がん患者の呼吸器症状の緩和に関するガイドライン 2016年版 第2版

緩和ケアに携わる医療者必携のガイドライン 5年ぶりの改訂!

編 集 日本緩和医療学会 緩和医療ガイドライン委員会
定 価 2,376円
(2,200円+税)
発行日 2016/06/20
ISBN 978-4-307-10178-3

B5判・160頁・図数:11枚

在庫状況 あり

呼吸困難やその他の呼吸器症状は、がん患者において頻度が高く難治性とされており、緩和医療における重要な課題の一つである。5年ぶりの改訂となった2016年版では、計26の臨床疑問を収載した。前版の推奨部分について最新の文献レビューを行い全面的に改訂するとともに、前版では「関連する特定の病態の治療」として概説するのみにとどまった悪性胸水、咳嗽、死前喘鳴の各項目についても、新たに臨床疑問が設定されている。
I章 はじめに
 1. ガイドライン作成の経緯と目的
  1. 2011年版ガイドライン作成の経緯
  2. 2016年版ガイドライン改訂の経緯
  3. ガイドラインの目的
  4. 2016年版における主な改訂点
 2. ガイドラインの使用上の注意
  1. 使用上の注意
  2. 構成とインストラクション
  3. 他の教育プログラムとの関係
 3. エビデンスレベルと推奨の強さ
  1. エビデンスレベル
  2. 推奨の強さ
  3. 推奨の強さとエビデンスレベルの臨床的意味
 4. 用語の定義と概念

II章 背景知識
 1. 呼吸困難のメカニズム
  1. 呼吸の調節機構
  2. 呼吸困難の発生
  3. 呼吸困難の発生、認知、表出のメカニズム
 2. 呼吸不全の病態生理
  1. 呼吸不全
  2. 換気障害
 3. 呼吸困難の原因
  1. 呼吸困難の原因
 4. 呼吸困難の評価
  1. 使用が推奨されている評価尺度
  2. 医療従事者による呼吸困難の評価
  3. まとめ
 5. 身体所見と検査
  1. 問診
  2. 身体所見
  3. 検査所見
 6. 酸素療法
  1. 非侵襲的陽圧喚気(NPPV)
  2. 高流量鼻カニュラ酸素療法(HFNC)
 7. 呼吸困難以外の呼吸器症状
  1. がん性リンパ管症
  2. 上大静脈症候群
  3. 主要気道閉塞(MAO)
  4. 悪性胸水
  5. 咳嗽
  6. 死前喘鳴
 8. 薬剤
  1. オピオイド
  2. オピオイド以外の薬剤

III章 推奨
 推奨の概要
 1. 呼吸困難に対する酸素療法
 2. 呼吸困難に対する薬物療法
  1. モルヒネ
  2. モルヒネ以外のオピオイド
  3. ベンゾジアゼピン系薬
  4. フロセミド吸入
  5. コルチコステロイド
 3. 特定の病態に対する治療
  1. 悪性胸水による呼吸困難に対する治療
  2. 咳嗽の緩和に対する治療
  3. 死前喘鳴の軽減に対する治療

IV章 非薬物療法
 1. 看護ケア
  1. 呼吸法のトレーニング
  2. 送風
  3. 看護師によるフォローアッププログラム
  4. 身体的・精神的側面のサポートを統合した呼吸困難マネジメントプログラム
  5. ケアマネジメント
  6. まとめ
 2. 呼吸リハビリテーション
  1. 呼吸リハビリテーションの目的
  2. 対象
  3. 呼吸リハビリテーションの構成要素
  4. がん患者に対する呼吸リハビリテーション
 3. 精神療法
  1. 呼吸困難に対する精神療法
  2. まとめ
 4. リラクセーション
  1. リラクセーション法を含む複合的介入方法
  2. 単独介入としてのリラクセーション法
  3. まとめ

V章 資料
 1. 作成過程
  1. 概要
  2. 臨床疑問の設定
  3. 系統的文献検索
  4. 妥当性の検証
  5. 日本緩和医療学会の承認
  6. ガイドライン作成者と利益相反
 2. 文献検索式
 3. 今後の検討課題
  1. 今回のガイドラインでは、対応しなかったこと
  2. 用語の定義・背景知識について、今後検討が必要なこと
  3. 推奨について、今後の検討や新たな研究が必要なこと

索引
発刊にあたって

 呼吸困難を始めとした呼吸器症状は、がん患者において頻度が高くかつ難治性であるため、その症状緩和は緩和ケアにおいて重要な位置を占めています。このため、日本緩和医療学会は2009年に「呼吸器症状ガイドライン作業部会」を組織し、2011年に「がん患者の呼吸器症状の緩和に関するガイドライン2011年版」を上梓しました。それ以来、年を追うごとに呼吸器症状緩和に関する新たな知見が発表されたため、2013年に「呼吸器症状ガイドライン改訂Working Practitioner Group(WPG)」が新たに組織されました。
 本ガイドラインの目的は、呼吸器症状のあるすべてのがん患者の生活の質(quality of life;QOL)の向上を目的に、その症状緩和に関する現時点で考えられる標準的治療法を示すことにあります。対象はすべてのがん患者であり、読者は医師、看護師、薬剤師などのすべての医療従事者を想定しています。本ガイドライン2016年版の構成は、「Minds診療ガイドライン作成の手引き2014」に沿って作成され、さらにアルゴリズムを示して臨床における医療者の方針と意思決定に役立つ工夫がなされています。
 主な改訂点は、(1)旧版の推奨部分について、新たに最新の文献レビューを行い全面的に変更、(2)旧版では、概説のみにとどまった「悪性胸水」「咳嗽」「死前喘鳴」の各項目について最新の文献をレビュー、(3)「Minds 診療ガイドライン作成の手引き2014」と「診療ガイドラインのためのGRADE システム―治療介入―」に基づき、エビデンスレベルを、これまでの3段階から、A(強い)、B(中程度)、C(弱い)、D(とても弱い)の4段階表記に変更、(4)背景知識の「薬剤」の項は、推奨文の全面改訂に伴い、最新の情報を含めて全面的に変更、(5)作成過程の段階から他の関連学会、患者会の代表者に参画していただき、その意見を反映させて、実際の臨床現場で役立つものになるように配慮し工夫、(6)推奨の項目に関する妥当性の検証では、WPG員10名と5つの関連学会から代表として推薦された5名とをデルファイ委員とし、デルファイ委員の会議において修正が必要な部分に関して協議、などです。
 これらの綿密な作業により作成された「がん患者の呼吸器症状の緩和に関するガイドライン2016年版」のガイドラインとしての完成度は2011年版に比し殊更に高いものとなっています。
 本ガイドライン作成にあたり、多大なご尽力をいただいた関連学会、患者会の代表者、パブリックコメントをいただいた学会員の皆様、そして「呼吸器症状ガイドライン改訂WPG」員の諸先生方のご努力に対し、この場を借りて感謝の意を表すとともに、このガイドラインが緩和ケアの臨床現場で大いに役立ち、多くの呼吸器症状に苦しむがん患者さんのつらさの軽減に役立つことを祈念して、序文とさせていただきます。

2016年5月
特定非営利活動法人 日本緩和医療学会
理事長 細川 豊史