腫瘍崩壊症候群(TLS)診療ガイダンス
腫瘍崩壊症候群の予防・治療に関する本邦初のガイダンス!
編 集 |
日本臨床腫瘍学会 |
定 価 |
1,980円 (1,800円+税) |
発行日 |
2013/08/30 |
ISBN |
978-4-307-20316-6 |
B5判・64頁・図数:19枚
近年、各種がん領域における分子標的治療薬等の有効薬剤が出現し、造血器腫瘍のみならず固形腫瘍においても腫瘍崩壊症候群(TLS)をきたす症例がみられるようになり、TLSの存在とその対応について周知することは極めて重要である。本書は、TLSの診断・治療における臨床指針を示し、予防・治療薬の適正使用を推進する本邦初のガイダンスである。
血液内科医を中心にTLSの存在と予防的措置はとられてきましたが、担当医の「経験と勘」によってマネ−ジされてきた経緯があります。近年、固形がんの薬物療法を主として担当するがん薬物療法専門医(腫瘍内科医)が増加し、薬剤感受性のある種々のがんを扱うようになりました。また、新たに分子標的薬が市場に登場し、従来薬剤感受性が低いと考えられていた腫瘍が著効を示し、TLSをきたす例を経験するようになりました。従ってTLSの認知とその対応について周知することは極めて重要であり、そのためのガイドが必要と考えられました。また、2010年から強力で即効性のある尿酸分解薬、ラスブリカ−ゼが使用できるようになり、アロプリノ−ルより有効性が高い一方で、再投与が推奨されない(CQ6)ため、その適用については厳格でなければなりません。
こういったことを背景に、TLSのリスク(宿主側、腫瘍側の要因、治療内容)を検討し、適切な予防措置のガイド的なものが必要と考えられ、日本臨床腫瘍学会ガイドライン委員会(委員長:室圭)の努力により、本冊子が作成されました。これまでTLSに関する研究が少なく、エビデンスが十分蓄積されてきていません。本ガイダンスに沿って、個々の症例のリスクを検討・治療し、その結果を評価をし、フィ−ドバックいただければと思います。
(『序』より)
1.総論
2.TLSの定義・病態
1)定義
2)病態
3.TLSリスク評価の流れ
1)TLSリスク評価の手順
4.各疾患におけるTLSリスク評価
1)固形がんにおけるTLSリスク評価
2)多発性骨髄腫におけるTLSリスク評価
3)白血病におけるTLSリスク評価
4)悪性リンパ腫におけるTLSリスク評価
5)小児科領域におけるTLSリスク評価
5.TLSの予防と治療
1)TLSの治療法
2)TLS予防・治療の実際
CQ1 TLS予防のために尿のアルカリ化は必要か
CQ2 TLSの診断はどのような規準で行うか
CQ3 TLS予防においてラスブリカーゼはアロプリノールより有効か
CQ4 TLS予防においてラスブリカーゼとアロプリノールの開始時期の推奨は
CQ5 ラスブリカーゼの投与量と投与期間は
CQ6 ラスブリカーゼの再投与は可能か
CQ7 Hyperleukocytosisに合併したTLSに対するLeukocytapheresis/Exchange transfusionは推奨されるか
付録1 15歳以上の固形がんにおけるTLSの報告
付録2-1 ボルテゾミブによりTLSを発症した多発性骨髄腫の報告
付録2-2 サリドマイドによりTLSを発症した多発性骨髄腫の報告
付録3 15歳未満の固形腫瘍(良性腫瘍を含む)におけるTLSの報告