長野県立こども病院 小児感染症と抗菌薬のトリセツ

小児感染症のエキスパート著、ベッドサイド「最強」の書

編 著 笠井 正志
定 価 3,456円
(3,200円+税)
発行日 2012/04/25
ISBN 978-4-307-17064-2

B6変判・336頁

在庫状況 あり

こどもの感染症は難しい。成人のエビデンスをそのまま利用できない。局所感染から一気に全身感染症にまで発展し、それが重症感染症であれば、一分一秒を争う。長野県立こども病院は日本で数少ない小児集中治療室(PICU)をもつ。本書には、小児科「最後の砦」PICUの舞台裏で培われた小児感染症診療のノウハウが詰まっている。重症感染症(かもしれない)患児に遭遇したとき、まず何をすればいいのか?小児感染症にビビらず、立ち向かうための答えが本書にある。

推薦のことば
「小児感染症と抗菌薬のトリセツ」の取説

 集中治療専門医でありインフェクション・コントロール・ドクター(ICD)であり「バイ菌大好き」の笠井氏のように,集中治療学と感染症学の両分野にまたがって活躍する人材は希有である。この本にはそんな彼の面目躍如たる場面が随所に出ている。
 若手小児科医を対象として書かれたといわれるが,ベテラン小児科医にも,感染症専門医を目指す小児科医や内科医にも,そして既に感染症を専門としている医師にとっても大変参考になる,味わい深い名書と言える。
 本書を読むにあたっての取扱い説明をちょっと試みる。

その一
 これは「病原体」だけの解説書ではなく「感染(症)」についての教科書という枠も超え,「感染(症)が疑われる子どもにどう対応するか」を述べた本である。診断の極意から,抗菌療法の解説に留まらず全身管理・救急管理のツボに至るまでの記述は,実際に重症感染症患児に長年立ち向かってきた著者ならではものである。

その二
 慣れない者にも取扱いやすい。ポイントが箇条書きで具体的に記載されているのでわかりやすく,また目に飛び込みやすい印象的な編集・フォーマットでまとめられている。

その三
 現実的である。しっかりとglobal standard を踏まえながらも,国内事情を配慮して,国内で入手可能な薬剤について「推奨投与量」と「保険適用量」を併記するあたりや医療経済的考察も忘れていない点など,「トリセツ」の「トリセツ」たる所以であろう。
 最後になってこの本の冒頭のくだりに遡ってしまうが,「小児感染症に立ち向かう心構え―10 箇条」は単に小児感染症に留まることなく,病気に苦しむ全ての子ども達に向き合う際の心構えとして肝に銘じるべき重要なポイントばかりである。感染症という,小児科医または子どもを診る機会のある全ての医師にとって最も普遍的な題材を取り上げた名書であるが,同時に子どもの診療全てに通じる大切なものの考え方や姿勢を教えてくれる。

取扱説明・最後の項目
 直ちに購入し,常に手元に置き,ボロボロになるまで使用すべし!

長崎大学大学院医歯薬学総合研究科感染病態制御学(小児科) 教授 森内 浩幸
小児感染症に立ち向かう心構え─10箇条
「トリセツ」使用上の注意

Chapter I 原則

01 感染症診療の大原則と新生児・小児・成人の違い
 A 原則と付帯条件
 B 成人と割と一緒なところ(=原則)
 C 成人とは違う点(=付帯条件)
02 新生児感染症の診かた その1. 新生児感染症のアウトライン
 A 新生児感染症の特徴
 B 新生児の感染防御機構
03 新生児感染症の診かた その2. 新生児における抗菌薬治療
 A 新生児と抗菌薬のエッセンス
 B 新生児抗菌薬治療の原則=「疑ったらすぐに」
 C 起因菌の想定
 D 「早発型」感染症の治療薬の選択
 E 治療期間の原則
04 抗菌薬のつくり方と投与ルート
 A 投与法と投与経路の考えかた
 B 抗菌薬の溶解・希釈
 C IV かDIV か
05 抗菌薬を使うと決めるとき,使わないと決めるとき
 A 抗菌薬を使わないと決断をするために
 B 抗菌薬を使うと決断するために
06 抗菌薬を「投与する前」・「投与しているとき」・「変更するとき」に考えること
 A 抗菌薬投与前の考えかた
 B 抗菌薬投与中の考えかた
 C 抗菌薬変更時─変えていいとき・悪いとき
07 小児感染症の検査の考えかた その1. バイオマーカーの捉えかた─発熱とCRP
 A 院内発熱の捉えかた
 B CRP 値の捉えかた
08 小児感染症の検査の考えかた その2. 塗抹検査・培養検査のキホン─血液培養を除く
 A グラム染色を活用する
 B 培養検査の適応・評価・解釈
09 小児感染症の検査の考えかた その3. こどもの血液培養
 A 血液培養の考えかた
 B 血液培養の適応
 C 血液培養のメリット
 D タイミング
 E 採取量
 F セット数
 G 正しい血液培養の方法(手順)
 H 培養結果の評価
10 Not doing well な発熱
 A こどもの発熱の原因と評価
 B 発熱児への初期対応
 C 解熱方法
11 小児注射用抗菌薬のトリセツ
 A アンピシリン
 B ピペラシリン
 C アンピシリン/スルバクタム
 D タゾバクタム/ピペラシリン
 E セファゾリン
 F セフォタキシム,セフトリアキソン
 G セフメタゾール
 H セフタジジム
 I セフェピム
 J メロペネム
 K アズトレオナム
 L エリスロマイシン
 M アジスロマイシン
 N クリンダマイシン
 O ゲンタマイシン
 P アミカシン
 Q バンコマイシン
 R テイコプラニン
 S リネゾリド
 T クロラムフェニコール系抗菌薬
 U ニューキノロン系抗菌薬(シプロフロキサシン)
 V スルファメトキサゾール・トリメトプリム(ST 合剤)
 W ミノサイクリン
 X 今後使うかもしれない薬剤の使用上のポイント・小児投与量
12 小児注射用抗真菌薬のトリセツ
 A 抗真菌薬の考えかた
 B アムホテリシンB リポソーム
 C フルコナゾール
 D ボリコナゾール
 E ミカファンギン
13 小児感染症のエキスパートになるために その1. 細菌性髄膜炎をマスターする
 A 細菌性髄膜炎を疑うポイント
 B 各検査の行い方・所見の読み方
 C 抗菌薬治療のポイント
 D 特殊状況下の細菌性髄膜炎
 E 代表的な起因菌別 抗菌薬の選び方と使い方
 F ステロイドの考えかた
 G 支持療法
 H 経過の見方
 I 曝露後予防(濃厚接触者)
 J 予 後 
14 小児感染症のエキスパートになるために その2. セプシスをマスターする
 A 定義:セプシス=感染症+SIRS
 B 診断のポイント
 C 抗菌薬以外の全身管理のポイント
 D 抗菌薬治療

Chapter II 疾患

01 中枢神経感染症
 A 脳膿瘍
02 上気道・頭頸部感染症
 A 溶連菌咽頭炎
 B 急性中耳炎・副鼻腔炎
 C 扁桃周囲膿瘍・咽後膿瘍
03 下気道感染症
 A 肺 炎
 B 膿 胸
04 発熱性尿路感染症
05 血流・血管内感染症・縦隔洞炎
 A 開心術後縦隔炎
 B ペースメーカー感染
 C カテーテル菌血症(CR-BSI)
 D 感染性心内膜炎(IE)
06 消化管感染症
 A 細菌性腸炎
 B 偽膜性腸炎(Clostridium difficile 腸炎)
07 腹腔内感染症
 A 特発性腹膜炎
 B 二次性腹膜炎
 C 腹膜透析(PD)関連腹膜炎
 D 胆管炎/胆嚢炎
08 軟部組織感染症・骨関節感染症
 A 軟部組織感染症
 B 骨髄炎
 C 関節炎
09 特殊領域の感染症
 A PICU 感染症のエンピリック治療
 B NICU でのエンピリック治療
 C 発熱性好中球減少症(FN)のエンピリック治療

Chapter III 対策

01 感染防止のキホン─小児科での標準予防策と感染経路別予防策
 A 標準予防策の基本概念
 B 標準予防策の実践
 C 感染経路別予防策
02 院内アウトブレイク時の対応─長野県立こども病院の場合
 A アウトブレイクとは何か
 B アウトブレイク調査開始の基準
 C アウトブレイクが疑われたときの初期対応
 D 疫学的調査およびデータの収集と分析
 E 終息の判断
 F 重大な感染事例発生時の対応
03 病原微生物別 感染症のトリセツ その1. 主要なウイルスの感染対策
 A RS ウイルス感染症
 B インフルエンザ
 C アデノウイルス感染症
 D ノロウイルス,ロタウイルス(疑いを含む)
 E 水痘・帯状疱疹
 F 麻疹
 G パルボウイルスB19 感染症
 H 肝炎ウイルス(Hepatitis B virus;HBV,Hepatitis C virus;HCV)
 I HIV(Human immunodeficiency virus)
04 病原微生物別 感染症のトリセツ その2. 院内感染対策上で重要な細菌
 A MRSA
 B ESBL(基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ)産生菌
 C MDRP(multiple-drug-resistant Pseudomonas aeruginosa:多剤耐性緑膿菌)
 D レジオネラ
 E クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile;CD)
 F 結 核

Chapter IV Q & A

01 起因菌別に有効な抗菌薬を知りたい
02 肥満児の抗菌薬投与量はどうする?
03 感染症の予防投与は,どの抗菌薬をいつはじめて,いつ止めるか?
04 こどもに経口抗菌薬を飲んでもらう秘訣を知りたい
05 妊婦・授乳婦に抗菌薬を投与するときの注意点を知りたい
06 主要な感染症の曝露後二次感染予防法をまとめて見たい
07 全身麻酔(手術)実施予定患児の予防接種のタイミングについて知りたい
08 各感染症の潜伏期間と感染期間を知りたい
09 小児科病棟の清掃手順と注意点を詳しく知りたい
10 職員が感染症を発症した場合の出勤停止について知りたい
11 感染対策をまとめて見たい
12 投与量が分からない

逆引きケース別index 100