がん患者に対するアピアランスケアの手引き 2016年版

がん治療に伴う外見変化への治療的・整容的対処法の手引き、遂に登場!

編 集 国立がん研究センターがん患者の外見支援に関するガイドライン研究班
定 価 2,700円
(2,500円+税)
発行日 2016/08/01
ISBN 978-4-307-70200-3

B5判・200頁・図数:9枚

在庫状況 あり

がん治療(手術・抗がん剤・放射線)により皮膚障害や脱毛、爪の変形・変色などの外見(=アピアランス)の変化を生じた患者に医療者がより良いアピアランス支援を実践できるよう、医学・看護学・薬学・香粧品学・心理学の専門家が集結し、現在のエビデンスをもとに治療面と日常整容面のアプローチをCQ形式で分かりやすく解説。誤った情報に惑わされないために、がん診療者に携わる医療者に必読の一冊。
本手引きについて
CQ・推奨文・推奨グレード一覧

I.治療編
・化学療法
総論
CQ1 脱毛の予防や重症度の軽減に頭皮冷却は有用か
CQ2 再発毛の促進や脱毛予防にミノキシジルは有用か
CQ3 再発毛の促進にビマトプロストは有用か
CQ4 がん化学療法に起因した脱毛にウィッグは有用か
CQ5 化学療法による手足症候群に対する治療として副腎皮質ステロイド外用薬は有用か
CQ6 化学療法による手足症候群に対して保湿薬の外用は有用か
CQ7 化学療法による手足症候群に対する予防としてビタミンB6内服は有用か
CQ8 化学療法による皮膚色素沈着に対する予防としてビタミンC内服は有用か
CQ9 化学療法による皮膚色素沈着に対する治療としてビタミンC内服は有用か
CQ10 化学療法による皮膚色素沈着に対する予防としてトラネキサム酸内服は有用か
CQ11 化学療法による皮膚色素沈着に対してハイドロキノン外用は有用か
CQ12 タキサン系薬剤による爪変化に対する予防として冷却手袋は有用か

・分子標的治療
総論
CQ13 分子標的治療に伴う手足症候群に対して保湿薬の外用は有用か
CQ14 分子標的治療に伴う手足症候群に対して副腎皮質ステロイド外用薬は有用か
CQ15 分子標的治療に伴う手足症候群に対して創傷被覆材は有用か
CQ16 分子標的治療に伴うざ瘡様皮疹に対して副腎皮質ステロイド外用薬は有用か
CQ17 分子標的治療に伴うざ瘡様皮疹に対して抗菌薬の外用は有用か
CQ18 分子標的治療に伴うざ瘡様皮疹に対して保湿薬の外用は有用か
CQ19 分子標的治療に伴うざ瘡様皮疹に対してアダパレンの外用は有用か
CQ20 分子標的治療に伴うざ瘡様皮疹の予防にテトラサイクリン系薬剤の内服は有用か
CQ21 分子標的治療に伴うざ瘡様皮疹の治療にテトラサイクリン系薬剤の内服は有用か
CQ22 分子標的治療に伴うざ瘡様皮疹に対して抗菌薬(マクロライド)の内服は有用か
CQ23 分子標的治療に伴う皮膚乾燥(乾皮症)に対して副腎皮質ステロイド外用薬は有用か
CQ24 分子標的治療に伴う皮膚乾燥(乾皮症)に対して保湿薬の外用は有用か
CQ25 分子標的治療による掻痒を伴う乾皮症に対して抗ヒスタミン薬の内服は有用か
CQ26 分子標的治療に伴う爪囲炎に対して推奨される局所治療はあるか

・放射線治療
総論
CQ27 頭頸部領域以外の放射線皮膚炎に対して副腎皮質ステロイド外用薬は有用か
CQ28 頭頸部領域の放射線皮膚炎に対して副腎皮質ステロイド外用薬は有用か
CQ29 頭頸部領域以外の放射線治療による皮膚有害反応に保湿薬の外用は有用か
CQ30 頭頸部領域の放射線皮膚炎(70Gy相当)に対する保湿薬の外用は有用か
CQ31 放射線皮膚炎の軽減に洗浄の禁止は有用か
CQ32 放射線治療中に制汗剤などのデオドラントの使用を継続してもよいか
CQ33 放射線による遅発性皮膚有害反応の毛細血管拡張症に対するレーザー治療は有用か

II.日常整容編
総論
CQ34 化学療法による皮膚乾燥に対して、安全な日常的スキンケア方法は何か
CQ35 分子標的治療によるざ瘡様皮疹に対して、安全な日常的スキンケア方法は何か
CQ36 放射線治療による皮膚障害に対して、安全な日常的スキンケア方法は何か
CQ37 分子標的治療中の患者に対して、安全なひげそり方法および顔そり方法は何か
CQ38 抗がん剤治療中の患者に対して勧められる紫外線防御方法は何か
CQ39 がん治療に伴う皮膚障害をカモフラージュする方法としてメイクアップは有用か
CQ40 手術瘢痕をカモフラージュする方法としてテーピングは有用か
CQ41 手術瘢痕をカモフラージュする方法としてメイクアップは有用か
CQ42 化学療法中の患者に対して、安全な洗髪等の日常的ヘアケア方法は何か
CQ43 化学療法終了後に再発毛し始めた患者に対して、縮毛矯正(ストレートパーマ)は施術してもよいか
CQ44 化学療法終了後に再発毛し始めた患者や脱毛を起こさない化学療法を施行中の患者は、染毛してもよいか
CQ45 化学療法による眉毛の脱毛に対してアートメイクは有用か
CQ46 化学療法によるまつ毛の脱毛を安全にカモフラージュする方法として、つけまつ毛・まつ毛エクステンションは有用か
CQ47 化学療法に伴う爪のもろさに対して、安全な日常的ケア方法は何か
CQ48 化学療法中の爪の変色に対して、安全なカモフラージュ方法は何か
CQ49 化学療法に伴う爪の変形に対して、安全なカモフラージュ方法は何か
CQ50 がん治療に伴う外見変化に対する心理・社会的介入は、QOLの維持・向上に有用か

付.
1.アルゴリズム
2.CTCAE
3.検索式
索引
 このたび、平成25-27年度国立がん研究センターがん研究開発費「がん患者の外見支援に関するガイドラインの構築に向けた研究」班の成果物として、「がん患者に対するアピアランスケアの手引き」を金原出版より出版することになりました。
 手術・抗がん剤・放射線といった、侵襲的ながん治療は、さまざまな皮膚症状や脱毛、形態の変化などの外見変化を生じさせ、患者のQOLを下げる大きな要因になっています。しかし、それらの症状は、長い間、「命と引き換えにやむを得ないもの」と考えられ、その予防法や治療法は注視されることがなく、evidence-based medicine(EBM)の流れから置き去りにされたままになってきました。加えて、外見の症状への対処法は、患者の生活において、スキンケアや化粧、ヘアケアなどの日常整容行為とも密接な関係にあるにもかかわらず、科学的に検証されることはありませんでした。これは、がん患者の外見の問題が、医学のみならず、看護学、薬学、香粧品学、心理学などの狭間に位置し、多分野の連携なしに適切な解答を導き得なかったことに由来すると思われます。
 本手引きは、診療ガイドラインの作成手引きの手法を用いて作成しました。研究班には、各分野の専門家が集い、レビューやコンセンサス会議による検証を重ねたことは、学際的で画期的な試みといえます。また、文献検索においても、特定非営利活動法人日本医学図書館協会診療ガイドライン作成支援事業の皆様に全面的な協力を得ました。また、全体の運営に際しては、各種ガイドラインの作成に精通している2名の先生のアドバイスをいただきました。さらに、草案作成後は、日本皮膚科学会・日本がん看護学会・日本放射線腫瘍学会・日本香粧品学会から推薦された8名の外部評価委員の先生方からも評価、校閲をいただき、最終的な改訂を加えて今回の公開に至りました。
 しかし、この作業は、アピアランスケアの分野がEBMから遠く隔たったところにあるということを示す結果となりました。50項目のCQのうち、推奨グレードBは5項目しかありませんでした。日常整容編においては、がん患者を対象にしたエビデンスといえるものはありません。エビデンスが不足する場合には、グループディスカッションや班会議を重ねて検討し、現時点において最も妥当と考えられる、専門家としての意見を付記しました。そのため、今後発表される研究成果により、本手引きの内容は変更される可能性が十分にあります。本来、そのような項目はCQから削除すべきかもしれません。しかし、多分野の専門家と患者代表を交えて検討することにより、一般の教科書とは異なる提言をすることにしました。というのも、この提言が、新たな議論を生むたたき台となり、結果的にアピアランスケアが発展することが期待されるからです。
 本手引きが、治療による外見変化に悩むがん患者にかかわる多くの方々に活用され、医療者が行う治療行為や患者指導、情報提供において、より良いアピアランス支援の方法を選択するための1つの基準を示す一助になれば幸いです。

2016年6月
国立がん研究センター中央病院
アピアランス支援センター  
野澤 桂子