造血器腫瘍診療ガイドライン 2018年版 第2版

5年ぶりの大改訂!新規薬剤や免疫チェックポイント阻害剤の適応拡大について解説

編 集 日本血液学会
定 価 5,400円
(5,000円+税)
発行日 2018/07/20
ISBN 978-4-307-10192-9

B5判・420頁・図数:2枚・カラー図数:31枚

在庫状況 あり

5年ぶりの大改訂となる第2版では、慢性骨髄性白血病に対する新規チロシンキナーゼの選択肢の拡大、悪性リンパ腫に対する新規抗体療法、免疫チェックポイント阻害剤の適応拡大、多発性骨髄腫に対する様々な新規薬剤の登場など、飛躍的に進歩した造血器腫瘍の治療について適切なクリニカルクエスチョンでわかりやすく解説されている。本書を通読すれば最新のエビデンスが容易に理解でき、すべての血液内科医が診療の現場で標準的な治療が行えるよう工夫されている。
はじめに

I.白血病

1.急性骨髄性白血病(AML)
総論
アルゴリズム
CQ1 AMLの診断時に必要な遺伝子検査は何が勧められるか
CQ2 若年者de novo AMLに対する標準的寛解導入療法としてどのレジメンが勧められるか
CQ3 若年者de novo AMLの寛解導入療法(アントラサイクリン+標準量シタラビン)に他の薬剤の追加やシタラビン大量療法の組み込みは有効か
CQ4 高齢者AMLに対して推奨される寛解導入療法は何か
CQ5 1回の寛解導入療法で完全寛解が得られない場合、どのような治療法を選択すべきか
CQ6 CBF‐AMLの寛解後療法として何が勧められるか
CQ7 CBF‐AML以外のAMLの寛解後療法として何が勧められるか
CQ8 若年者AMLの第一寛解期に同種造血幹細胞移植の適応はどのように決定すべきか
CQ9 移植適応のない高齢者AMLに寛解後療法を施行するメリットはあるか
CQ10 非寛解期AMLに対する同種造血幹細胞移植の適応に関する指標はあるか
CQ11 AMLにおいて治療後の好中球減少期にG‐CSFを使用するのは有用か
CQ12 AMLの化学療法において、どのような場合に腫瘍崩壊症候群の予防を実施すべきか
CQ13 AMLにおいて中枢神経白血病の予防は勧められるか
CQ14 腫瘤形成性AMLに対して通常の寛解導入療法を行うのは妥当か
CQ15 AMLにおける微小残存病変の評価として何が勧められるか
CQ16 AMLに対するGOの適切な使用法は何か

2.急性前骨髄球性白血病(APL)
総論
アルゴリズム
CQ1 初発APLの治療開始前に行うべき検査と予後因子は何か
CQ2 初発APLの寛解導入療法として何が勧められるか
CQ3 初発APLの寛解導入療法におけるDIC対策として何が勧められるか
CQ4 APL分化症候群の治療は何が勧められるか
CQ5 初発APLのATRAと化学療法による寛解後の至適な地固め療法は何か
CQ6 初発APLの寛解例における至適な維持療法は何か
CQ7 再発APLの至適な再寛解導入療法は何か
CQ8 ATOによるAPL第二寛解例の寛解後治療として何が勧められるか
CQ9 高齢者APLの至適な治療方法は何か

3.急性リンパ芽球性白血病/リンパ芽球性リンパ腫(ALL/LBL)
総論
アルゴリズム
CQ1 骨髄浸潤のないLBLの治療はALLと同じ治療が推奨されるか
CQ2 成人若年者(<65歳)Ph陽性ALLに対する初期治療はBCR‐ABLチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)併用化学療法が推奨されるか
CQ3 高齢者(≧65歳)Ph陽性ALLに対する初期治療はTKI+ステロイド療法が推奨されるか
CQ4 思春期・若年成人ALLは小児プロトコールでの治療が推奨されるか
CQ5 成人(30〜64歳)Ph陰性ALLの治療は何が推奨されるか
CQ6 高齢者(≧65歳)Ph陰性ALLの治療は何が推奨されるか
CQ7 非若年者Ph陰性ALL(初発例)において、T細胞性ALLとB細胞性ALLは同様の治療方法が推奨されるか
CQ8 成人ALLの治療において中枢神経系再発予防は推奨されるか
CQ9 寛解期成人ALLの治療における微小残存病変の評価の意義はあるか
CQ10 成人ALLの寛解後療法において大量シタラビン療法や大量メトトレキサート療法は推奨されるか
CQ11 縦隔病変を有するT細胞性LBLに対して縦隔照射は行うべきか
CQ12 第一寛解期の同種造血幹細胞移植は推奨されるか(Ph陽性、Ph陰性を含む)、また減弱前処置による同種造血幹細胞移植は有用か
CQ13 第一寛解期で造血幹細胞移植を行わない場合、維持療法は推奨されるか(Ph陽性、Ph陰性を含む)
CQ14 ALL再発例(Ph陰性前駆B細胞ALL、Ph陽性前駆B細胞ALL、前駆T細胞ALL)に対する再寛解導入療法の選択肢として何が推奨されるか

4.慢性骨髄性白血病/骨髄増殖性腫瘍(CML/MPN)
総論
アルゴリズム
CQ1 初発CML‐CPに対する治療として何が勧められるか
CQ2 TKI治療開始後の効果判定のモニタリングはどのような方法が勧められるか
CQ3 ELNの効果判定基準によりWarningやFailureとされた症例に対する二次治療は何が勧められるか
CQ4 TKIの長期治療中の副作用モニタリングとして何が勧められるか
CQ5 進行期CML(APおよびBP)の治療はTKIが勧められるか
CQ6 DMRを達成しMRDが検出されなければTKI中止は勧められるか
CQ7 PV瀉血療法後のHt目標値を45%にすることは勧められるか
CQ8 高リスクETにおける細胞減少療法薬は何が勧められるか
CQ9 心血管リスクファクターを有する低リスクET症例に対してアスピリン投与は勧められるか
CQ10 若年者低リスクPV/ET症例に対してヒドロキシウレアによる治療介入は勧められるか
CQ11 妊娠合併ETに対して流産を減少させるための治療介入は勧められるか
CQ12 高リスク、中間‐IIリスク原発性骨髄線維症に対する治療法は何が勧められるか

5.慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫(CLL/SLL)
総論
アルゴリズム
CQ1 早期CLLに対して治療は勧められるか
CQ2 標準治療実施可能(fit)な未治療進行期CLLに対して化学免疫療法は勧められるか
CQ3 標準治療実施不可能(unfit)な未治療進行期CLLに対して化学免疫療法は勧められるか
CQ4 17p欠失/TP53異常(変異と欠失)のある進行期CLLに対してBTK阻害薬や抗CD52抗体薬は勧められるか
CQ5 晩期再発CLLに対して初回治療と同様の治療は勧められるか
CQ6 治療抵抗性・早期再発CLLに対してBTK阻害薬や抗体薬は勧められるか
CQ7 再発CLLに対して造血幹細胞移植は勧められるか
CQ8 組織学的形質転換をきたしたCLL(Richter症候群)に対して造血幹細胞移植は勧められるか

6.骨髄異形成症候群(MDS)
総論
アルゴリズム
CQ1 MDSの予後予測法、リスク分類として勧められるのは何か
CQ2 輸血による鉄過剰症への鉄キレート剤が適応とされる状態は何か
CQ3 低リスクMDSの治療において免疫抑制療法は勧められるか
CQ4 低リスクMDSの貧血に対してサイトカイン療法は勧められるか
CQ5 低リスクMDSの貧血に対して蛋白同化ステロイドは勧められるか
CQ6 MDSの治療としてレナリドミドは勧められるか
CQ7 低リスクMDSの治療としてアザシチジンは勧められるか
CQ8 MDSに対する同種造血幹細胞移植の適応と適切な実施時期はいつか
CQ9 MDSに対して減弱した前処置による同種移植は勧められるか
CQ10 高リスクMDSに対してアザシチジンは勧められるか
CQ11 高リスクMDSに対してレナリドミドは勧められるか
CQ12 高リスクMDSにおいて化学療法は勧められるか


II.リンパ腫

悪性リンパ腫 総論
1.濾胞性リンパ腫(FL)
総論
アルゴリズム
CQ1 初発進行期高腫瘍量のFLに対する治療は何が勧められるか
CQ2 初発進行期低腫瘍量のFLに対する治療は何が勧められるか
CQ3 初発限局期FLに対する治療は何が勧められるか
CQ4 初発進行期のFLに対してリツキシマブ維持療法を実施すべきか
CQ5 FLの初回再発時の治療として何が勧められるか
CQ6 再発FLに対して自家移植併用大量化学療法、同種造血幹細胞移植は勧められるか
CQ7 組織学的形質転換をきたしたFLに対する治療として何が勧められるか

2.辺縁帯リンパ腫(MALTリンパ腫/粘膜関連リンパ組織型節外性辺縁帯リンパ腫および脾辺縁帯リンパ腫を含む)
総論
アルゴリズム
CQ1 H. pylori陽性限局期胃MALTリンパ腫の初期治療方針は何が勧められるか
CQ2 H. pylori陽性限局期胃MALTリンパ腫で除菌失敗の時の治療法は何が勧められるか
CQ3 除菌後にリンパ腫の残存がみられる場合の治療は何が勧められるか
CQ4 H. pylori陰性限局期胃MALTリンパ腫の治療は何が勧められるか
CQ5 進行期胃MALTリンパ腫の治療は何が勧められるか
CQ6 胃以外のMALTリンパ腫の治療は何が勧められるか
CQ7 DLBCLとの境界病変の場合の治療は何が勧められるか
CQ8 節性辺縁帯リンパ腫の治療は何が勧められるか
CQ9 C型肝炎ウイルス陽性の場合の脾辺縁帯リンパ腫の治療は何が勧められるか
CQ10 HCV陰性脾辺縁帯リンパ腫の治療は何が勧められるか

3.リンパ形質細胞性リンパ腫/ワルデンシュトレームマクログロブリン血症(LPL/WM)
総論
アルゴリズム
CQ1 原発性マクログロブリン血症の治療はどの時点で開始するのが適切か
CQ2 原発性マクログロブリン血症の初回治療として何が勧められるか
CQ3 原発性マクログロブリン血症の再燃・再発時の救援治療として何が勧められるか

4.マントル細胞リンパ腫(MCL)
総論
アルゴリズム
CQ1 限局期MCLの初回治療として推奨される治療法は何か
CQ2 MCLの初回治療として無治療経過観察は適切か
CQ3 初発進行期MCLの治療としてリツキシマブ単独療法は有用か
CQ4 初発進行期MCLの化学療法にはリツキシマブを併用すべきか
CQ5 65歳以下の初発進行期MCLに推奨される化学療法は何か
CQ6 初回治療が奏効した比較的若年者(65歳以下)のMCLには、地固め療法として自家造血幹細胞移植併用大量化学療法を実施すべきか
CQ7 66歳以上、あるいは65歳以下でも強力な化学療法の適応とならない初発進行期MCLに対する標準治療は何か
CQ8 再発・治療抵抗MCLに推奨される治療は何か

5.びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL、NOS)
総論
アルゴリズム
CQ1 初発限局期DLBCLに対する標準治療は何が推奨されるか
CQ2 初発進行期DLBCLに対する標準治療は何が推奨されるか
CQ3 DLBCLでは中枢神経系再発予防のための髄注は必要か
CQ4 心機能の低下が予想される初発DLBCLに対して適切な化学療法は何が推奨されるか
CQ5 高齢者DLBCLに対する標準治療は何が推奨されるか
CQ6 初回化学療法で奏効を得たDLBCLに対して引き続き自家造血幹細胞移植併用大量化学療法による地固め療法を行うことは勧められるか
CQ7 再発・再燃DLBCLに対して自家造血幹細胞移植併用大量化学療法は勧められるか
CQ8 再発・再燃DLBCLに対して同種造血幹細胞移植の適応はあるか
CQ9 節外性リンパ腫など治療上の特別な配慮が必要なDLBCLの病態・病型には何があるか
CQ10 胃原発DLBCLの治療方針は何が勧められるか
CQ11 DLBCLに対して初回治療中間でのPET検査(interim PET)は予後予測に有用か

6.バーキットリンパ腫(BL)
総論
アルゴリズム
CQ1 BLに対する初回治療は何が勧められるか
CQ2 BLの初回治療にリツキシマブの併用は有効か
CQ3 BLに対して腫瘍崩壊症候群の予防は必須か
CQ4 BLに対して放射線治療は勧められるか
CQ5 BLに対して造血幹細胞移植は勧められるか
CQ6 High‐grade B‐cell lymphomaに対する治療は何が勧められるか

7.末梢性T.細胞リンパ腫(PTCL)
CQ1 初発ALK陽性ALCLに対して最も勧められる治療は何か
CQ2 初発PTCL‐NOS、AITL、ALK 陰性ALCLに対して最も勧められる治療は何か
CQ3 初発進行期PTCL‐NOS、AITL、ALK陰性ALCLの化学療法後CR例において地固め療法としての自家造血幹細胞移植併用大量化学療法は必要か

8.成人T.細胞白血病・リンパ腫(ATL)
総論
アルゴリズム
CQ1 初発アグレッシブATLに対し最も推奨される治療法は何か
CQ2 アグレッシブATLに対する同種造血幹細胞移植は有用か
CQ3 インドレント(くすぶり型、予後不良因子を持たない慢性型)ATLの標準治療は無治療経過観察か
CQ4 再発・難治アグレッシブATLに対する治療法は何が勧められるか
CQ5 ATL に対するインターフェロンαとジドブジンの併用療法は有用か

9.節外性NK/T.細胞リンパ腫、鼻型(ENKL)
総論
アルゴリズム
CQ1 初発鼻腔周辺限局期(頸部リンパ節浸潤までのIIE期)ENKLに対して最も勧められる治療は何か
CQ2 初発鼻腔周辺限局期のRT‐2/3DeVIC療法後CR例に対して地固め療法としての自家造血幹細胞移植併用大量化学療法は必要か
CQ3 初発進行期および初回再発/治療抵抗性ENKLに適した治療は何か
CQ4 初発進行期ENKL全例および初回再発/治療抵抗性ENKLで救援療法後CR例では造血幹細胞移植を追加すべきか
CQ5 初発進行期および初回再発/治療抵抗性ENKLの救援療法後非CR例において造血幹細胞移植を追加する意義はあるか

10.ホジキンリンパ腫(HL)
総論
アルゴリズム
CQ1 限局期CHLに対する標準治療は化学療法と放射線療法の併用(CMT)か
CQ2 Bulky病変を認めない限局期CHLに対する化学療法単独療法は推奨されるか
CQ3 限局期CHL予後良好群ではABVD療法2コースとIFRTのCMTが推奨されるか
CQ4 限局期CHL予後不良群に対し推奨される治療法は何か
CQ5 限局期結節性リンパ球優位型HL(NLPHL)に対し推奨される治療法は何か
CQ6 進行期CHLの標準治療はABVD療法か
CQ7 進行期CHLにおいて増量BEACOPP療法はABVD療法より臨床的に優れているか
CQ8 進行期CHLにおいて治療法を決定する際に国際予後スコアを考慮すべきか
CQ9 進行期CHLにおいて初回治療中間でのPET検査(interim PET)は予後予測に有用か
CQ10 進行期CHLで化学療法によりCRに至った症例において地固め療法としてのIFRTは推奨されるか
CQ11 若年者再発CHLに対して自家造血幹細胞移植併用大量化学療法は推奨されるか
CQ12 再発・難治性CD30陽性CHLに対してブレンツキシマブ ベドチンは有効か
CQ13 再発・難治性CHLに対して抗PD-1抗体は有効か


III.骨髄腫
1.多発性骨髄腫(MM)
総論
アルゴリズム
<くすぶり型多発性骨髄腫>
CQ1 くすぶり型多発性骨髄腫患者に対して診断後直ちに化学療法を実施することは妥当か
CQ2 くすぶり型多発性骨髄腫患者に対するビスホスホネート製剤の投与は妥当か
<移植適応のある初発多発性骨髄腫(症候性)>
CQ1 若年者症候性骨髄腫患者における移植を前提とした寛解導入療法では何が優れているか
CQ2 若年者症候性骨髄腫患者に対する自家造血幹細胞移植併用療法は薬物療法単独と比べて生存期間を延長させるか
CQ3 若年者症候性骨髄腫患者に対して寛解導入後早期に自家造血幹細胞移植を行うことは再発時に移植を行うよりも勧められるか
CQ4 自家造血幹細胞移植における前処置として大量メルファラン療法は全身放射線照射を含む前処置と比べて優れているか
CQ5 若年者症候性骨髄腫患者に対して2回連続自家造血幹細胞移植(タンデム自家移植)を行うことは1回(シングル)移植と比べて生存期間を延長させるか
CQ6 自家造血幹細胞移植における移植後の地固め・維持療法は生存期間を延長させるか
CQ7 若年者症候性骨髄腫患者に対するタンデム自家/同種(ミニ)移植はタンデム自家/自家移植と比べて生存期間を延長させるか
<移植非適応の初発多発性骨髄腫(症候性)>
CQ1 移植非適応の多発性骨髄腫(症候性)に対する推奨治療レジメンは何か
CQ2 高齢骨髄腫患者にデキサメタゾンを投与する場合は少量投与法が推奨されるか
<再発・難治性骨髄腫>
CQ1 再発・難治性骨髄腫患者に対する新規薬剤療法は大量デキサメタゾン療法に比べて生存期間を延長させるか
CQ2 再発・難治性骨髄腫患者に対する新規薬剤を含む併用療法は新規薬剤の単剤療法に比べて高い効果が期待できるか(プロテアソーム阻害薬と免疫調節薬の併用および抗体療法を除く)
CQ3 再発・難治性骨髄腫患者に対する新規薬剤併用療法の推奨レジメンは何か
CQ4 再発・難治性骨髄腫の治療に抗体療法は勧められるか
CQ5 再発・難治性骨髄腫患者に対する自家造血幹細胞移植や同種造血幹細胞移植は生存期間を延長させるか
<骨髄腫の合併症と治療関連毒性に対する支持療法>
CQ1 骨病変を有する患者に対して骨関連事象を減少させるための推奨治療は何か
CQ2 骨吸収抑制薬を投与する患者に対する口腔内予防処置は顎骨壊死の発生を抑制するか
CQ3 プロテアソーム阻害薬投与中の患者に対するアシクロビル内服は帯状疱疹の発生率を減少させるか
CQ4 免疫調節薬投与患者に対するアスピリンの内服は深部静脈血栓症の発生を抑制するか

2.多発性骨髄腫の類縁疾患

<孤立性形質細胞腫>
総論
CQ1 孤立性形質細胞腫において放射線療法による初期治療後の補助化学療法は多発性骨髄腫への進展を遅らせるか
<ALアミロイドーシス>
総論
アルゴリズム
CQ1 全身性アミロイドーシスに対し自家造血幹細胞移植併用大量メルファラン療法を行うことは行わない場合と比べて予後を改善させるか
CQ2 移植適応のない全身性アミロイドーシス患者にはどのような治療が推奨されるか
<POEMS症候群>
総論
CQ1 移植非適応患者や再発・難治患者にはどのような治療が推奨されるか
CQ2 POEMS 症候群に対する自家造血幹細胞移植を併用した大量メルファラン療法は予後を改善するか
CQ3 移植適応患者に対して推奨される初回寛解導入レジメンは何か

効果判定規準一覧
薬剤名一覧
治療一覧
索引
第2版 序文

 医学は、患者の症状や理学的所見からその病気を分類し、それぞれの疾病に対して「疾患(病名)別」に治療法を開発する、という方法論のもとに進化してきた。しかし複雑な病態に対する様々な治療理論が明らかになるにつれ、アナログ思考の中から優れた選択を行う昔ながらの「名医」の定義は曖昧となり、多施設共同研究などの大規模臨床研究によって得られる科学的根拠に基づいた医療、すなわちEBM(Evidence-Based Medicine)を行うことが医師の必要条件となった。さらに最近では、網羅的生命分子解析技術の飛躍的な発展により、個人の疾病に即した「精密医療(Precision Medicine)」の実現に向けて研究が進んでいる。
 
 造血器悪性腫瘍に対する治療法は、従来の標準的化学療法に加え、造血幹細胞移植術、分子標的療法、抗腫瘍免疫療法などの各分野で毎年新たな知見が得られ、様々な新薬が国内外で開発され続けている。しかし、医師個人が日常診療の中でこれらの膨大な最新知識を入手し、そのエビデンスレベルに基づき診療することは容易ではない。また我が国において、いわゆるドラッグラグは国も含めた医療関係者の努力によりほぼ解消しつつあるが、国民皆保険の元では海外で報告される最新の治療をそのまま実行できない、という問題は依然として存在する。

 日本血液学会では、その時点で明らかになっている内外のエビデンスを整理し、我が国の医療の現場で適切に診断や治療を行うための伴侶として、2013年に「造血器腫瘍診療ガイドライン第1版」を作成した。本分野におけるその後の長足の進歩を踏まえ、今回5年振りに全面改訂して第2版をお届けする。内容に関しては、第1版と同様にガイドライン案の作成後、独立した評価委員会による評価を行い、さらに日本血液学会会員に限らず広くパブリックコメントを募り、取り入れた。我が国の造血器腫瘍の特徴や医療の実情に基づき、適切に選択されたクリニカルクエスチョン(CQ)により、実地診療に有益な情報がよどみなく頭に入る構成である。

 本ガイドライン第2版は、ガイドライン作成委員会委員長の中尾眞二先生を中心として、数多くの学会員の努力により日の目を見ることができた。この場を借りて関係者の皆様に心から深謝したい。今後も時代に即したガイドラインを提供するため、定期的に改訂していく予定である。日本血液学会会員諸氏の継続的なご支援とご助力を心よりお願いする。


2018年6月
日本血液学会理事長 赤司 浩一
第2版 あとがき

 造血器悪性腫瘍の治療は文字通り日進月歩である。生きている間にいつか悪性疾患になるとすれば、少しでも後でなったほうがよいのは当然のことだが、造血器腫瘍ほど、遅れて罹患したほうが得をする腫瘍はないのではないだろうか。この5年間だけでも、慢性骨髄性白血病に対する新規チロシンキナーゼの選択肢の拡大、悪性リンパ腫に対する新規抗体療法の上市、免疫チェックポイント阻害剤の適応拡大、多発性骨髄腫に対する様々な新規薬剤の登場など、新しい治療の話題には事欠かない。血液内科学の中でも、専門領域が高度に細分化されつつある現在、すべての領域で最先端の知識を身に着けるのは不可能に近いが、血液内科医が圧倒的に不足している現在、少数の血液専門医があらゆる造血器腫瘍を診療しているのが実情と思われる。このため、すべての血液専門医が診療の現場で標準的な治療が行えるように工夫されたガイドラインの作成が求められてきた。
 
 本ガイドラインはそのような血液専門医のニーズに応えるため、2013年10月に第1版が出版され、このたび5年ぶりに大幅な改訂が行われた。第2版は、旧版と同様に、各腫瘍の簡潔な総論・治療アルゴリズムの紹介に続いて、現場の医師が疑問に感じるであろうクリニカルクエスチョン(CQ)が適切に選択され、通読するだけで、その腫瘍の最新治療とエビデンスが容易に理解できる構成になっている。このような実践的なガイドラインは、他領域の腫瘍診療ガイドラインではまずないのではないだろうか。新薬の登場に合わせて治療選択に迷うようになった領域については、新しくCQと明快な回答・文献が追加されているため、筆者の様に造血器腫瘍を治療する機会が普段は少ない血液内科医でも、自信を持って化学療法の処方箋が書ける内容になっている。
 
 日常診療で極めて多忙な血液内科医がこれだけ充実した内容のガイドラインをまとめるのには大変な犠牲を払ったのではないかと想像する。造血器腫瘍診療を均てん化し、悪性腫瘍で苦しむ患者に常に最良の医療が行われるようにしたい、という各執筆者の熱意と、日本血液学会の赤司 浩一理事長、松村 到副理事長、三谷 絹子副理事長らの強いリーダーシップがなければ、本ガイドライン作成の作業は到底なし得なかったと思われる。皆様のご努力に感謝申し上げたい。ことに、超人的な実務能力を発揮して第2版作成の音頭を取られた京都大学腫瘍生物学:南谷 泰仁先生には頭が下がる思いである。

2018年6月
ガイドライン作成委員会委員長 中尾 眞二