遺伝性大腸癌診療ガイドライン 2016年版

家族性大腸腺腫症&リンチ症候群の診療・支援の実践ツール!

編 集 大腸癌研究会
定 価 1,728円
(1,600円+税)
発行日 2016/11/22
ISBN 978-4-307-20362-3

B5判・108頁・図数:18枚・カラー図数:12枚

在庫状況 あり

遺伝性腫瘍への社会の関心が高まっている。遺伝性大腸癌の診断・治療方針は散発性大腸癌とは異なるが、その情報は一般臨床医に十分には届いているとは言えず、患者は必ずしも適切な診療を受けているとは限らない。本書はこのような状況を背景に作成されたガイドラインの改訂版。大腸癌研究会の多施設共同研究で明らかとなった重要データを盛り込み、より日本の臨床に則した実践ツールとして必携の一冊となっている。
「遺伝性大腸癌診療ガイドライン2016年版」主な改訂点

総論
1 .目的
2 .使用法
3 .作成法
4 .記載方法
5 .推奨の記載方法
6 .文献検索法
7 .改訂
8 .公開
9 .資金
10.利益相反
11.ガイドライン委員会

各論
I.家族性大腸腺腫症(familial adenomatous polyposis:FAP)
1 .概要
2 .診断
 1 )診断の流れ
 2 )腺腫密度による分類
 3 )随伴病変
 4 )鑑別を要する疾患・病態
3 .治療
 1 )大腸腺腫の治療
 2 )大腸癌の治療
 3 )大腸切除前に行う大腸外随伴病変に対する検査
4 .術後のサーベイランス
 1 )大腸切除後のサーベイランス
 2 )大腸外随伴病変に対するサーベイランス
5 .家族(血縁者)への対応

Clinical Questions
CQ1:FAPの診断・治療において遺伝学的検査が必要な場合は?
CQ2:Attenuated FAP(AFAP)の治療において注意すべき点は?
CQ3:FAPに対する術式(予防的大腸切除術)を選択する際のポイントは?
CQ4:FAPに対する大腸全摘・回腸嚢肛門(管)吻合術(IPAA)において一時的回腸人工肛門造設の必要性は?
CQ5:FAPの大腸癌に対する予防的大腸切除が推奨される年齢は?
CQ6:FAPに対する腹腔鏡下手術は有用か?
CQ7:大腸全摘・回腸嚢肛門(管)吻合術(IPAA)は女性FAP患者の妊孕性、妊娠、出産に悪影響があるか?
CQ8:FAPの腺腫に有効な薬物療法はあるか?
CQ9:結腸全摘・回腸直腸吻合術(IRA)後の直腸癌の発生リスクにはどのように対応するか?
CQ10:FAPの胃病変にはどのように対応するのか?
CQ11:FAPの十二指腸腺腫(乳頭部を除く)にはどのように対応するのか?
CQ12:FAP患者の十二指腸乳頭部腫瘍(腺腫・癌)にはどのように対応するのか?
CQ13:FAPの空・回腸病変にはどのように対応するのか?
CQ14:FAP患者のデスモイド腫瘍の治療方針は?
CQ15:FAP患者において注意すべき消化管以外の悪性腫瘍は?
CQ16:FAPの遺伝カウンセリングの注意点は?

II.リンチ症候群(Lynch syndrome)
1 .概要
2 .診断
 1 )診断の流れ
 2 )鑑別を要する疾患
3 .治療
 1 )大腸癌の治療
 2 )大腸癌以外の関連腫瘍への対応
4 .術後のサーベイランス
 1 )大腸多発癌のサーベイランスと腺腫の摘除
 2 )大腸癌以外の関連腫瘍のサーベイランス
5 .リンチ症候群であることが確定していない大腸癌患者に対するサーベイランス
6 .遺伝カウンセリングと家族(血縁者)への対応
 1 )リンチ症候群であることが確定している患者の家族(血縁者)への対応
 2 )リンチ症候群が疑われるが、確定診断されていない患者の家族(血縁者)への対応

Clinical Questions
CQ17:リンチ症候群では原因遺伝子の種類によって関連腫瘍に対し異なる対応が必要か?
CQ18:大腸癌の病理組織学的所見のなかで、リンチ症候群の拾い上げに重要なものは何か?
CQ19:リンチ症候群(大腸癌未発症の変異補保持者を含む)において、婦人科癌にどのように対応するか?
CQ20:リンチ症候群のスクリーニング検査(MSI検査と免疫染色)において、どのような点に注意するのか?
CQ21:ミスマッチ修復遺伝子産物(タンパク)の免疫染色における評価ポイントは?
CQ22:リンチ症候群の遺伝子診断の意義と注意点は?
CQ23:リンチ症候群の遺伝学的検査における「病的か意義不明のバリアント」(variant of uncertain significance:VUS)にはどのように対応したらよいか?
CQ24:リンチ症候群の遺伝カウンセリングを行う際のポイントは?
CQ25:リンチ症候群の大腸癌に対する術式選択は?
CQ26−1:リンチ症候群の大腸癌に対する有効な補助化学療法は?
CQ26−2:リンチ症候群の進行・再発大腸癌に対する有効な化学療法の選択は?
CQ27:リンチ症候群の発がんに対する有効な生活習慣の改善策は?
CQ28:リンチ症候群の発がんに対する有効な化学予防の方法は?
CQ29:リンチ症候群の患者に対する大腸内視鏡によるサーベイランスは有効か?

文献
付録
I.家系図の書き方・読み方の原則
II.ゲノムバリアントの記載法
III.遺伝性大腸癌に関するサポート情報の入手法

資料
I.家族性大腸腺腫症
II.リンチ症候群

索引
 この度「遺伝性大腸癌診療ガイドライン2016年版」を刊行しました。
 大腸癌研究会の家族性大腸癌委員会では、「(1)近年急速に増えている大腸癌の中に一定の割合で遺伝性大腸癌がある。(2)遺伝性大腸癌の診断・治療方針は散発性大腸癌とは異なる点がある。(3)遺伝性大腸癌の発生機序・診断・治療に関する新しい情報や適切な治療方針は一般臨床医に十分には届いていない。(4)そのため、遺伝性大腸癌患者は必ずしも適切な診断・治療を受けているとは限らない。(5)欧米では遺伝性大腸癌の診療ガイドラインはあるが、日本にはない。(6)欧米のガイドラインは必ずしも日本の医療事情・臨床に適しているとは限らず、また、遺伝性であることから疫学情報・形質発現などが欧米とは異なっている可能性がある。(7)一般臨床医に理解でき、日本の臨床に立脚したガイドラインが必要である。」とのコンセンサスのもと、遺伝性大腸癌の診療ガイドラインの作成に着手し、2012年に「遺伝性大腸癌診療ガイドライン2012年版」が刊行されました。
 しかし、その作成過程で日本における診療ガイドラインとして重要な日本のデータが少なく、しかも数少ないそれぞれの研究でも症例数が少ないことが明らかになりました。その不備を補うために大腸癌研究会の家族性大腸癌委員会では幾つかの多施設共同研究を開始し、また、すでに症例集積が終了していたHNPCC第二次プロジェクトから必要なデータを抽出し、分析を行いました。その成果は10編の英文論文として発表されるとともに、2016年版においては日本の臨床に重要な情報としてCQに組み込まれました。
 さらに、家族性大腸腺腫症、リンチ症候群のいずれにおいても、概要、診断、治療、術後サーベイランスにおいて新たな情報を追加し、また、よりわかりやすい記載にいたしました。
 「遺伝性大腸癌診療ガイドライン2016年版」が遺伝性大腸癌患者の適切な診断・治療に役に立つことを期待しています。

2016年9月30日
大腸癌研究会会長
杉原 健一