制吐薬適正使用ガイドライン2015年10月 第2版

がん治療における制吐療法の指針。5年ぶりの全面改訂

編 集 日本癌治療学会
定 価 2,376円
(2,200円+税)
発行日 2015/10/29
ISBN 978-4-307-10174-5

B5判・112頁

在庫状況 あり

がん薬物療法によって発現する悪心・嘔吐は、患者が苦痛に感じる代表的な副作用であり、そのコントロールはがん患者のQOL改善と治療の完遂のための重要な課題である。今版では、最新のエビデンスをもとに全面改訂を行うとともに、総論を充実させ、通院加療中の悪心・嘔吐対策や制吐療法実施前後の評価方法に関するCQなどを新たに追加し、より実地臨床に役立つ内容とした。がん治療に携わる医療者に必読の一冊。
はじめに
 制吐療法アルゴリズム
 制吐薬治療のダイアグラム

総 論

第1章 クリニカルクエスチョンの内容と推奨治療
 CQ 1 経口抗がん薬による悪心・嘔吐をどのように治療するか
 CQ 2 がん薬物療法後の急性の悪心・嘔吐をどのように予防するか
 CQ 3 がん薬物療法後の遅発性の悪心・嘔吐をどのように予防するか
 CQ 4 第2 世代の5?HT3 受容体拮抗薬をどのように使い分けるか
 CQ 5 悪心・嘔吐の予防に対して副腎皮質ステロイドは勧められるか
 CQ 6 突出性悪心・嘔吐をどのように治療するか
 CQ 7 軽度もしくは最小度リスクの抗がん薬で生じた急性の悪心・嘔吐をどのように治療するか
 CQ 8 シスプラチンを分割投与する場合の悪心・嘔吐にどのような対処をするか
 CQ 9 予期性悪心・嘔吐をどのように予防し治療するか
 CQ10 放射線治療による悪心・嘔吐をどのように治療するか
 CQ11 悪心・嘔吐と関連する因子にはどのようなものがあるか
 CQ12 悪心・嘔吐の適切な評価はどのように行うか
 CQ13 通院加療中の悪心・嘔吐のマネ−ジメントを行うにはどうすればよいか
 CQ14 小児がん治療における悪心・嘔吐にどのような対処をするか
 CQ15 食欲不振,胸焼け,消化不良、悪心は区別できるか、また悪心・嘔吐をきたす他の病態にはどのようなものがあるか
 CQ16 剤形の違う薬剤をどのように使い分けるか
 CQ17 薬物間相互作用を考えて使用しなければならない制吐薬は何か
 CQ18 治療期においてオピオイド鎮痛薬による悪心・嘔吐をどのように治療するか
Appendix 制吐薬の副作用

第2章 リスク分類からみた臓器がん別のレジメン一覧
 1 .肺がん
 2 .消化器がん
 3 .乳がん
 4 .婦人科がん
 5 .泌尿器科がん
 6 .頭頸部がん
 7 .造血器悪性腫瘍
 8 .睾丸腫瘍・胚細胞腫
 9 .骨軟部腫瘍
 10.皮膚がん
 11.脳腫瘍
 12.原発不明がん
薬剤略語一覧

索 引
 診療ガイドラインは、医療の実践にあたり、より良い医療とケアを提供するための道標です。
 日本癌治療学会は、領域横断的な学会であり、その担うべき事業として、各臓器がん・領域の専門学会・研究会のご支援のもと、がん診療ガイドラインjsco-cpg.jp の公開・運用を進めてまいりました。それぞれの学会において作成された診療ガイドラインを統一的な形式で、web 上に公開する。このことにより、がんの臨床に携わる者が日本国内のどこからでも容易に最新の情報にアクセスできるようになります。本事業は、がん診療ガイドラインの普及を促し、がん医療の均てん化に寄与し、ひいては、わが国のがん患者の福祉に貢献するものと確信しております。
 本学会では、また、各診療領域のみではなく、臓器横断的な領域におけるがん診療にかかわるガイドラインの作成にも取り組んでまいりました。この制吐薬適正使用ガイドラインもその一つであり、2010 年5 月に初版を刊行いたしました。本ガイドライン初版は、海外のガイドラインを参考にしながら、または、個々の経験を頼りに制吐療法を行ってきたがん臨床医やがん診療にあたる医療スタッフに具体的な指標を示すことで、より適切な制吐薬使用を促し、その結果、患者のQOL の改善と治療の完遂に一定の貢献ができたものと自負しております。実際、初版刊行後に実施いたしました本ガイドラインの利用状況に関するアンケ−トや、推奨と実臨床との乖離状況を確認するためのQI 調査の結果をみても、本ガイドラインががん診療における制吐薬使用のあり方に少なからぬ影響を与えたものと考えられます。
 本ガイドラインは、新規制吐薬への対応等のため、2014 年6 月に一部改訂を行っていますが、初版刊行後5 年を目処に全面的な見直しを行うべく、一部改訂版の最終原稿完成と同時に全面改訂の作業に着手し、このたび、2015 年版刊行の運びとなりました。
 全面改訂にあたっては、新たに通院加療中の悪心・嘔吐への対策についてのCQ を加えるなど、初版刊行以後のがん診療の変化への対応を行いました。また、初版刊行後、おおむね、制吐薬使用について基本的な理解は得られたと考えられることから、医療者側からは把握しにくいが患者にとっては大きな苦痛となる悪心や、個々の患者の背景因子に注意を促すなど、よりきめ細かな配慮をもって制吐薬が使用されるよう記載を加えました。
 医療者のみなさまには、初版同様、本ガイドライン2015 年版を活用いただき、より多くのがん患者が抗がん薬治療、放射線治療による悪心・嘔吐を経験しないまま治療が完遂できるよう、最適な制吐薬投与に役立てていただきますよう、切にお願い申し上げます。
 最後に、がん診療ガイドライン委員会委員長藤原俊義先生、改訂ワ−キンググル−プ委員長佐伯俊昭先生、評価ワ−キンググル−プ委員長齊藤光江先生、がん診療ガイドライン評価委員会委員長新保卓郎先生をはじめ、本ガイドラインの作成にご尽力いただきました委員会、ワ−キンググル−プ各位に心から敬意を表します。また、コンセンサスミ−ティング開催にご支援賜りました日本臨床腫瘍学会理事長大江裕一郎先生、第13 回日本臨床腫瘍学会会長秋田弘俊先生、貴重なご意見をお寄せいただきました会員のみなさま、重要なご指摘を賜りました患者代表諸氏をはじめとして、多くの関係者の皆様に深く感謝申し上げます。

 本ガイドラインがさらなるがん医療の発展に貢献することを願いつつ

 平成27 年10 月
一般社団法人日本癌治療学会理事長
西山 正彦