甲状腺癌取扱い規約 第7版

最新UICC-TNM分類、WHO分類、ベゼスダシステムに準拠し10年ぶりに改訂!

編 集 日本甲状腺外科学会
定 価 3,672円
(3,400円+税)
発行日 2015/11/19
ISBN 978-4-307-20350-0

B5判・88頁

在庫状況 あり

最新UICC-TNM分類、WHO分類に準拠し変更を加えた。臨床領域の主な変更点は、術前・手術時・術後の各段階におけるT、Ex、N分類を用いた評価法、リンパ節転移の隣接臓器浸潤および腫瘍遺残(R分類)の記載法の追加である。病理領域では、各疾患の解説および写真を刷新し、特に低分化癌の概念が変更された。また細胞診報告様式にはベゼスダシステムを採り入れた。本規約の的確な運用が甲状腺腫瘍診療の質向上につながる。
I.総 論
II.発見動機による甲状腺癌の分類
III.記録する事項
 A.術前の所見
  1 .自覚症状
  2 .甲状腺腫瘤の所見
   a.腫瘤の占居部位
   b.腫瘤の大きさ
   c.腫瘤の性状
   d.皮膚および皮下組織
  3 .術前の腫瘍分類
   a.T分類
   b.Ex分類
   c.N分類
   d.M分類
   e.Stage分類
 B.手術時の所見・外科治療の内容
  1 .甲状腺腫瘤の所見
   a.腫瘤の占居部位
   b.腫瘤の大きさ
   c.腫瘤および甲状腺の割面
  2 .手術時の腫瘍分類
   a.sT分類
   b.sEx分類
   c.sN分類
   d.sStage分類
  3 .甲状腺切除範囲
  4 .リンパ節郭清範囲(D分類)
  5 .合併切除
  6 .その他の手術
  7 .腫瘍の遺残(R分類)
  8 .手術合併症
 C.術後組織所見
  1 .組織学的所見
   a.pT分類
   b.pEx分類
   c.pN分類
  2 .pStage分類
 D.手術以外の治療
  1 .TSH抑制療法
  2 .放射性ヨウ素内用療法
  3 .放射線外照射治療
  4 .分子標的薬治療
  5 .化学療法
  6 .その他
IV.UICCによるTNM分類と病期(Stage)分類
V.甲状腺腫瘍の病理診断
 A.甲状腺切除検体の取扱い
  1 .固定法
  2 .切開法
  3 .肉眼観察と切出し法
 B.組織学的分類
 C.組織型の説明
  1 .良性腫瘍
   a.濾胞腺腫
  2 .悪性腫瘍
   a.乳頭癌
   b.濾胞癌
   c.低分化癌
   d.未分化癌
   e.髄様癌
   f.リンパ腫
  3 .その他の腫瘍
   a.硝子化索状腫瘍
   b.円柱細胞癌
   c.粘液癌
   d.粘表皮癌
   e.胸腺様分化を示す癌
   f.胸腺様分化を伴う紡錘形細胞腫瘍
   g.扁平上皮癌
   h.肉 腫
   i.その他
   j.続発性(転移性)腫瘍
  4 .分類不能腫瘍
  5 .腫瘍様病変
   a.腺腫様甲状腺腫
   b.アミロイド甲状腺腫
   c.?胞
 D.組織診断用のチェックリスト
 E.細胞診
  1 .インフォ−ムド・コンセント
  2 .標本採取
  3 .標本作製法
   a.塗抹法
   b.固定法
   c.液状化検体細胞診(Liquid?based cytology;LBC)
  4 .報告様式
   a.判定区分
   b.判定区分の診断基準
   c.付帯事項
   d.ベセスダシステムと本規約の異同
  5 .細胞所見
   a.腺腫様甲状腺腫
   b.亜急性甲状腺炎
   c.橋本病
   d.濾胞性腫瘍
   e.硝子化索状腫瘍
   f.乳頭癌
   g.低分化癌
   h.未分化癌
   i.髄様癌
   j.リンパ腫
第7版序
 UICC TNM分類は2009年に第7版が出版されている。甲状腺癌ではT分類においてT1がT1aとT1bに分けられ、M分類でMXが廃止された。また病期分類では髄様癌を乳頭癌・濾胞癌から分離し、T3N0M0をStageIIIではなくStageIIとしている。
 今回の取扱い規約改訂はUICC第7版に準拠しつつ、これまでの本規約の歴史を踏まえて妥当と思われる変更を加えたものである。
 記録する事項としてT、Ex、そしてNについては術前・手術時・術後の各段階で評価を行う。さらに、転移リンパ節が隣接臓器に浸潤する場合には手術時のN分類(sN分類)にExを付し、浸潤先の臓器名を併記することとした。また、手術時の評価には外科治療の根治性を記載するR分類を新たに設けた。
 病理診断に関しては本文、図とも大幅に刷新した。とくに、乳頭癌特殊型と低分化癌の記載を改訂するとともに、ベセスダシステムに準拠した細胞診の報告様式を採用した。
 甲状腺癌取扱い規約は個々の症例の病期と病状の把握を標準化し、医療者が共有する手立てとして重要な役割を果たしてきた。2010年に刊行された甲状腺腫瘍診療ガイドラインにおいては乳頭癌の予後予測に最も優れたリスク分類法としてTNM分類の活用が推奨され、取扱い規約は個別化医療の実践にも不可欠である。また、National Clinical Database(NCD)によって2011年から開始された外科手術症例の全国登録には甲状腺疾患の症例も含まれており、そこに甲状腺癌登録を兼ねる仕組みづくりが進められている。今後、いわゆるビッグデ−タを活用することによってわが国における甲状腺癌症例の実際と診療指針の妥当性が明らかにされる期待は大きいが、その前提となるのはデ−タの正確さ(悉皆性)である。
 本規約が的確に運用され、わが国における甲状腺腫瘍診療の質向上に資することを願っている。

2015年10月
規約委員会代表 岡本 高宏