科学的根拠に基づく 乳癌診療ガイドライン1 治療編 2015年版 第3版

全107CQの推奨グレードを最新データに基づき丁寧に解説!

編 集 日本乳癌学会
定 価 5,400円
(5,000円+税)
発行日 2015/07/02
ISBN 978-4-307-20344-9

B5判・432頁・図数:1枚

在庫状況 あり

「薬物療法(47CQ)」「外科療法(34CQ)」「放射線療法(17CQ)」「治療に関する診断(9CQ)」について、最新のエビデンスをもとに、ハームも加味し、推奨グレードを明示。細項目を含む計15のCQを新たに追加した。推奨グレードC1、C2を中心に「推奨グレードを決めるにあたって」の項をつくり、判断の根拠をよりわかりやすく示した。日本乳癌学会編集による本邦の乳癌診療標準化に欠かせない必携の書。
目次

薬物療法

初期治療
総論
CQ1 ホルモン受容体陽性原発乳癌に対して術前内分泌療法は勧められるか
CQ2 手術可能な浸潤性乳癌に対して術前化学療法は勧められるか
CQ3 HER2 陽性原発乳癌に対して術前化学療法を行う場合、化学療法薬と抗HER2 薬の併用は勧められるか
CQ4 閉経前ホルモン受容体陽性乳癌に対する術後内分泌療法として、タモキシフェンおよびLH-RH アゴニストは勧められるか
CQ5 閉経前ホルモン受容体陽性乳癌の術後内分泌療法としてLH-RH アゴニストとアロマターゼ阻害薬の併用は勧められるか
CQ6 閉経前または閉経期乳癌の術後内分泌療法としてアロマターゼ阻害薬の単独使用は勧められるか
CQ7 閉経後ホルモン受容体陽性乳癌の術後内分泌療法としてアロマターゼ阻害薬は勧められるか
CQ8 閉経後ホルモン受容体陽性乳癌の術後内分泌療法としてタモキシフェンもしくはトレミフェンは勧められるか
CQ9 非浸潤性乳管癌に対する乳房温存手術後の内分泌療法は勧められるか
CQ10 原発乳癌に対してアンスラサイクリンを含まない術後化学療法は勧められるか
CQ11 原発乳癌に対してアンスラサイクリンにタキサンを追加した術後化学療法は勧められるか
CQ12 原発乳癌に対する術後薬物療法として、経口フッ化ピリミジンは勧められるか
CQ13 HER2 陽性原発乳癌に対して術後化学療法+トラスツズマブは勧められるか
CQ14 原発乳癌に対して予後改善を目的としてビスフォスフォネートは勧められるか
CQ15 ER 陽性PgR 陽性HER2 陰性Ki67 低値の乳癌に対して、内分泌療法に加えて術後の化学療法は勧められるか
CQ16 原発乳癌に対するdose-dense 化学療法は勧められるか

転移・再発乳癌の治療
総論
CQ17 閉経前ホルモン受容体陽性転移・再発乳癌に対して内分泌療法は勧められるか
CQ17-a 一次内分泌療法
CQ17-b 二次以降の内分泌療法
CQ18 閉経後ホルモン受容体陽性転移・再発乳癌に対して内分泌療法は勧められるか
CQ18-a 一次内分泌療法
CQ18-b 二次以降の内分泌療法
CQ19 HER2 陰性転移・再発乳癌に対して化学療法は勧められるか
CQ19-a 一次化学療法
CQ19-b 二次以降の化学療法
CQ20 HER2 陽性転移・再発乳癌に対する抗HER2 療法は勧められるか
CQ20-a 一次抗HER2 療法
CQ20-b 二次以降の抗HER2 療法
CQ21 ホルモン受容体陽性 HER2 陽性転移・再発乳癌に対する内分泌療法単独あるいは内分泌療法と抗HER2 療法の併用は勧められるか
CQ22 転移・再発乳癌に対して化学療法とベバシズマブの併用は勧められるか
CQ23 乳癌骨転移に対して骨吸収抑制薬(ビスフォスフォネート、デノスマブ)は勧められるか
CQ24 乳癌肝転移に対して動注化学療法は勧められるか
CQ25 乳癌脳転移および髄膜播種に薬物療法は勧められるか
CQ26 局所再発切除後に薬物療法は勧められるか

特殊病態
CQ27 高齢者乳癌に対して薬物療法は勧められるか
CQ27-a 術後薬物療法
CQ27-b 転移・再発乳癌に対する薬物療法
CQ28 乳腺悪性葉状腫瘍の遠隔転移に対して化学療法は勧められるか
CQ29 妊娠期乳癌に対して薬物療法は勧められるか
CQ30 局所進行乳癌に対して局所動注化学療法は勧められるか
CQ31 局所進行乳癌(StageIII)に対して集学的治療は勧められるか
CQ32 炎症性乳癌に対して集学的治療は勧められるか
CQ33 男性乳癌に対して薬物療法は勧められるか
CQ33-a 術後薬物療法
CQ33-b 転移・再発乳癌に対する治療
CQ34 原発巣の明らかでない腋窩リンパ節転移(原発不明、腺癌)に対しては、乳癌に準じた治療が勧められるか
CQ35 乳癌特殊型では組織型に応じた薬物療法を行うことが勧められるか

効果予測因子
総論
CQ36 ホルモン受容体陰性乳癌に対して内分泌療法は勧められるか
CQ37 術後化学療法を行うかどうか判断するために多遺伝子アッセイ(Oncotype DX、MammaPrint、PAM50、Curebest 95GC Breast など)は勧められるか
CQ38 CYP2D6 の遺伝子多型をタモキシフェンの治療効果予測検査として調べることは勧められるか

副作用対策
総論
CQ39 化学療法による悪心・嘔吐の予防に対して5-HT3 受容体拮抗型制吐薬、デキサメタゾン、ニューロキニン1(NK1)受容体アンタゴニストは勧められるか
CQ40 化学療法による好中球減少に対してgranulocyte-colony stimulating factor(G-CSF)および抗生物質は勧められるか
CQ41 内分泌療法によるホットフラッシュの対策として薬物療法は勧められるか
CQ42 アロマターゼ阻害薬使用患者における骨粗鬆症の予防・治療にビスフォスフォネートやデノスマブは勧められるか
CQ43 化学療法誘発性閉経予防・妊孕性維持のために化学療法中にLH-RH アゴニストを使用することは勧められるか
CQ44 化学療法終了後、内分泌療法中〜終了後の妊娠は安全か
CQ44-a 化学療法、内分泌療法終了後の妊娠は安全か
CQ44-b 内分泌療法中の妊娠は安全か

その他
CQ45 化学療法施行にあたりインフルエンザワクチン接種は勧められるか
CQ46 B 型肝炎ウイルス感染やその既往のある乳癌患者に対して化学療法は勧められるか
CQ47 乳癌治療として補完・代替療法は勧められるか
付1. 初期治療における主な併用化学療法
付2. 化学療法レジメンの処方例
付3. 薬剤一覧

外科療法

総論:原発乳癌の外科治療

温存療法
CQ1 非浸潤性乳管癌に対して乳房温存療法は勧められるか
CQ2 StageI、IIの浸潤性乳癌の局所療法として乳房温存療法は勧められるか
CQ3 乳房温存手術において切除断端に癌細胞が露出と診断された際に、外科的切除は勧められるか
CQ4 術前化学療法で縮小した浸潤性乳癌に対する乳房温存療法は勧められるか
CQ5 温存乳房内再発に対して再度の乳房温存は勧められるか
CQ6 乳房切除術において乳房皮膚や乳頭・乳輪の温存は勧められるか

腋窩リンパ節郭清・センチネルリンパ節生検
CQ7 臨床的に明らかな腋窩リンパ節転移陽性乳癌ではレベルIIまでの腋窩リンパ節郭清が勧められるか
CQ8 臨床的腋窩リンパ節転移陰性乳癌へのセンチネルリンパ節生検による腋窩リンパ節郭清省略は勧められるか
CQ9 センチネルリンパ節の同定には、色素とアイソトープの併用法が勧められるか
CQ10 センチネルリンパ節の同定には、インドシアニングリーンを用いた蛍光法が勧められるか
CQ11 術前診断が非浸潤性乳管癌へのセンチネルリンパ節生検は勧められるか
CQ12 センチネルリンパ節に転移を認める患者に対して腋窩リンパ節郭清省略が勧められるか
CQ13 術前化学療法後にセンチネルリンパ節生検による腋窩リンパ節郭清の省略は勧められるか
CQ14 胸骨傍領域にセンチネルリンパ節を認めた場合、生検は勧められるか
CQ15 温存乳房内再発に対するセンチネルリンパ節生検は勧められるか
CQ16 腋窩・上腕内側の感覚障害を軽減させるために肋間上腕神経を温存することは勧められるか
CQ17 腋窩リンパ節郭清術後の患側上肢のリハビリテーションは勧められるか
CQ18 リンパ浮腫に対する治療は勧められるか

鏡視下手術・non-surgical ablation
CQ19 鏡視下手術は早期乳癌の局所療法として勧められるか
CQ20 Non-surgical ablation は早期乳癌の局所療法として勧められるか

乳房再建
総論
CQ21 乳房切除術を受ける患者に乳房再建は勧められるか
CQ22 術前薬物療法後の乳房再建は勧められるか
CQ23 胸壁照射歴のある患者に対する乳房再建は勧められるか

転移・再発乳癌の外科治療
総論
CQ24 StageIV乳癌に対する原発巣切除は勧められるか
CQ25 腋窩もしくは鎖骨上リンパ節再発に対する外科的切除は勧められるか
CQ26 乳房切除術後の胸壁再発巣に対する外科的切除は勧められるか
CQ27 肺、骨、肝転移巣に対する外科的切除は勧められるか
CQ28 脳転移巣に対する外科的切除は勧められるか
CQ28-a 単発性脳転移巣に対する外科的切除は勧められるか
CQ28-b 多発性脳転移巣に対する外科的切除は勧められるか

その他
CQ29 妊娠期乳癌に対する手術は勧められるか
CQ30 高齢者の乳癌に対しても手術療法は勧められるか
CQ31 乳癌手術時の予防的抗菌薬投与は勧められるか
CQ32 潜在性乳癌に対して、乳房非切除は勧められるか
CQ33 乳房切除後疼痛症候群(PMPS)に対する薬物療法は勧められるか
CQ34 葉状腫瘍と診断された場合に外科的切除が勧められるか

放射線療法

総論:乳癌放射線療法の基本原則

浸潤性乳癌に対する乳房温存手術後放射線療法
CQ1 StageI-II乳癌に対する乳房温存手術後の放射線療法は勧められるか
CQ2 乳房温存手術後放射線療法の適切な照射法はどのようなものか
CQ2-a 照射野として全乳房照射が勧められるか
CQ2-b 全乳房照射において通常分割照射と同等の治療として寡分割照射は勧められるか
CQ2-c 全乳房照射後に腫瘍床に対するブースト照射は勧められるか
CQ2-d 照射法として加速乳房部分照射(APBI)は勧められるか
CQ3 Stage I-II乳癌において乳房温存手術後の所属リンパ節に対する放射線療法は勧められるか
CQ3-a 腋窩郭清後にリンパ節転移4 個以上の患者では所属リンパ節への放射線療法は勧められるか
CQ3-b 腋窩郭清後にリンパ節転移1〜3 個の患者では所属リンパ節への放射線療法は勧められるか
CQ3-c センチネルリンパ節に転移を認める患者に対して腋窩リンパ節郭清が省略された場合、腋窩あるいは所属リンパ節への照射が勧められるか
CQ4 乳房温存手術後の高リスク群でリンパ節領域に対する適切な照射法は何か
CQ4-a 乳房温存手術後の高リスク群では鎖骨上リンパ節領域を照射野に含めることが勧められるか
CQ4-b 乳房温存手術後の高リスク群では胸骨傍リンパ節領域を照射野に含めることが勧められるか
CQ5 術前化学療法で病理学的完全奏効(pCR)となった場合でも乳房温存手術後放射線療法は勧められるか

非浸潤性乳管癌(DCIS)に対する乳房温存手術後放射線療法
CQ6 非浸潤性乳管癌に対して乳房温存手術後に放射線療法は勧められるか

進行乳癌に対する乳房切除術後放射線療法
CQ7 乳房切除術後放射線療法は勧められるか
CQ7-a 腋窩リンパ節転移4 個以上陽性の患者では乳房切除術後放射線療法が勧められるかCQ7-b 腋窩リンパ節転移1〜3 個陽性の患者では乳房切除術後放射線療法が勧められるか
CQ8 乳房切除術後放射線療法における適切な照射部位はどこか
CQ8-a 乳房切除術後放射線療法では胸壁を照射野に含めることが勧められるか
CQ8-b 乳房切除術後放射線療法では鎖骨上リンパ節領域を照射野に含めることが勧められるか
CQ8-c 乳房切除術後放射線療法では胸骨傍リンパ節領域を照射野に含めることが勧められるか
CQ9 術前化学療法が奏効した場合でも乳房切除術後放射線療法は勧められるか

乳房手術後放射線療法―その他
CQ10 乳房手術後放射線療法のタイミング
CQ10-a 乳房手術後、化学療法を施行しない患者では、放射線療法をいつまでに開始すべきか
CQ10-b 乳房手術後に術後化学療法の必要な患者では、化学療法を放射線療法に先行させることが勧められるか
CQ10-c 乳房手術後に放射線療法と化学療法の同時併用が勧められるか
CQ10-d 放射線療法と内分泌療法の同時併用は勧められるか
CQ10-e 放射線療法とトラスツズマブの同時併用は勧められるか
CQ11 乳房切除術後の再建乳房に対する放射線療法は勧められるか
CQ11-a 自家組織による再建乳房に対する放射線療法は勧められるか
CQ11-b エキスパンダー挿入中の再建乳房に対する放射線療法は勧められるか
CQ11-c インプラントによる再建乳房に対する放射線療法は勧められるか
CQ12 乳房手術後放射線療法が勧められない状態は何か
CQ13 BRCA 遺伝子変異をもつか、強く疑われる乳癌に対して、乳房手術後の放射線療法は勧められるか

転移・再発乳癌に対する放射線療法
CQ14 Stage IV乳癌に対する原発巣への放射線療法は勧められるか
CQ15 乳癌の有痛性骨転移に対して放射線療法は勧められるか
CQ15-a 有痛性乳癌骨転移に対して8Gy/1 回照射を行うことは勧められるか
CQ15-b 脊髄圧迫例や切迫骨折例に対して分割照射を行うことは勧められるか
CQ15-c 放射線療法で軽快した乳癌骨転移の疼痛が再増悪した場合に、再照射を行うことは勧められるか
CQ15-d 多数の有痛性乳癌骨転移に対して骨指向性放射線医薬品療法を行うことは勧められるか
CQ16 乳癌脳転移に対して放射線療法は勧められるか
CQ16-a 少数個(およそ1〜4 個まで)乳癌脳転移に対して最初に定位手術的照射を行うことは勧められるか
CQ16-b 多数個の乳癌脳転移に対して最初に全脳照射を行うことは勧められるかCQ17 乳癌局所・所属リンパ節再発に対して放射線療法は勧められるか

診断

【検診・画像診断】
総論3:初期治療後フォローアップ

画像診断―術前化学療法
CQ11 術前化学療法の効果判定において画像診断は視触診に比較して有用か

画像診断―遠隔転移
CQ13 遠隔再発時の生検は勧められるか

【病理診断】
浸潤性乳癌のKi67
CQ5 浸潤性乳癌のKi67 の評価は勧められるか

術前化学療法と組織学的治療、効果判定
CQ6 術前化学療法後、病理組織学的に治療効果を判定することは勧められるか

ホルモン受容体
CQ7 内分泌療法の適応決定にホルモン受容体の検索は勧められるか
CQ8 免疫組織化学的方法によるホルモン受容体検索において、陽性癌細胞の占有率の評価は必要か

HER2 検査
CQ9 HER2 検査は乳癌の治療方針決定に勧められるか
CQ10 HER2 検査として免疫組織化学的方法は勧められるか
CQ11 HER2 検査としてin situ hybridization 法は勧められるか

略語一覧
索 引

 日本乳癌学会では、2004 年に薬物療法ガイドラインを刊行以降、外科療法、放射線療法、検診・診断、予防・疫学の5 分野のガイドラインを3 年毎に発刊してきた。しかし、昨今の医療技術や薬物療法の進歩はめざましく、その変化に即応すべく、全分野を統合したWEB 版ガイドラインを作成し、2011 年9 月1 日より一般公開した。また、WEB 版に合わせて従来からの書籍も治療編と疫学・診断編の2 分冊とし、より臨床の現場で活用できるように配慮したものを同時に発刊し、2 年に一度の改定を行っている。さらに、上記をもとに患者さんの視点からみたQ に答える患者向けのガイドラインも、診療ガイドラインの翌年に、隔年ごとに書籍およびWEB 版を刊行している。
 診療ガイドラインは、チーム医療を遂行するうえで、医師のみならずチームを構成するあらゆる職種の人が共通に理解し、実践すべきものである。たとえば、医師の処方オーダーを薬剤師が調剤の場でチェックし、さらには看護師が与薬の前に再確認するというプロセスにおいて、EBM が共有されていれば、二重三重のチェックがかけられ、医療過誤を防ぐことにつながる。また、地域医療連携の現場においても、専門性の高い急性期病院と地域の医療機関との間において乳癌に対する共通の理解がなければ、患者のサバイバーシップを支えたり緩和を含む在宅ケア等の円滑な診療は望めない。
 現在、NCD(National Clinical Database)の基盤上に当学会の乳癌登録のデータベースが構築され、大規模な診療実態や予後データが把握できるようになった。診療ガイドライン委員会のなかには Q(I Quality Indicator)小委員会が設置され、診療ガイドラインに基づく QI を定め、乳癌登録のデータをもとに医療の質の評価を行う活動が開始されている。
 分子標的薬をはじめとする新薬の開発や、次世代シーケンサーを用いた遺伝子検査の進歩はめざましく、治療の個別化がますます進み、患者個々のおかれている状況や人生観、価値観に照らし合わせた治療の選択はさらに複雑さを増している。こうしたなか、本書が幅広く活用され、個々の患者に相応しい治療の選択や乳癌診療の質向上に寄与することを期待している。
2015 年6 月
日本乳癌学会 理事長
中村 清吾