JASCCがん支持医療ガイドシリーズ がん薬物療法に伴う皮膚障害アトラス&マネジメント

がん薬物療法完遂のために、知っておくべき皮膚症状と対策49例

編 集 日本がんサポーティブケア学会
定 価 3,780円
(3,500円+税)
発行日 2018/08/31
ISBN 978-4-307-20378-4

B5判・160頁・図数:1枚・カラー図数:147枚

在庫状況 あり

近年開発された分子標的治療薬や免疫チェックポイント阻害薬では、これまでの抗がん薬にはなかった皮膚症状を生じる頻度が高く、重症化するとがん薬物療法の減量や中止に至ることもあるため、早期の対応が重要である。
本書では各薬剤で生じる特徴的な皮膚症状49例を掲載し、多数の症例写真とともに、治療経過とポイントを分かりやすく解説した。予定通りのがん薬物療法の完遂と、患者さんのQOL維持・向上のために、実践の現場で役立つ一冊。


【関連書籍】がん薬物療法に伴う末梢神経障害マネジメントの手引き 2017年版
■ 本アトラスについて
■ 本アトラスの症例からみた支持療法のアルゴリズム 

第1章 EGFR阻害薬
1.ざ瘡様皮疹 (症例1〜7)
 〔注〕ざ瘡様皮疹:重篤な細菌感染症の合併(症例1)
2.皮膚乾燥(症例1〜5)
3.EGFR 阻害薬による真皮の変化:血管障害、びらん・潰瘍
 3-1 アナフィラクトイド紫斑病/IgA 血管炎様の皮疹(症例1〜2)
 3-2 びらん・潰瘍(症例1〜2)
4.爪囲炎(症例1〜3)
5.毛髪異常(症例1〜2)

第2章 マルチキナーゼ阻害薬
1.手足症候群(症例1〜3)
2.多形紅斑(症例1)

第3章 タキサン系抗がん薬
1.爪障害(症例1〜3)

第4章 免疫チェックポイント阻害薬
1.皮膚障害(症例1〜4)
 〔注〕乾癬(症例1)
2.白斑(症例1〜3)

第5章 低分子性分子標的薬
1.皮膚障害(症例1〜11)
2.脱毛(症例1)

■ 付.薬剤一覧
■ 索引
 日本がんサポーティブケア学会皮膚障害部会による「がん薬物療法に伴う皮膚障害アトラス&マネジメント」がいよいよ発刊される運びとなりました。
 近年の抗がん薬の開発は、従来の殺細胞性抗がん薬から分子標的治療薬ならびに免疫チェックポイント阻害薬にシフトしています。従来の薬剤の多くは、骨髄抑制が主たる用量制限毒性で、その他、末梢神経障害、腎毒性、蓄積毒性としての心毒性がみられますが、皮膚障害が前面に出て、そのために使用が制限されることはまずありませんでした。一方、EGFR阻害薬をはじめとする分子標的治療薬は高頻度に皮膚障害を生じます。皮疹、出血、潰瘍、疼痛、容姿の変化に患者さんは苦しみ、抗がん薬の減量・遅延をもたらし、ときに重症化して薬剤中止に至ります。せっかく効いていた薬剤を中止せざるを得ないのは医療者・患者にとって極めて残念なことです。できれば予防ができ、できない場合も早期発見によるケアにより治療を予定通り完遂することが望まれます。
 そういったなか、本学会の皮膚障害部会、山崎直也部会長(国立がん研究センター中央病院皮膚腫瘍科部長)に、腫瘍専門医はもちろん腫瘍を専門としない医療者にも理解しやすく医療の現場で役立つ、皮膚病変の写真をふんだんに掲載したフォトダイアリーのようなものができないものだろうかと相談しましたところ、部会が中心となり平川聡史副部会長をはじめとする作成委員の大変な尽力を得て、本冊子は完成しました。
 本冊子の特徴は、がん薬物療法に伴う皮膚障害を正面からとらえ、各薬剤における特徴的な皮膚病変を写真として掲載し、詳細な説明を加えています。ときに病理組織の写真をつけて、皮膚病変の特徴を理解しやすくしています。これらをもとに鑑別診断、確定診断をし、エビデンスが少ない領域ですが、現時点で勧められるマネジメントが記載されています。
 また、いろいろな意味で話題になっている免疫チェックポイント阻害薬にも触れ、他の分子標的治療薬ではみられない皮膚病変が記載されていますが、本薬剤には未知の副作用が出てくる可能性を示唆しています。さらに、殺細胞性抗がん薬のなかで、爪の障害のために治療継続が困難になるタキサン系薬剤についても記載され、現在がん薬物療法に伴う皮膚障害で課題となる薬剤について幅広くカバーされています。
 本冊子は、がん薬物療法に伴う皮膚病変に遭遇したときに腫瘍専門医はもちろん、一般の医療者にも役立つ、容易に参照できる冊子となっています。がん薬物療法実践の現場に置いていただき、患者さんのQOLの維持・向上、がん治療の完遂をお願いしたいと思います。
 分子標的治療薬を初めとする抗がん薬は、この他にも多彩な副作用を惹起し患者を苦しめます。日本がんサポーティブケア学会は、がんに伴う種々の「痛み」、がん治療に伴う副作用に対して「JASCCがん支持医療ガイドシリーズ」として作成・発刊していく予定です。みなさまのご協力・ご支援をお願い致します。
 最後に、本冊子作成にあたり常にリード役をとられた山崎、平川両先生、作成委員の方々、また作成の段階から種々の助言をいただき、出版まで尽力いただいた金原出版の佐々木瞳氏に深謝申し上げ、本冊子の発刊の序とさせていただきます。

2018年7月
日本がんサポーティブケア学会
理事長 田村 和夫