肝癌診療ガイドライン 2017年版 第4版

肝癌診療に携わる医師必携のガイドライン第4版!

編 集 日本肝臓学会
定 価 3,888円
(3,600円+税)
発行日 2017/10/20
ISBN 978-4-307-20373-9

264頁・図数:2枚

在庫状況 あり

肝癌診療に携わる医師必携のガイドライン。4年ぶりの改訂となる第4版では、新設された12のCQを含む、計55のCQが収載された。最新のエビデンスを取り入れるとともに、新たに一部GRADEシステムの概念を導入して推奨を決定した。また、新設された「治療アルゴリズム」の章では、エビデンスとコンセンサスに基づく新たな治療アルゴリズムを提示し、アルゴリズムの基礎となるCQが設定されている。
肝癌診療ガイドラインClinical Question・推奨一覧

本ガイドラインについて
総論
改訂作業の実際(各論)

第1章 診断およびサーベイランス
 はじめに
 肝細胞癌サーベイランス・診断アルゴリズムの解説
 CQ1 サーベイランスは、推奨されるか?
 CQ2 サーベイランスは、どのような対象にどのような方法で行うか?
 CQ3 肝細胞癌の診断に有用な腫瘍マーカーは何か?
 CQ4 肝細胞癌の診断において2種以上の腫瘍マーカーを測定することは有用か?
 CQ5 腫瘍マーカーの測定は、肝細胞癌の治療効果判定の指標として有効か?
 CQ6 肝細胞癌の高危険群において、典型的肝細胞癌の診断に診断能が高い検査は何か?
 CQ7 Dynamic CT/MRIで典型的所見を示さない肝結節の精査は、何cm以上から行うのが望ましいか?
 CQ8 肝硬変患者における早期肝細胞癌の検出において、診断能が高い検査は何か?
 CQ9 腎機能および肝機能低下患者における肝腫瘍の診断には、どの検査法が有用か?
 CQ10 肝細胞癌の病期診断に頭部MRI、胸部CT、骨シンチグラフィー、FDG‐PETは必要か?

第2章 治療アルゴリズム
 はじめに
 肝細胞癌治療アルゴリズムの解説
 CQ11 単発肝細胞癌に対し、推奨できる治療法は何か?
 CQ12 2、3個肝細胞癌に対し、推奨できる治療法は何か?
 CQ13 4個以上肝細胞癌に対し、推奨できる治療法は何か?
 CQ14 肝障害度C(Child-Pugh分類C)の肝細胞癌に対し、推奨できる治療法は何か?
 CQ15-1 肝細胞癌の骨転移・脳転移に対して放射線治療は有効か?
 CQ15-2 肝細胞癌の肝外転移(肺転移、副腎転移、リンパ節転移、播種)に対する有効な治療法は何か?
 CQ16 脈管侵襲陽性肝細胞癌に対する有効な治療は何か?

第3章 予防
 はじめに
 CQ17 B型慢性肝疾患からの肝発癌予防として推奨できる治療法は何か?
 CQ18 C型慢性肝疾患からの肝発癌予防として推奨できる治療法は何か?
 CQ19 ウイルス性・非ウイルス性を問わず慢性肝疾患からの肝発癌予防法として推奨できるのは何か?

第4章 手術
 はじめに
 CQ20 肝切除はどのような患者に行うのが適切か?
 CQ21 肝切除前肝機能の適切な評価法は?
 CQ22 安全で合理的な手術術式とは?
 CQ23 腹腔鏡下肝切除術の手術適応は?
 CQ24 肝切除後の予後因子は何か?
 CQ25 切除断端距離は予後に寄与するか?
 CQ26 肝流入血流遮断や中心静脈圧低下は、肝切離中出血量を減少させるか?
 CQ27 肝切除において腹腔ドレーン留置は必要か?
 CQ28 肝切除前に補助療法を行うか?
 CQ29 肝細胞癌に対する肝移植の適応基準は何か?
 CQ30 肝移植前のダウンステージングは肝移植の予後を改善するか?

第5章 穿刺局所療法
 はじめに
 CQ31 穿刺局所療法はどのような患者に行うのが適切か?
 CQ32 各穿刺療法の選択は、どのように行うのが適切か?
 CQ33 穿刺局所療法にTACEを併用することで予後を改善できるか?
 CQ34 造影超音波やfusion imagingは局所治療の治療ガイドとして有用か?
 CQ35 穿刺局所療法の効果判定に有用な画像診断は何か?
 CQ36 穿刺局所療法の治療効果予測因子は何か?

第6章 肝動脈(化学)塞栓療法TA(C)E
 はじめに 156
 CQ37 TACE/TAEはどのような患者に行うのが適切か?
 CQ38 TACE/TAEにおいて塞栓物質や抗癌剤の選択はどのように行うのが適切か?
 CQ39 再塞栓療法の時期を決定する因子は何か?
 CQ40 TACEの効果判定に有用な画像診断は何か?
 CQ41 塞栓療法と分子標的治療薬を併用するのは適切か?
 CQ42 どのような場合にTACE不応と考えるか?

第7章 薬物療法
 はじめに
 CQ43 切除不能進行肝細胞癌に分子標的治療を行うか?
 CQ44 切除不能進行肝細胞癌に肝動注化学療法は推奨されるか?
 CQ45 薬物療法の治療効果予測因子は何か?
 CQ46 薬物療法の治療効果判定はどのようにするか?
 CQ47 薬物療法の副作用とその対策は何か?
 付表

第8章 放射線治療
 はじめに
 CQ48 肝細胞癌に対する体幹部定位放射線治療は推奨されるか?
 CQ49 肝細胞癌に対する、粒子線治療〔陽子線治療、重粒子(炭素イオン)線治療〕は有効か?
 CQ50 肝細胞癌に対する、3次元原体照射法による放射線治療はどのような場合に推奨されるか?

第9章 治療後のサーベイランス・再発予防・再発治療
 はじめに
 CQ51 肝切除後・穿刺局所療法後、どのようにフォローアップするか?
 CQ52 肝切除後・穿刺局所療法後の有効な再発予防法は何か?
 CQ53 肝移植後の有効な再発予防法は何か?
 CQ54 肝切除後・穿刺局所療法後の再発に対する有効な治療法は何か?
 CQ55 肝移植後の再発に対する有効な治療法は何か?

肝癌診療ガイドライン2017年版の外部評価
資料 略語一覧
索引
2017年版 前文

 肝癌診療ガイドラインは初版(2005年版)が厚生労働省診療ガイドライン支援事業のサポートを受け作成された後、日本肝臓学会に改訂作業が引き継がれ第2版(2009年版)、第3版(2013年版)と4年ごとに新しいエビデンスを取り入れて改訂されてきた。Evidence based medicine(EBM)の手法を原則として作成された本診療ガイドラインは、わが国の肝癌診療の現場で広く使われ普及している。第3版改訂から4年を経て最新のエビデンスを取り入れて第4版(2017年版)としてここに刊行する次第である。
 本ガイドラインは肝癌(主に肝細胞癌)の診療に携わる肝臓専門医・一般医師を含むすべての医師を対象とし、エビデンスとコンセンサスに基づき肝細胞癌のわが国における標準的診断法と治療法を提示するものである。日本肝臓学会企画広報委員会に設置された肝癌診療ガイドライン統括委員会によって改訂方針が決定され、2015年10月に改訂作業が開始された。改訂委員会の構成は日本肝臓学会会員の肝癌診療専門家が中心となり、外科医7名、内科医7名、放射線科医5名、臨床統計学者1名で構成された。さらに、委員を補佐する専門委員を20名、さらに実際の作業を分担していただく実務協力者16名に協力を仰いだ。
 ガイドライン作成の原則は初版、第2版、第3版同様にEBMの方法論を尊重するものの、エビデンスとコンセンサスの間をつなぐために新たに一部GRADEシステムを導入して理論的かつシスティマティクに推奨を決定した。エビデンス集作成のための基礎となる文献は2016年6月までのMEDLINE、PubMedからEpubを含めて系統的に検索し、検索総論文数はのべ17,699篇であり、一次選択で2,548篇に絞り込まれ、エビデンスレベルや内容を評価した後に最終的には553篇が採用された。2016年7月以降に発表された重要なエビデンスについては個別に評価し、日常臨床へのインパクトが大きい場合のみ例外的に採用した。
 本ガイドラインの中心である「治療アルゴリズム」は厳密にエビデンスに基づいて作成され、簡潔で使い易さを旨とした優れたものであるが、一方で内科的治療の実情をより反映した所謂「コンセンサスに基づく治療アルゴリズム」が2007年に発表され、さらに2010年、2015年に改訂され、最新版は日本肝臓学会編集の『肝癌診療マニュアル第3版』に本ガイドラインの治療アルゴリズム(所謂「エビデンスに基づく治療アルゴリズム」として)とともに掲載されている。日本肝臓学会から2つの治療アルゴリズムが発信される状態となり、海外からもわかりにくいとの批判をあびて来た。今回、本学会企画広報委員会においてダブルスタンダードの状態を解消するよう本改訂委員会に指示があり、エビデンスとコンセンサスに基づく新たな治療アルゴリズムが作成された。
 2017年7月7日までに4回の改訂委員会、4回の推奨決定会議が開催され、同月に草稿が完成した。同年7月21日までの期間、日本肝臓学会会員にWeb上で内容を公開して、パブリックコメントを求め、並行して第53回日本肝癌研究会(東京都開催)で公聴会を開催した。パブリックコメントや公聴会でいただいたご意見をもとに修正を加え、最終稿が確定した。外部評価委員会による第三者評価を加え、2017年版ガイドラインの完成を見たわけである。今後、英訳作業を予定している。そして、第5版に向けた次の改訂作業も2〜3年以内に開始され、2016年7月以降のエビデンスが加えられる見込みである。
 今回の改訂も第2版、第3版同様日本肝臓学会の限られた予算の中からの資金のみで作業を行なった。日常診療でお忙しい中、文字通りボランティアで膨大な改訂作業を完遂していただいた改訂委員、専門委員、実務協力者の皆様に心より感謝いたします。また、本改訂事業に多大なるご理解とご協力をいただきました日本肝臓学会小池和彦理事長、持田智企画広報委員長はじめ各理事の皆様、箱守春樹前事務局長(現顧問)、三上隆美事務局長に深謝いたします。最後に論文検索など実務作業の一部をサポートいただいた(一財)国際医学情報センターEBM研究センター加治美紗子氏、米谷有佳氏、逸見麻理子氏、参考文献の収集・管理にご協力いただいた東京大学肝胆膵外科秘書の伊藤まゆみ氏、膨大な編集・校正作業にご尽力いただいた金原出版 須之内和也氏、森 崇氏、吉田真美子氏の各氏に篤く御礼申し上げます。

2017年10月

肝癌診療ガイドライン2017年版(第4版)改訂委員会 委員長
国立国際医療研究センター
國土 典宏

肝癌診療ガイドライン2017年版(第4版)改訂委員会 委員長補佐
東京大学大学院医学系研究科肝胆膵外科・人工臓器移植外科
長谷川 潔