科学的根拠に基づく 乳癌診療ガイドライン2 疫学・診断編 2015年版 第3版

新CQ5つを加え、全80CQを最新デ−タに基づき丁寧に解説!

編 集 日本乳癌学会
定 価 4,320円
(4,000円+税)
発行日 2015/07/02
ISBN 978-4-307-20345-6

B5判・304頁・図数:5枚

在庫状況 あり

疫学・予防(44CQ)、検診・画像診断(20CQ)、病理診断(16CQ)について最新エビデンスに基づき、推奨/エビデンスグレ−ドを明示。解説もアップデ−トされ、ベネフィットとハ−ムを加味した丁寧な内容となっている。新CQのキ−ワ−ドは、「遺伝子多型情報」「マンモグラフィ乳腺濃度」「トモシンセシス」「Ki67」「セルブロック法」である。日本乳癌学会編集による本邦の乳癌診療標準化に欠かせない必携の書。
乳癌診療ガイドライン2015年版―これまでの10年を踏まえ、将来の10年を見据えたガイドラインを目指して―

【疫学・予防】
 総論1:日本人女性の乳癌罹患率、乳癌死亡率の推移
 総論2:日本人女性と欧米人女性との乳癌予後の比較

●リスク―生活習慣と環境因子
 総説:生活習慣要因と乳癌発症リスクとの関連
 CQ1 アルコール飲料の摂取は乳癌発症リスクを増加させるか
 CQ2 喫煙(受動喫煙含む)は乳癌発症リスクを増加させるか
 CQ3 脂肪の食餌摂取は乳癌発症リスクを増加させるか
 CQ4 乳製品の摂取は乳癌発症リスクを減少させるか
 CQ5 緑茶の摂取は乳癌発症リスクを減少させるか
 CQ6 大豆、イソフラボンの摂取は乳癌発症リスクを減少させるか
 CQ7 乳癌発症リスクを減少させるためにサプリメントを服用することは勧められるか
 CQ8 生下時体重が重いと乳癌発症リスクが高いのか
 CQ9 肥満は乳癌発症リスクと関連するか
 CQ10 成人期の高身長は乳癌発症リスクを増加させるか
 CQ11 初経年齢、閉経年齢は乳癌発症リスクと関連するか
 CQ12 出産は乳癌発症リスクと関連するか
 CQ13 授乳は乳癌発症リスクと関連するか
 CQ14 運動は乳癌発症リスクを減少させるか
 CQ15 夜間勤務は乳癌発症リスクを増加させるか
 CQ16 電磁波は乳癌発症リスクを増加させるか
 CQ17 乳癌発症リスクに関連する心理社会的要因はあるか

●リスク―既往歴と家族歴
 CQ18 放射線被曝は乳癌発症リスクを増加させるか
 CQ19 良性乳腺疾患は乳癌発症リスクを増加させるか
 CQ20 子宮や卵巣の良性疾患は乳癌発症のリスク因子となるか
 CQ21 乳癌家族歴は乳癌発症のリスク因子となるか

●リスク―既往治療や併用薬
 CQ22 経口避妊薬や低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬の使用は乳癌発症リスクを増加させるか
 CQ23 閉経後女性ホルモン補充療法は乳癌発症リスクを増加させるか
 CQ24 不妊治療は乳癌発症リスクを増加させるか
 CQ25 糖尿病の既往は乳癌発症リスクを増加させるか
 CQ26 スタチンの服用は乳癌発症リスクを減少させるか

●リスク―評価と予防
 CQ27 日本人の乳癌発症リスク評価にGailモデルは勧められるか
 CQ28 日本人の乳癌発症リスク評価として遺伝子多型情報を用いたモデルは勧められるか
 CQ29 マンモグラフィの乳腺濃度は乳癌発症リスクと関連するか
 CQ30 乳癌の発症を予防するための薬剤を投与することは推奨されるか

●癌遺伝子診断と予防
 総説:遺伝性乳癌と遺伝学的検査、遺伝カウンセリング
 CQ31 BRCA1あるいはBRCA2遺伝子変異をもつ女性に対する乳房MRIスクリーニングは勧められるか
 CQ32 BRCA1あるいはBRCA2遺伝子変異をもつ女性にリスク低減乳房切除術は勧められるか
 CQ33 BRCA1あるいはBRCA2遺伝子変異をもつ女性に予防的内分泌療法は勧められるか
 CQ34 BRCA1あるいはBRCA2遺伝子変異をもつ女性にリスク低減卵巣卵管切除術は勧められるか
 CQ35 BRCA1あるいはBRCA2遺伝子変異をもつ女性に対して卵巣癌の検診を行うことは勧められるか

●予後との関連
 総説:ライフスタイルと乳癌予後との関連
 CQ36 肥満は乳癌患者の予後に影響を及ぼすか
 CQ37 乳癌初期治療後の脂肪の食餌摂取は乳癌患者の予後に影響を及ぼすか
 CQ38 身体活動は乳癌患者の予後に影響するか
 CQ39 アルコール飲料の摂取は乳癌患者の予後と関連するか
 CQ40 喫煙は乳癌患者の予後と関連するか
 CQ41 イソフラボン摂取は乳癌患者の予後に影響を及ぼすか
 CQ42 乳製品の摂取は乳癌患者の予後に影響を及ぼすか
 CQ43 妊娠期・授乳期の乳癌は予後が不良か

●心理社会的サポート
 CQ44 心理社会的介入は乳癌患者に有用か

●付.用語解説

【検診・画像診断】
 総論1:日本の検診マンモグラフィの被曝について
 総論2:マンモグラフィガイドラインと
 総論3:初期治療後フォローアップ

●検診
 CQ1 視触診単独による乳癌検診は勧められるか
 CQ2 50歳以上または40歳代に対してマンモグラフィ検診は勧められるか
 CQ3 乳癌検診においてデジタルマンモグラフィはスクリーンフィルムマンモグラフィと同等に勧められるか
 CQ4 トモシンセシスはマンモグラフィ検診に勧められるか
 CQ5 マンモグラフィを併用した超音波による乳癌検診は勧められるか
 CQ6 拡散強調画像を含めた非造影MRIによる乳癌検診は勧められるか
 CQ7 FDG-PETは乳癌検診に勧められるか

●画像診断―マンモグラフィ
 CQ1 若年者に対する診療マンモグラフィは勧められるか

●画像診断―超音波
 CQ2 診療において超音波検査は乳癌検出手段として勧められるか
 CQ3 乳房腫瘤性および非腫瘤性病変における良悪性の鑑別に超音波検査は勧められるか
 CQ4 超音波検査におけるフローイメージングは腫瘤の良悪性の鑑別に勧められるか
 CQ5 超音波検査におけるエラストグラフィは腫瘤の良悪性の鑑別に勧められるか

●画像診断―CT・MRI
 CQ6 CT、MRIは乳房内病変の診療方針決定に勧められるか
 CQ7 CT、MRIは乳癌の広がりを診断するのに勧められるか
 CQ8 MRIはマンモグラフィや超音波で検出できない多発乳癌の検出に勧められるか

●画像診断―術前ステージング
 CQ9 術前検査として肝臓超音波検査、胸腹部CT、骨シンチグラフィ、FDG-PETは勧められるか

●画像診断―腋窩リンパ節
 CQ10 腋窩リンパ節の評価に画像診断は勧められるか

●画像診断―術前化学療法
 CQ11 術前化学療法の効果判定において画像診断は視触診に比較して有用か

●画像診断―遠隔転移
 CQ12 FDG-PETは、少なくとも何らかの再発が疑われる患者の乳癌術後の再発および転移の検出に勧められるか
 CQ13 遠隔再発時の生検は勧められるか

【病理診断】
 総論1:細胞診・針生検
 総論2:乳癌intrinsicsubtypeと免疫組織化学的方法を用いた代替定義について
 総論3:病理組織検体の適切な取扱いについて

●細胞診
 CQ1 乳房疾患および腋窩リンパ節に対する穿刺吸引細胞診は良悪性の判定方法として勧められるか

●針生検
 CQ2 針生検は乳房疾患の良悪性の判定方法として勧められるか

●吸引式乳房組織生検
 CQ3 石灰化を伴う非触知乳癌の確定診断にステレオガイド下吸引式乳房組織生検は勧められるか

●浸潤性乳管癌の病理学的悪性度
 CQ4 治療方針決定に浸潤性乳管癌の病理学的悪性度の評価は勧められるか

●浸潤性乳癌のKi67
 CQ5 浸潤性乳癌のKi67の評価は勧められるか

●術前化学療法と組織学的治療、効果判定
 CQ6 術前化学療法後、病理組織学的に治療効果を判定することは勧められるか

●ホルモン受容体
 CQ7 内分泌療法の適応決定にホルモン受容体の検索は勧められるか
 CQ8 免疫組織化学的方法によるホルモン受容体検索において、陽性癌細胞の占有率の評価は必要か

●HER2検査
 CQ9 HER2検査は乳癌の治療方針決定に勧められるか
 CQ10 HER2検査として免疫組織化学的方法は勧められるか
 CQ11 HER2検査としてin situ hybridization法は勧められるか

●針生検とホルモン受容体・HER2検査
 CQ12 針生検におけるホルモン受容体、HER2の検索は勧められるか

●断端検索
 CQ13 乳房温存手術において、病理組織学的断端検索は勧められるか
 CQ14 乳房温存手術において、術中病理組織診断による断端検索は勧められるか

●センチネルリンパ節
 CQ15 センチネルリンパ節の病理学的検索は勧められるか

●セルブロック法
 CQ16 再発乳癌における治療方針決定にセルブロック標本を用いた検討は勧められるか

略語一覧
索引

 日本乳癌学会では、2004年に薬物療法ガイドラインを刊行以降、外科療法、放射線療法、検診・診断、予防・疫学の5分野のガイドラインを3 年毎に発刊してきた。しかし、昨今の医療技術や薬物療法の進歩はめざましく、その変化に即応すべく、全分野を統合したWEB 版ガイドラインを作成し、2011年9月1日より一般公開した。また、WEB版に合わせて従来からの書籍も治療編と疫学・診断編の2分冊とし、より臨床の現場で活用できるように配慮したものを同時に発刊し、2年に一度の改定を行っている。さらに、上記をもとに患者さんの視点からみたQ に答える患者向けのガイドラインも、診療ガイドラインの翌年に、隔年ごとに書籍およびWEB版を刊行している。
 診療ガイドラインは、チーム医療を遂行するうえで、医師のみならずチームを構成するあらゆる職種の人が共通に理解し、実践すべきものである。たとえば、医師の処方オーダーを薬剤師が調剤の場でチェックし、さらには看護師が与薬の前に再確認するというプロセスにおいて、EBM が共有されていれば、二重三重のチェックがかけられ、医療過誤を防ぐことにつながる。また、地域医療連携の現場においても、専門性の高い急性期病院と地域の医療機関との間において乳癌に対する共通の理解がなければ、患者のサバイバーシップを支えたり緩和を含む在宅ケア等の円滑な診療は望めない。
 現在、NCD(National Clinical Database)の基盤上に当学会の乳癌登録のデータベースが構築され、大規模な診療実態や予後データが把握できるようになった。診療ガイドライン委員会のなかには Q(I Quality Indicator)小委員会が設置され、診療ガイドラインに基づく QIを定め、乳癌登録のデータをもとに医療の質の評価を行う活動が開始されている。
 分子標的薬をはじめとする新薬の開発や、次世代シーケンサーを用いた遺伝子検査の進歩はめざましく、治療の個別化がますます進み、患者個々のおかれている状況や人生観、価値観に照らし合わせた治療の選択はさらに複雑さを増している。こうしたなか、本書が幅広く活用され、個々の患者に相応しい治療の選択や乳癌診療の質向上に寄与することを期待している。

2015 年6 月
日本乳癌学会 理事長
中村 清吾