臨床・病理 乳癌取扱い規約 第18版

WHO分類、UICC TNM分類との整合性を図り、病理編を大幅改訂!

編 集 日本乳癌学会
定 価 4,400円
(4,000円+税)
発行日 2018/05/16
ISBN 978-4-307-20386-9

B5判・128頁・図数:5枚・カラー図数:141枚

在庫状況 あり

WHO分類(第4版)、UICC TNM分類(第8版)との整合性を図り、病理編を大幅改訂。組織型分類の変更、病理学的TNM分類の記載の追加、組織学的治療効果判定の図譜の追加などを行った。また、WHO分類との対応表や切除検体の病理学的記載事項のチェックリストなども新たに掲載し、利便性を向上。臨床編ではリンパ節、術式の名称などを変更した。
第1部 臨床編

第1章 腫瘍の臨床的記載法
1. 腫瘍占居部位
2. 腫瘍の大きさ
3. 腫瘍の性状
4. 臨床所見
5. 臨床病期(Stage)分類

第2章 治療の記載法
1. 手術
2. 領域リンパ節の名称とレベル
3. 手術以外の治療法

第3章 治療症例数および転帰の記載法
1. 治療症例数
2. 再発
3. 遠隔成績

第4章 臨床的治療効果の判定基準
1. 効果判定の目的
2. 治療前(ベースライン)における腫瘍病変の測定可能性
3. 測定法ごとの詳細
4. 腫瘍縮小効果の判定
5. 最良総合効果
6. 再評価の頻度
7. 確定のための測定/奏効期間
8. 効果や増悪に関する第三者による再判定
9. 最良総合効果に関する結果の報告


第2部 病理編

第1章 乳腺腫瘍の組織学的分類
I. 上皮性腫瘍
II. 結合織性および上皮性混合腫瘍
III. 非上皮性腫瘍
IV. その他
[WHO組織型分類と取扱い規約分類との対比表]

第2章 切除標本の組織学的取扱いと記載法
1. 切除標本(割面)の大きさ
2. 切除標本に対する割の入れ方
3. 組織の固定
4. 病理学的病期分類
5. 断端の評価
6. 脈管侵襲の有無
7. 浸潤癌の組織学的波及度
8. 病理学的グレード分類
9. ホルモン受容体、HER2

第3章 細胞診および針生検の報告様式
1. 細胞診
2. 針生検

第4章 バイオマーカー検索と判定基準
1. ホルモン受容体
2. HER2
3. Ki67

第5章 組織学的治療効果の判定基準
1. 乳房内病変の治療効果判定
2. 腋窩病変の治療効果判定
3. 病理学的完全奏効(pCR)について

付.切除検体の病理学的記載事項(チェックリスト)
資料 TNM分類(UICC、第8版、2017)
索引
 第18版改訂では、国内外の分類体系との整合性を図った。乳癌取扱い規約内容は、日本乳癌学会が積み重ねてきた実臨床の枠組みそのものであるため、その歴史的経緯を尊重しつつ、一方で、国際的コミュニティにおける読み替え可能性に配慮した。具体的には、すでに発行されているWHO分類(乳腺、第4版、2012年)およびUICC第8版(2017年)、また、今後発行予定である領域横断的癌取扱い規約との整合性を図った。結果として病理編の大幅改訂となった。
 臨床編においては“領域”という言葉をリンパ節に使用し、部位は“A〜E 区域”と名称を変更した。また、“胸骨傍”を“内胸”リンパ節に変更するとともに術式名の変更を行った。第2部病理編第1章では組織型分類の変更、WHO分類との対応表作成、第2章では組織学的取扱い内容の記載順の変更、病理学的T、 N、 M分類の記載追加、センチネルリンパ節に関する記載例の表記、第4章ではAllred score、陽性細胞割合や、HER2 in situ hybridization法に関する記述の追加、第5章では記載内容の見直しと図追加を行った。また、最後に切除検体の病理学的記載事項チェックリストを追加した。
 AJCC 第8版では、従来の解剖学的分類から機能的分類と新たな方向性が提示されており、今後も国際的動向を注視する必要がある。今回、内因性サブタイプではなく、その要素(ホルモン受容体、HER2、Ki67)の記述にとどめているのは、カテゴリー定義の変化に対応可能な規約を目指したためである。
 本規約が、診療の動的変化から生まれる英知を集約し、次世代の乳癌診療の発展に役立つことを期待する。

 2018年4月
 日本乳癌学会規約委員会
  委員長 増田 しのぶ
  副委員長 山本 豊
  委員 青儀 健二郎、堀井 理絵、森谷 卓也、向井 博文、杉江 知治、武井 寛幸、山内 智香子
  顧問 秋山 太、岩田 広治