物療法
1.初期治療
総説
 1)早期乳癌に対する初期治療の目的
 2)周術期の内分泌療法について
 3)周術期の化学療法について
 4)周術期の抗HER2療法について
 5)サブタイプ分類(intrinsic subtype)と周術期治療の個別化
 6)妊孕性温存と妊娠期における化学療法
 7)タモキシフェンによる子宮悪性腫瘍(子宮内膜癌と子宮肉腫)
 8)男性乳癌に対する初期治療
BQ1  ホルモン受容体陽性乳癌に対して術後内分泌療法は有用か?
CQ1  閉経前ホルモン受容体陽性乳癌に対する術後内分泌療法として何が推奨されるか?
CQ2  閉経後ホルモン受容体陽性乳癌に対する術後内分泌療法として何が推奨されるか?
CQ3  浸潤性乳癌に対する術後内分泌療法の至適治療期間はどれくらいか?
CQ4  手術可能なホルモン受容体陽性浸潤性乳癌を有する女性に術前内分泌療法を勧められるか?
 CQ4a 閉経後女性の場合
 CQ4b 閉経前女性の場合
CQ5  ホルモン受容体陽性非浸潤性乳管癌に対して術後内分泌療法は推奨されるか?
CQ6  手術可能な浸潤性乳癌に対して術前化学療法は推奨されるか?
CQ7  手術可能なHER2陽性の浸潤性乳癌に対して術前化学療法にトラスツズマブを併用することは推奨されるか?
CQ8  原発乳癌における術後薬物療法として、静注化学療法の代わりに、経口フッ化ピリミジンは推奨されるか?
CQ9  原発乳癌に対する術後薬物療法として静注化学療法にカペシタビン同時併用は推奨されるか?
CQ10  HER2 陽性原発乳癌に対して術後化学療法とトラスツズマブ併用療法は推奨されるか?
CQ11  再発リスクが高くかつ十分な骨髄機能を有する症例には、原発乳癌に対してdose-dense 化学療法は推奨されるか?
CQ12  ホルモン受容体陽性・HER2陰性乳癌に対する術後化学療法の適応を検討する因子としてKi67は推奨されるか?
FQ1  周術期化学療法の適応となるすべての原発乳癌に対して、アンスラサイクリンにタキサンを追加する必要があるか?
FQ2  術後化学療法でアンスラサイクリンを回避したレジメンは勧められるか?
FQ3  病理学的完全奏効(pCR)は無再発生存期間や全生存期間の代替エンドポイントとなるか?
FQ4  術後化学療法を行うかどうか判断するために多遺伝子アッセイは推奨されるか?
FQ5  HER2陽性乳癌の周術期治療にペルツズマブを併用することは推奨されるか?
FQ6  原発乳癌に対する再発予防を目的とする術後薬物療法として骨吸収抑制薬(ビスホスホネート、デノスマブ)は勧められるか?
2.転移・再発乳癌
総説
 1)転移・再発乳癌に対する治療の目的
 2)転移・再発乳癌に対する治療選択を行うにあたって考慮すべき因子
 3)転移・再発乳癌に対する治療原則(Hortobagyi のアルゴリズム)
 4)転移・再発乳癌に対する「一次・二次内分泌療法の定義」の変更について
 5)転移・再発乳癌に対する「一次・二次化学療法」の定義について
 6)転移・再発乳癌に対する「一次・二次抗HER2療法」の定義について
 7)転移・再発乳癌に対する抗HER2療法の“treatment-free interval”についての考え方
 8)転移・再発乳癌を対象とした臨床試験の意義ある適切なエンドポイントとは?
 9)化学療法が奏効している場合に治療を継続すべきか
 10)QOLとは
 11)男性乳癌に対する転移・再発治療
BQ2  術後療法で用いた内分泌療法は再発後の内分泌療法の選択に影響するか?
BQ3  閉経前ホルモン受容体陽性転移・再発乳癌に対して最も有用な卵巣機能抑制方法は何か?
BQ4  ホルモン受容体陽性転移・再発乳癌に対する内分泌療法において、前治療の効果は次の内分泌療法の効果予測となるか?
BQ5  乳癌骨転移に対して骨吸収抑制薬(ビスホスホネート、デノスマブ)は勧められるか?
BQ6  ER陽性HER2陰性転移・再発乳癌に対する一次治療として、内分泌療法と化学療法のどちらを行うべきか?
BQ7  転移・再発乳癌に対して動注化学療法は勧められるか?
CQ13  閉経前ホルモン受容体陽性転移・再発乳癌に対する一次内分泌療法として、何が推奨されるか?
CQ14  閉経前ホルモン受容体陽性転移・再発乳癌に対する二次内分泌療法として、何が推奨されるか?
CQ15  閉経後ホルモン受容体陽性転移・再発乳癌に対する一次内分泌療法として、何が推奨されるか?
CQ16  閉経後ホルモン受容体陽性転移・再発乳癌に対する二次内分泌療法として、何が推奨されるか?
 CQ16a アロマターゼ阻害薬抵抗性の場合
 CQ16b タモキシフェン抵抗性の場合
CQ17  閉経後ホルモン受容体陽性転移・再発乳癌に対する三次治療以降の内分泌療法として、何が推奨されるか?
CQ18  周術期化学療法においてアンスラサイクリンまたはタキサン系薬剤未使用のとき、HER2陰性転移・再発乳癌に対する一次化学療法として何が推奨されるか?
CQ19  周術期化学療法においてアンスラサイクリンまたはタキサン系薬剤が未使用のとき、HER2陰性転移・再発乳癌に対する二次以降の化学療法として何が推奨されるか?
CQ20  HER2陰性転移・再発乳癌に対する一次・二次治療化学療法としてベバシズマブを併用することは推奨されるか?
CQ21  HER2陰性転移・再発乳癌に対する多剤併用化学療法は推奨されるか?
CQ22  HER2陽性転移・再発乳癌に対する一次治療で推奨される治療は何か?
CQ23  HER2陽性転移・再発乳癌に対する二次治療で推奨される治療は何か?
CQ24  HER2陽性転移・再発乳癌に対する三次治療で推奨される治療は何か?
CQ25  化学療法の適応とならないホルモン受容体陽性・HER2 陽性転移・再発乳癌に対して内分泌療法単独や抗HER2療法と内分泌療法併用は勧められるか?
CQ26  高齢者乳癌に対する術後薬物療法として何が勧められるか?
 CQ26a 術後内分泌療法の場合
 CQ26b 術後化学療法の場合
 CQ26c 術後化学療法に抗HER2療法を併用する場合
CQ27  転移・再発高齢者乳癌に対する薬物療法として何が推奨されるか?
FQ7  ホルモン受容体陽性転移・再発乳癌に対するエストロゲン療法は有用か?
FQ8  転移・再発乳癌に対する化学療法はどこまで続けるべきか?
FQ9  転移・再発乳癌に対して治癒を目指した治療を行うことは勧められるか?
FQ10  転移・再発乳癌に対して、化学療法奏効後に内分泌療法による維持療法は勧められるか?
FQ11  乳癌脳転移および髄膜播種に抗悪性腫瘍薬は勧められるか?
FQ12  局所・領域再発切除術後に薬物療法は勧められるか?
3.その他(特殊病態、副作用対策など)
BQ8  病理分類で特殊型と診断された乳癌では、組織型に応じた周術期薬物療法を行うことが勧められるか?
BQ9  原発巣の明らかでない腋窩リンパ節転移(腺癌)に対して、乳癌に準じた薬物療法は勧められるか?
BQ10  局所進行乳癌・炎症性乳癌に対して集学的治療は勧められるか?
BQ11  化学療法施行前にインフルエンザワクチン接種や肺炎球菌ワクチン接種は勧められるか?
BQ12  内分泌療法によるホットフラッシュ・関節痛の対策として薬物療法は勧められるか?
BQ13  乳癌治療として補完・代替療法は勧められるか?
BQ14  アロマターゼ阻害薬使用患者における骨粗鬆症の予防・治療に骨吸収抑制薬(ビスホスホネート、デノスマブ)は推奨されるか?
FQ13  化学療法誘発性閉経予防・妊孕性維持のために化学療法中にLH-RHアゴニストを使用することは勧められるか?
FQ14  BRCA遺伝子変異陽性乳癌患者の薬物療法(周術期、進行・再発)として何が勧められるか?
FQ15  CYP2D6遺伝子多型をタモキシフェンの治療効果予測検査として調べることは推奨されるか?

付1  初期治療における主な併用化学療法
付2  化学療法レジメンの処方例
付3  薬剤一覧

外科療法
1.乳癌初期治療における乳房手術
総説
 1)乳癌の進展・転移に関する理論と外科治療
 2)乳房に対する外科治療
 3)わが国における乳房手術の変遷
BQ1  非浸潤性乳管癌に対して乳房温存療法は勧められるか?
BQ2  StageI、IIの浸潤性乳癌の局所療法として乳房温存療法は勧められるか?
BQ3  術前化学療法で縮小した浸潤性乳癌に対する乳房温存療法は勧められるか?
CQ1  非浸潤性乳管癌に対する非切除は勧められるか?
CQ2  浸潤性乳管癌/非浸潤性乳管癌に対する乳房温存手術において、断端陽性と診断された場合に外科的切除は勧められるか?
CQ3  乳房再建を前提にした乳房全切除術において乳房皮膚または乳頭・乳輪の温存は勧められるか?
 CQ3a 乳房皮膚の温存(skin-sparing mastectomy)は勧められるか?
 CQ3b 乳頭・乳輪の温存(nipple-sparing mastectomy)は勧められるか?
FQ1  Non-surgical ablation は早期乳癌の標準的な局所療法として勧められるか?
2.乳癌初期治療における腋窩手術
総説
 1)乳癌のbiology
 2)領域リンパ節と郭清
 3)センチネルリンパ節生検
BQ4  臨床的に明らかな腋窩リンパ節転移陽性乳癌ではレベルIIまでの腋窩リンパ節郭清が勧められるか?
BQ5  臨床的リンパ節転移陰性乳癌へのセンチネルリンパ節生検による腋窩リンパ節郭清省略は勧められるか?
BQ6  センチネルリンパ節の同定には、色素とアイソトープの併用法を用いることが勧められるか?
BQ7  術前診断が非浸潤性乳管癌に対するセンチネルリンパ節生検は勧められるか?
BQ8  腋窩リンパ節郭清術後の患側上肢のリハビリテーションは勧められるか?
BQ9  乳癌術後患側上肢リンパ浮腫に対する予防・治療は勧められるか?
CQ4  センチネルリンパ節に転移を認める患者に対して腋窩リンパ節郭清省略は勧められるか?
 CQ4a 微小転移の場合
 CQ4b マクロ転移の場合
  CQ4b-1 乳房温存療法の場合
  CQ4b-2 乳房全切除術の場合(放射線療法なし)
  CQ4b-3 乳房全切除術の場合(放射線療法あり)
CQ5  術前化学療法後に、腋窩リンパ節郭清省略を目的としたセンチネルリンパ節生検は推奨されるか?
 CQ5a 術前化学療法前後で臨床的リンパ節転移陰性乳癌に対して腋窩リンパ節郭清省略を目的としたセンチネルリンパ節生検は推奨されるか?
 CQ5b 臨床的リンパ節転移陽性乳癌が術前化学療法施行後、臨床的リンパ節転移陰性が確認された場合、腋窩リンパ節郭清省略を目的としたセンチネルリンパ節生検は推奨されるか?
FQ2  センチネルリンパ節の同定には蛍光法が勧められるか?
FQ3  内胸リンパ節領域にセンチネルリンパ節を認めた場合、生検は勧められるか?
FQ4  乳癌術後患側上肢リンパ浮腫に対する外科治療は勧められるか?
3.乳癌初期治療における乳房再建
総説
 1)再建時期と回数
 2)乳房全切除術後の再建術
 3)乳房部分切除時の再建術
BQ10 (胸壁)照射歴のある患者に対する乳房再建は勧められるか?
 BQ10a インプラントを用いた場合
 BQ10b 自家組織を用いた場合
CQ6  乳房再建を希望するリンパ節転移陽性乳癌患者に対して、乳房全切除術後の一次乳房再建は勧められるか?
FQ5  術前化学療法後の乳房再建は勧められるか?
4.転移・再発乳癌に対する外科手術
総説
 1)転移・再発乳癌に対する治療目的
 2)転移・再発乳癌に対する治療
CQ7 StageIV乳癌に対する予後の改善を期待しての原発巣切除は勧められるか?
CQ8 リンパ節再発に対する外科的切除は勧められるか?
 CQ8a 初回腋窩リンパ節郭清後の腋窩リンパ節再発の場合
 CQ8b 鎖骨上リンパ節再発の場合
FQ6  乳房温存療法後の温存乳房内再発に対して再度の乳房温存は勧められるか?
FQ7  乳房温存手術後の温存乳房内再発に対するセンチネルリンパ節生検は勧められるか?
 FQ7a 初回手術時腋窩リンパ節郭清なしの場合
 FQ7b 初回手術時腋窩リンパ節郭清ありの場合
FQ8  乳房全切除後の胸壁再発巣に対する外科的切除は勧められるか?
FQ9  肺、骨、肝転移巣に対する外科的切除は勧められるか?
FQ10  脳転移巣に対する外科的切除は勧められるか?
 FQ10a 単発性脳転移の場合
 FQ10b 多発性脳転移の場合
5.乳癌特殊病態に対する外科治療
BQ11  妊娠期乳癌に手術を行うことは勧められるか?
BQ12  高齢者の乳癌に対しても手術療法は勧められるか?
BQ13  乳癌手術時の予防的抗菌薬投与は勧められるか?
BQ14  葉状腫瘍と診断された場合に外科的切除が勧められるか?
FQ11  潜在性乳癌に対して、乳房非切除は勧められるか?
FQ12  乳房切除後疼痛症候群(PMPS)に対する薬物療法は有効か?

放射線療法
総説1 乳癌放射線療法の基本
 1)乳癌の疾患概念
 2)初期治療における放射線療法の目的と対象
 3)再発治療における放射線療法の目的と対象
 4)放射線療法の種類と対象疾患
 5)主な照射方法
 6)放射線療法による有害事象
 7)放射線療法計画時の留意事項
総説2 乳房手術後に放射線療法が勧められない場合
 1)絶対的禁忌
 2)相対的禁忌
FQ1  BRCA遺伝子変異をもつか、強く疑われる乳癌に対して、乳房手術後の放射線療法は勧められるか?
 FQ1a 乳房全切除術後の場合
 FQ1b 乳房温存手術後の場合
1.乳房手術後放射線療法
BQ1  StageI-II乳癌に対する乳房温存手術後の放射線療法として全乳房照射は勧められるか?
BQ2  非浸潤性乳管癌に対して乳房温存手術後に放射線療法は勧められるか?
BQ3  術前化学療法で病理学的完全奏効(pCR)となった場合でも乳房温存手術後放射線療法は勧められるか?
CQ1  全乳房照射において通常分割照射と同等の治療として寡分割照射は勧められるか?
CQ2  乳房温存手術後に断端陰性の場合、全乳房照射後の腫瘍床に対するブースト照射は勧められるか?
CQ3  照射法として加速乳房部分照射(APBI)は勧められるか?
BQ4  乳房温存手術後に腋窩リンパ節転移4個以上の患者では領域リンパ節(鎖骨上)への放射線療法は勧められるか?
CQ4  乳房温存手術後に腋窩リンパ節転移1〜3個の患者では、領域リンパ節(鎖骨上)を照射野に含めることが勧められるか?
FQ2  乳房温存手術後で、センチネルリンパ節に転移を認めたが腋窩リンパ節郭清が省略された患者に、領域リンパ節への照射が勧められるか?
 FQ2a 微小転移の場合
 FQ2b マクロ転移の場合
BQ5  腋窩リンパ節転移4個以上の乳房全切除術後患者では、術後放射線療法(PMRT)を行うべきか?
CQ5  腋窩リンパ節転移1〜3個陽性の乳房全切除術後患者では、術後放射線療法(PMRT)が勧められるか?
BQ6  乳房全切除術後放射線療法(PMRT)では胸壁を照射野に含めるべきか?
BQ7  乳房全切除術後放射線療法(PMRT)では鎖骨上リンパ節領域を照射野に含めるべきか?
CQ6  乳房手術後に腋窩リンパ節転移陽性の患者で、領域リンパ節照射あるいは乳房全切除術後放射線療法(PMRT)を行う患者に対して、内胸リンパ節領域を含めることが勧められるか?
CQ7  術前化学療法が奏効した場合でも乳房全切除術後放射線療法(PMRT)は勧められるか?
CQ8  乳房全切除術後の再建乳房に対する放射線療法は勧められるか?
 CQ8a 自家組織による再建乳房の場合
 CQ8b インプラントによる再建乳房の場合
 CQ8c エキスパンダー挿入中の場合
BQ8  乳房手術後放射線療法の適切なタイミングはどのようなものか?
2.転移・再発乳癌
BQ9  有痛性乳癌骨転移に対して放射線療法は勧められるか?
CQ9  有痛性骨転移に対して8Gy/1回照射を行うことは勧められるか?
BQ10  乳癌脳転移に対して放射線療法は勧められるか?
CQ10  予後良好群で全脳転移病巣の最大径が3cm未満であり、脳転移個数が1〜4個までの乳癌脳転移に対して、初期治療として定位手術的照射(SRS)を行い、全脳照射を省略することは勧められるか?
FQ3  全身状態のよい10個以下の脳転移症例において、一次治療として定位手術的照射(SRS)を行い経過観察することで、全脳照射を回避することが勧められるか?
FQ4  乳癌の局所・領域リンパ節再発では、根治を目指した放射線療法が勧められるか?

略語一覧
索引
 日本乳癌学会の診療ガイドラインは、2004年に薬物療法ガイドラインを刊行したことに始まる。当初より、EBMに準拠し、さまざまなバイアスを排除すべくランダム化比較試験あるいは、それらを束ねたメタアナリシスやシステマティック・レビューの結果を重んじた推奨を行ってきた。しかしながら、多くの臨床試験の主たるエンドポイントは、全生存率(OS)の改善であったり、無増悪生存期間(PFS)の延長であり、効果、効用(益)に偏りがちの評価であった。しかし、個々の治療薬には、軽微なものから、時に重篤な副作用が起こるものまであり、負の側面(害)も加味した評価が求められる。また、近年、分子標的薬をはじめとする数多くの新薬の価格は高騰し、対費用効果も重要な要素となっている。
 これまでの診療ガイドラインの作成にあたっては、公益社団法人日本医療機能評価機構から出版された「Minds 診療ガイドライン作成の手引き2007」に従ってきた。その手引きが、前述の「益」と「害」のバランスの情報を考慮したGRADE(Grading of Recommendations Assessment, Development and Evaluation)システムという手法を取り込んだ、「Minds 診療ガイドライン作成の手引き2014」に改訂された。日本乳癌学会理事会は、診療ガイドライン委員会(岩田広治委員長)の答申を受け、GRADEシステムを用いた診療ガイドラインへの大幅改訂を承認し、同時に、本来、2年ごとの改訂版出版の予定(当初2017年に刊行を予定)を、1年延期することも決定した。したがって、今回の大幅改訂に携わった先生方には、GRADEシステムを理解することに始まり、初版本に匹敵する労力を強いることとなったが、ここに完成版を手にし、深く感謝申し上げる次第である。また、これまでの表記と異なるために、利用者にとっては多少の違和感を生じたり、さまざまなご意見をもたれることも予想される。お気づきの点があれば、随時ご指摘いただき、改善すべき点があれば、まずはWEB版で対応を図る予定である。今後は、患者向けガイドラインを作成し、医療現場で、医師を含む医療者と患者の共通理解のもとで、個々の人生観、価値観に照らし合わせた治療方針決定がなされる、いわゆるShared decision makingがさらに浸透することに注力していきたい。

2018年4月
日本乳癌学会 理事長
中村 清吾