患者さん・ご家族・一般市民のための 膵がん診療ガイドライン2016の解説 第2版

膵がんを正しく知りたい患者さん・ご家族・市民への33の解答!

編 集 日本膵臓学会膵癌診療ガイドライン改訂委員会
定 価 1,944円
(1,800円+税)
発行日 2017/04/20
ISBN 978-4-307-20367-8

B5判・108頁・カラー図数:37枚

在庫状況 あり

インターネット上にあふれる情報には必ずしも正確とはいえないものがある。本書は、科学的根拠や治療により患者さんに生じる利益や害を厳しく検証して作成された医師用『膵癌診療ガイドライン2016年版』の成果を、膵がんと闘う患者さん・ご家族だけでなく、広く一般市民に届けるために作成された。33のQ&Aにより、膵がんとその診断・治療の最新知識をやさしく解説している。
<膵がんとは>
Q1 膵臓はどこにあるのでしょうか? どんな働きをしているのでしょうか?
Q2 膵がんとはどのような病気なのでしょうか? 教えてください。
Q3 なぜ膵がんになるのでしょうか?
Q4 『膵癌診療ガイドライン2016 年版』はGRADE(グレード)システムに準じているそうですが、どういう意味でしょうか?
Q5 前向き臨床試験はどうして必要なのでしょうか?
Q6 日本膵臓学会の家族性膵がんレジストリーとは何でしょうか?
Q7 膵がん患者さんをサポートする組織はあるのでしょうか?

<膵がんの診断法>
膵がん診断の流れ
Q8 膵がんになるとどのような症状が出るのでしょうか?
Q9 膵がんの診断や検査方法について教えてください。
Q10 膵がんの病期とは何でしょうか? どのようにして決めるのでしょうか?
Q11 膵がんの切除可能性分類(resectability)とは何でしょうか? どのようにして決めるのでしょうか?
Q12 最近、ボーダーライン膵がんという言葉を聞きますが、これは何でしょうか?
Q13 早期に膵がんを診断するためにはどうしたらよいのでしょうか? 教えてください。

<膵がんの治療法>
膵がん治療の流れ
膵がん化学療法の流れ

・外科療法
Q14 手術の方法について教えてください。
Q15 拡大手術の意義はあるのでしょうか? 教えてください。
Q16 内視鏡手術の方法、利点とリスクについて教えてください。
Q17 バイパス手術とはどのようなときに行うのでしょうか? どのような方法でしょうか?
Q18 手術例数の多い病院で治療を受ける利点とリスクについて教えてください。
Q19 膵がん切除後の経過観察はどのようにして行うのでしょうか?

・補助療法
Q20 手術の前にも治療をすると聞きました。どのような方法でしょうか?
Q21 手術の後にも治療をすると聞きました。どのような方法でしょうか?

・放射線療法
Q22 放射線療法の方法について教えてください。副作用も心配です。
Q23 骨転移に対する治療法について教えてください。
Q24 膵がんに対する粒子線治療について教えてください。

・化学療法
Q25 化学療法(抗がん剤治療)の方法について教えてください。副作用も心配です。
Q26 局所進行切除不能膵がんに対する一次化学療法は何でしょうか? 教えてください。
Q27 遠隔転移のある膵がんに対する一次化学療法は何でしょうか? 教えてください。
Q28 化学療法はいつまで続けるのでしょうか? 教えてください。
Q29 二次化学療法とは何でしょうか? 教えてください。

・免疫療法
Q30 切除不能膵がんに対して免疫療法は推奨されるのでしょうか? 教えてください。

・ステント療法
Q31 胆道ドレナージについて教えてください。
Q32 胃・十二指腸が閉塞したときの治療法について教えてください。

・緩和療法
Q33 膵がんによる上腹部痛や背部痛が出てきたらどのようにすればよいのでしょうか? 有効な治療は何でしょうか?
 近年の医学の進歩は目覚ましいものがあり、かつて死因のトップであった結核や脳血管疾患による死亡者が減少し、1980年代以降、悪性新生物(いわゆる“がん”)による死亡数がトップになり、年々増加の一途をたどっています。2016年の厚生労働省発表の「人口動態統計の概況」によると、2015年1年間のがんによる死亡者数は約37万人と国民総死亡者数の約30パーセントを占めるに至っています。そのうち膵がんによる死亡者数は約3万2千人と、全がん死患者の約9%を占め、肺がん、大腸がん、胃がんに次いで第4位となっています。超高齢者時代を迎え、今後さらにがんによる死亡者数が増加することが予想されます。最近では、大相撲九重親方(第58代横綱、千代の富士関)や東京オリンピックの花と謳われた元体操選手のベラ・チャスラフスカさんを始め多くの著名人が膵がんでお亡くなりになられたことは、皆様の記憶にも新しいことと思います。医学が進歩したとはいえ、こと膵がんに関しては、転移や周辺臓器への浸潤が起こり易く、また早期発見が難しいため、残念ながら手術で完全に切除できる患者さんが少ないのが現状です。手術で完治できない膵がん患者さんに対しては、本書でも解説されているように、従来と比してより有効な化学療法や放射線治療法も開発されてきましたが、まだまだ長期予後を期待できる状況にはなく、未だに「暗黒臓器」と呼ばれる所以であります。その意味でも、生命予後向上のために、早期診断と新規治療法の開発が望まれるところですが、予後不良の膵がんを克服するためには医療者だけでなく、患者さんやご家族とも一体となって対処することが大変重要であると思われます。
 日本膵臓学会ではわが国における膵がん診療の質の向上と標準化を図るとともに、最新の情報を医療者に提供する目的で、2006年に医師向けの『科学的根拠に基づく膵癌診療ガイドライン』を刊行し、2009、2013年と改訂を重ねてきました。
 この度、さらに膵がん診療に関する最新の情報を追加して2016年度改訂版を作成しました。これを受けて市民向けに分かりやすく解説された本書が、さらに膵がんに対する患者さんとご家族の理解を深めるとともに、QOLの向上に貢献することを期待しています。
 最後になりますが、本書の作成に御尽力されました作成委員長の山口幸二先生、副委員長の奥坂拓志先生ならびに作成委員の皆様に深謝します。

 2017年4月
 日本膵臓学会理事長
 岡崎 和一