食道癌診療ガイドライン 2017年版 第4版

臨床病期(cStage)ごとに詳細な治療アルゴリズムを記載しupdate!

編 集 日本食道学会
定 価 3,024円
(2,800円+税)
発行日 2017/06/19
ISBN 978-4-307-20369-2

B5判・148頁・図数:3枚・カラー図数:26枚

在庫状況 あり

食道癌およびバレット食道患者に対する診療ガイドラインとして広く活用されてきた本書。5年ぶりの改訂となる本版では、臨床病期(cStage)ごとに詳細な治療アルゴリズムを記載。「cStageII、III食道癌に対して、手術療法を中心とした治療と根治的化学放射線療法のどちらを推奨するか?」など、実臨床において何を指標にどう判断するかを明確化し、アルゴリズムの分岐点となる判断に関連したClinical Questionを抽出した。
食道癌治療のアルゴリズム一覧
Clinical Question 一覧
機関・制度名等 略語集
本ガイドラインで引用されている主な臨床試験

第I章 本ガイドラインの概要
 1 本ガイドラインの目的
 2 対象とする利用者
 3 対象とする患者
 4 利用上の注意
 5 第4版ガイドライン改訂出版委員会
 6 診療ガイドライン作成方法
 7 公聴会と外部評価
 8 改訂について
 9 広報普及に関する活動(予定を含む)
 10 利益相反(COI)と経済的独立性

第II章 疫学・現況・危険因子
 1 罹患率・死亡率
 2 わが国における食道癌の現況
 3 危険因子

第III章 食道癌治療のアルゴリズムおよびアルゴリズムに基づいた治療方針
 1 食道癌取扱い規約とTNM(UICC)分類
 2 cStage 0、I食道癌治療のアルゴリズム
 3 cStage II、III食道癌治療のアルゴリズム
 4 cStage IV食道癌治療のアルゴリズム

第IV章 内視鏡治療
 1 内視鏡的切除の適応
 2 切除標本による組織診断
 3 内視鏡的切除不能病変に対する治療
 4 一括切除の優位性
 5 偶発症

第V章 外科治療
 1 頸部食道癌に対する手術
 2 胸部食道癌に対する手術
 3 食道胃接合部癌(腹部食道癌)に対する手術
 4 周術期管理とクリニカルパス

第VI章 切除不能進行・再発食道癌に対する化学療法
 1 一次治療において有効性が示されている薬剤、併用療法
 2 二次治療において有効性が示されている薬剤、併用療法
 3 三次治療において有効性が示されている薬剤、併用療法

第VII章 放射線療法

第VIII章 集学的治療法
 1 術前・術後補助療法
 2 化学放射線療法

第IX章 食道癌治療後の経過観察
 1 内視鏡的切除術後の経過観察
 2 根治手術後の経過観察
 3 根治的化学放射線療法後の経過観察
 4 異時性食道多発癌および他臓器重複癌に対する留意

第X章 再発食道癌に対する治療
 1 内視鏡的切除術後の再発に対する治療
 2 根治手術後の再発に対する治療
 3 根治的化学放射線療法完全奏効例の再発に対する治療

第XI章 緩和医療

第XII章 バレット食道およびバレット癌に対する診療

第XIII章 附
 [附1]占居部位
 [附2]壁深達度
 [附3]所属リンパ節名
 [附4]占居部位別リンパ節群分類
 [附5]TNM 分類(1997年:第5版)
 [附6]TNM 分類(2002年:第6版)
 [附7]TNM 分類(2009年:第7版)
 [附8]リンパ節郭清術
 [附9]食道癌の予後曲線
 [附10]第1版〜第3版ガイドライン委員会

索引
発刊にあたって

 2002年に初版として発刊された食道癌治療ガイドラインは、その後診断に関する記載が追加され、食道癌診断・治療ガイドラインとして2007年、2012年と5年ごとに改訂されました。まず、この第4版の発刊に際して、日本食道学会ガイドライン検討委員会の委員長としてこれらを取りまとめられた杉町圭蔵先生、桑野博行先生はじめ歴代委員の先生方のご尽力に心から感謝の意を表したいと存じます。
 さて、第4版(2017年版)の改訂に際しては、5年に一度の改訂というタイムテーブルは踏襲したものの、名称を食道癌診療ガイドラインに変えただけでなく、多くの改変を行いました。桑野委員長のご指導のもと私自身も参画した2012年版における広汎な内容を網羅した記載は完成度の高いものであると自負しておりましたが、昨今のガイドライン評価基準に基づくいわゆる「作成方法論からみた評価」においては必ずしも高い評価が得られていないことを認識致しました。これについては、実際にはしっかりと行っていた作成経過を明確に記載していなかったことなど、「表現方法」も原因と考えられました。そこで、第4版では前版までの蓄積をさらに整理して、客観的な作成方法を明確にし、いわゆる「ガイドライン作成の手順」に準拠することと致しました。
 前版までは食道癌治療全体を俯瞰する1つの治療アルゴリズムが掲載されていましたが、本版からは臨床病期ごとにより細かい治療アルゴリズムを作成しました。実臨床において、何を指標にどう判断するかを臨床病期ごとに明確化し、アルゴリズムの分岐点における判断材料に関連したClinical Question(CQ)を抽出しました。日常臨床において直面するCQと実際的なアルゴリズムの掲載を本版の大きな特徴と致しました。
 また、本版では診療ガイドライン検討委員とは独立したシステマティックレビュー(SR)チームを構成しました。SRチームはそれぞれのCQに関するSRレポートを作成し、これを踏まえて診療ガイドライン検討委員がCQに対する推奨文を作成しました。CQに関連する相応しい研究がなされていない領域においては、ガイドライン検討委員会が中心となり全国アンケート調査を行って推奨文作成の参考とし、この作業が2編の論文化に繋がりました。
 ガイドライン作成に関する基本理念は、エビデンス至上主義からより実際の医療に役立つ判断を取り入れる方向に変化しております。第4版ではエビデンスの確実性のみならずこれまで以上に益と害のバランスを重視し、患者側の希望や医療経済的観点を含めて検討しました。推奨文および推奨度に関して委員の無記名投票を行った上で同意率も掲載することとしました。これによって本ガイドラインの利用者の皆様が、推奨の強さをより詳細に理解できるものと期待しています。各推奨診療を支えるエビデンスはアウトカムごとのレベルを検討した上で、「総体としてのエビデンスの確実さ」を推察できる編集表記方針としました。
 さまざまな臨床試験が連綿と施行されながらエビデンスが蓄積あるいは刷新されると同時に、診療ガイドライン作成に関する考え方も時代とともに変遷する中で、診療ガイドラインの完成形はあり得ないことを再認識した次第です。
 本ガイドラインの作成に携わった日本食道学会診療ガイドライン検討委員会委員、SRチーム、関連学会でご協力いただいた皆様が現時点でのベストを尽くしたこの第4版が日常診療、患者さんの食道癌診療への理解に少しでも役立つことを心より願っております。
 
2017年4月
食道癌診療ガイドライン検討委員会
委員長 北川 雄光