臨床・病理 脳腫瘍取扱い規約 第4版

従来の病理診断に分子診断を加えた大改訂! WHO2016準拠

編 集 日本脳神経外科学会 / 日本病理学会
定 価 10,800円
(10,000円+税)
発行日 2018/03/20
ISBN 978-4-307-20385-2

B5判・240頁・図数:10枚・カラー図数:234枚

在庫状況 あり

2016年にWHO中枢神経系腫瘍分類が改訂され、従来の病理診断に加え、分子診断による遺伝子異常の検討が必須となり、大きなパラダイムシフトが起きた。今回の改訂では、より正確で客観性の高い脳腫瘍診断を実現することに重点が置かれ、病理診断に軸足を置きつつ、分子診断を大幅に取り入れた。統合診断に基づき、層別化・個別化医療を発展させ、治療の選択性や予後予測をより正確に解析するための改訂版と言える。
第1部 脳腫瘍分類および臨床画像診断

I 脳腫瘍の分類
II 脳腫瘍の種類と頻度
 1 原発性脳腫瘍の発生頻度
 2 国内の脳腫瘍の組織別・部位別頻度
III 脳腫瘍の診断
 1 画像診断
  A.病変の局在診断と病理診断における意義
  B.病変の質的診断と病理診断における意義
  C.鑑別診断に画像診断が有用な病変
  D.髄腔内播種と病理診断における意義
  E.画像検査の進歩と病理診断の役割
 2 脳腫瘍診断・治療成績の用語の定義
  A.Recurrence 再発
  B.Regrowth 再増生(大)
  C.Progression 増悪
  D.Overall survival(OS)全生存期間
  E.Progression-free survival(PFS)無増悪生存期間
  F.Relapse-free survival(RFS)無再発生存期間
  G.Disease-free survival(DFS)無病生存期間
  H.Time to treatment failure(TTF)治療成功期間
  I.Response duration 奏効期間、効果持続期間
  J.Complete response duration 著効期間、完全奏効期間
  K.Dissemination by cerebrospinal fluid 髄腔内播種
  L.Metastasis 転移
  M.Meningeal gliomatosis 髄膜膠腫症
  N.Meningeal carcinomatosis 髄膜癌腫症
  O.抗がん剤の臨床試験
 3 治療効果の判定方法
  A.生存期間・生存率
  B.画像検査を中心とした評価
  C.神経症候・performancestatus(PS)の推移
  D.認知機能評価 Neurocognitiveassessment
  E.生活の質 Quality of life(QOL)
  F.腫瘍摘出率
  G.腫瘍マーカー値

第2部 脳腫瘍診断・病理カラーアトラス

I 中枢神経系腫瘍分類
II 脳腫瘍の分子診断
 1 分子遺伝学的解析
  A.序論
  B.解析法各論
 2 分子診断各論
  A.Diffuse astrocytic and oligodendroglialtumors、 びまん性星細胞腫と乏突起膠腫
  B.Other astrocytic tumors その他の星細胞腫
  C.Ependymal tumors上衣腫
  D.Embryonal tumors 胎児性腫瘍
III 脳腫瘍の病理診断
 1 手術材料の取扱い・切り出し
 2 組織所見
 3 迅速診断
 4 細胞診
 5 電子顕微鏡
 6 免疫組織化学
  A.細胞分化マーカー
  B.分子異常マーカー
  C.その他
IV 組織型の解説とカラーアトラス
 1 Diffuse astrocytic and oligodendroglialtumorsびまん性星細胞系および乏突起膠細胞系腫瘍
 2 Other astrocytic tumors その他の星細胞系腫瘍
 3 Ependymal tumors上衣系腫瘍
 4 Other gliomas その他の膠腫
 5 Choroid plexus tumors 脈絡叢腫瘍
 6 Neuronal and mixed neuronal-glial tumors 神経細胞および混合神経細胞・膠細胞系腫瘍
 7 Tumors of the pineal region 松果体部腫瘍
 8 Embryonal tumors 胎児性腫瘍
 9 Tumors of cranial and paraspinal nerves脳神経および脊髄神経腫瘍
 10 Meningiomas 髄膜腫群
 11 Mesenchymal、non-meningothelial tumors 間葉系、非髄膜性腫瘍
 12 Melanocytic tumours メラニン細胞性病変
 13 Lymphomas 悪性リンパ腫
 14 Histiocytic tumors 組織球性腫瘍
 15 Germ cell tumors 胚細胞腫瘍
 16 Tumors of the sellar region トルコ鞍部腫瘍
 17 Cystic lesions嚢胞性病変
 18 Metastatic tumors 転移性脳腫瘍

第3部 脳腫瘍の治療法
I 手術
II 放射線治療
 1 放射線治療の種類と方法概論
 2 外照射用放射線治療機器(IMRT、陽子線療法、重粒子線治療、中性子捕捉療法等)
 3 定位的放射線治療
III 化学療法
 1 はじめに
 2 化学療法剤
 3 化学療法耐性に関する因子
 4 分子標的治療
IV 免疫治療
 1 抗PD-1抗体
 2 養子免疫細胞療法
V 新規注目されている治療法
 1 ワクチン療法
 2 Photodynamic therapy(PDT)
 3 NovoTTF
 4 ウイルス療法
VI 脳腫瘍診療ガイドラインの制定
VII 脳脊髄腫瘍種類別治療法
1 グリオーマ
2 頭蓋内原発悪性リンパ腫
3 転移性脳腫瘍
4 中枢神経原発胚細胞腫
5 髄芽腫
6 Diffuse midline glioma
7 視神経膠腫
8 下垂体腺腫
9 髄膜腫
10 神経鞘腫
11 頭蓋咽頭腫
12 脊髄髄内・髄外腫瘍
VIII 各種分類表・スケール
 1 グリオーマの病期分類
 2 中枢神経系悪性リンパ腫の病期分類
 3 頭蓋内胚細胞性腫瘍
 4 髄芽腫の分類
 5 髄膜腫のSimpson分類
 6 下垂体腺腫の病期分類
 7 聴神経腫瘍の病期分類
 8 転移性脳腫瘍
 2016年に脳腫瘍WHO分類が9年ぶりに大改訂となり改訂第4版が刊行された。それに呼応して、日本病理学会と日本脳神経外科学会の連携のもと、『脳腫瘍取扱い規約第4版』を刊行することとなった。今回の改訂による新分類では、多くの脳腫瘍の統合診断の確定には遺伝子異常の検討が必須事項となり、中には従来の形態診断より分子診断が優位として扱われる腫瘍系も登場し、形式は第4版の改訂版ながらも、病理診断には大きなパラダイムシフトが起こった。今回の改訂の基本理念としては、診断名の範疇をできる限り狭義に設定し、より客観性と正確性を持たせることに重点が置かれた。従来の脳腫瘍病理診断では、病理医による診断の乖離が少なからず発生したり、形態診断と分子診断が相違することで、診断名が不確定になる混乱が発生することも多々あったが、今回の新分類では分子診断を大幅に取り入れたことにより、この混乱を収束させ、統合的診断名のもとに、層別化や個別化医療が進み、治療法の選択性や予後予測をより正確に解析できるような努力がなされた。しかし、あくまでも脳腫瘍診断は丹念な病理形態の詳細な検討が基本であることに変わりはなく、分子診断が全てを凌駕したわけではない。今回の改訂では、本書の本来の目的である「病理診断」に軸足を置き、その診断に必要な情報を網羅できるように細心の注意を払った。第1部では、脳腫瘍分類の種類と頻度および臨床画像診断手法と診断・治療および効果判定の用語の定義を概説し、その統一性を図った。第2部では、新規脳腫瘍分類に基づき、その分子診断と病理診断の手技手法や要点を概説し、各種脳腫瘍の病理を重視した組織型の概説を組み入れた。第3部では、各種治療法について概説し、さらには腫瘍別に異なる各種治療法についてそれぞれ概説した。なお、治療内容については、本書の本来の役目を熟考した結果、現時点での必須事項のみに限定することとした。

 この改訂版規約が脳腫瘍病理診断医の日常診療の良き座右の銘となり、正確性と客観性の高い診断名のもと、脳腫瘍の治療を受ける患者さんの大きな福音となるとともに、脳腫瘍に関連する基礎および臨床研究にも拍車がかかることを祈念したい。
 
 最後に本規約の作成にあたり、多大なご支援ご尽力をいただいた病理医や脳神経外科医の執筆者ならびに金原出版の皆様にこの場を借りて感謝申し上げる。

 2018年3月
 脳腫瘍取扱い規約改訂委員会
 嘉山 孝正、若林 俊彦、成田 善孝、廣瀬 隆則、小森 隆司、横尾 英明、田中 伸哉