放射線治療計画ガイドライン 2016年版 第4版

4年ぶりの改訂で、新規項目やリンパ節領域アトラスを追加!

編 集 日本放射線腫瘍学会
定 価 4,860円
(4,500円+税)
発行日 2016/09/15
ISBN 978-4-307-07104-8

B5判・420頁・図数:78枚・カラー図数:144枚

在庫状況 あり

多くの部位においてCTVアトラスを掲載した。総論ではIMRTの線量処方の記録や、線量の均一性、線量集中性、OARの線量、CTVやOAR以外の領域のリスク残存体積への線量制約の記載などを解説し、体幹部定位照射の適応拡大についても言及した。各論では、頭頸部癌にIMRTの治療計画、婦人科のIGBT、血液・リンパ・骨・軟部および小児の章に粒子線治療、緩和にオリゴメタ、良性疾患に翼状片の項目を加えた。
放射線治療計画ガイドライン2016年版(改訂第4版)発刊にあたって
ガイドライン委員会

総論
1. 放射線治療計画総論
2. 通常照射の手法と品質管理
3. 定位放射線治療の品質管理−頭部−
4. 定位放射線治療の手法と品質管理−体幹部−
5. 放射線治療のリスクマネジメント
6. IGRTの手法と品質管理
7. IMRTの手法と品質管理
8. 呼吸性移動対策の手法と品質管理
9. 正常組織反応

中枢神経
1. 悪性神経膠腫
2. 低悪性度神経膠腫
3. 髄芽腫
4. 上衣腫
5. 脳胚腫
6. 下垂体腺腫
7. 聴神経腫瘍
8. 髄膜腫
9. 脊髄腫瘍

頭頸部
1. 眼・眼窩腫瘍
2. 上顎癌
3. 舌以外の口腔癌
4. 上咽頭癌
5. 中咽頭癌
6. 下咽頭癌
7. 喉頭癌
8. 唾液腺腫瘍
9. 甲状腺癌
10. 舌癌
11. 原発不明頸部リンパ節転移
12. CTVアトラス(頭頸部癌リンパ節領域)

胸部
1. 非小細胞肺癌
2. 小細胞肺癌
3. 肺癌に対する定位放射線治療
4. CTVアトラス(肺癌)
5. 縦隔腫瘍
6. 乳癌
7. CTVアトラス(乳癌リンパ節領域)

消化器
1. 食道癌
2. CTVアトラス(胸部食道癌リンパ節領域)
3. 直腸癌
4. 肛門癌
5. CTVアトラス(直腸・肛門癌リンパ節領域)
6. 原発性肝細胞癌
7. 胆道癌
8. 膵癌

泌尿器
1. 膀胱癌
2. 前立腺癌根治照射
3. 前立腺全摘除術後の放射線治療
4. 前立腺癌−高線量率組織内照射−
5. 前立腺癌−密封小線源永久挿入療法−
6. 前立腺:CTVアトラス
7. 精巣(睾丸)腫瘍
8. 陰茎癌

婦人科
1. 子宮頸癌
2. 子宮体癌
3. 腟癌・外陰癌
4. 子宮癌のIGBT
5. CTVアトラス(子宮頸癌リンパ節領域)

血液・リンパ・皮膚・骨・軟部
1. ホジキンリンパ腫
2. 非ホジキンリンパ腫
3. 節外性リンパ腫
4. 骨髄腫
5. 皮膚癌
6. 骨・軟部腫瘍
7. 骨・軟部腫瘍の炭素線治療

小児
1. 小児がん放射線治療
2. 小児腎腫瘍(ウィルムス腫瘍と他の小児腎腫瘍)
3. 横紋筋肉腫
4. 神経芽腫
5. ユーイング肉腫
6. 小児白血病
7. 小児がんの陽子線治療

緩和
1. 脳転移
2. 骨転移
3. 緊急照射
4. オリゴメタスタシス(oligometastases)

良性疾患
1. 甲状腺眼症
2. ケロイド
3. 翼状片
4. 血管腫
5. 動静脈奇形

付表1. 通常分割照射における正常組織の耐容線量
付表2. QUANTECによる正常組織の耐容線量
QUANTEC Summary:Approximate Dose/Volume/Outcome Data for Several Organs Following Conventional Fractionation(Unless Otherwise Noted)
索引
序文

 わが国のがん患者数は増加の一途であり、国立がん研究センター・がん対策情報センターによれば、2015年のがん罹患数は98万人と予測されている。日本放射線腫瘍学会(JASTRO)構造調査からの推定では、年間25〜30万人が放射線治療を受けている。放射線治療はがん治療における特徴と魅力が広く認知され、これまでになく重要な役割を果たしているが、欧米の放射線治療利用率50〜60%と比較するといまだ不十分で、放射線治療のさらなる普及が期待される。今回、JASTROから『放射線治療計画ガイドライン2016年版』が出版されることとなった。本書は安全かつ効果的な高精度放射線治療の推進に大いに役立つものと思われる。
 『放射線治療計画ガイドライン』は、日本放射線科専門医会・医会の放射線診療ガイドライン策定事業の一環として、第1版が2004年に発刊された。私自身このワーキンググループ委員長をつとめ、多くの放射線腫瘍医の協力のもとにガイドラインを世に出せたことは大きな喜びであった。
 この時期、一部の施設ではCT画像を基にする3次元治療計画や強度変調放射線治療(IMRT)、定位放射線治療なども行われていたが、多くの施設ではX線シミュレータによる2次元治療計画が行われていた。このため、第1版では、主に2次元治療計画のガイドラインが記載された。その後、急速に普及した高精度放射線治療に対応できるように、2008年版(大西洋委員長)、2012年版(西村恭昌委員長、秋元哲夫改訂作業委員長)と4年ごとに改訂版が出版され、ガイドラインの内容も3次元治療計画、IMRT、定位放射線治療などに対応できるように発展してきた。なお、2012年版からは、JASTROの単独責任編集となっている。
 本ガイドラインは名前に示す通り放射線治療計画のガイドラインである。通常診療ガイドラインはevidence-based medicine(EBM)の手法に基づいて記載されるが、放射線治療計画に関するエビデンスはごく限られており、これまで同様臓器別の専門家のコンセンサスに基づいて記載されている。今回の改訂の特徴として、多くの部位でリンパ節領域アトラスが掲載された。多くの放射線腫瘍医が待ち望んでいたリンパ節領域アトラスは正確な3次元治療計画に不可欠で、この2016年版で記載された意義は大きい。また、これまで十分な記載のなかった強度変調放射線治療(IMRT)や、画像誘導放射線治療(IGRT)などの照射法についても適応部位では詳細に解説してある。
 原稿はJASTROガイドライン委員会(宇野隆委員長、茶谷正史編集作業委員長)の責任で編集され、JASTRO理事などの外部評価ののち「放射線治療計画ガイドライン2016年版」が完成し、発刊に至った。本ガイドラインが臨床現場で日々放射線治療に携わる放射線腫瘍医の指針となり、ここに示された標準的な放射線治療計画が、安全かつ効果的な放射線治療の推進につながることを期待する。最後に、本ガイドラインの編集に携わったガイドライン委員、執筆者、外部評価委員の皆さまに深甚なる感謝の意を表したい。

2016年8月
公益社団法人日本放射線腫瘍学会理事長
西村 恭昌


放射線治療計画ガイドライン2016年版(改訂第4版)発刊にあたって

 日本放射線腫瘍学会(JASTRO)ガイドライン委員会では、時代の変化に対応できるように2004年の第1版以来、4年ごとに改訂を行っている。今回の第4版では、以下に述べる主な点につき改訂を行った。
1)総論ではICRU Report83を参考に強度変調放射線治療の線量処方の記録はD50%を用い、線量の均一性を示すHomogeneity Index、線量集中性を示すConformity Index、リスク臓器(OAR)の線量としてD2%やDmean、臨床標的体積(CTV)やOAR以外の領域のリスク残存体積への線量制約の記載をするように提示した。また、体幹部定位照射の適応拡大についても言及した。
2)各論では頭頸部癌にIMRTでの治療計画、婦人科でのIGBT、血液・リンパ・骨・軟部および小児の章に粒子線治療、緩和の章にオリゴメタ、良性疾患の章に翼状片の項目を新たに加えた。
3)CTVアトラスは従来の子宮頸癌に加え、頭頸部癌、肺癌、乳癌、食道癌、直腸・肛門癌、前立腺癌等について作成した。
4)引用文献にエビデンスレベルを記載した(下表)。
5)解説は本文とは分離して青色とし、見やすくわかりやすいガイドラインをめざした。

表  エビデンスレベル分類(質の高いもの順)
 I システマティックレビュー/RCTのメタアナリシス
 II 1つ以上のランダム化比較試験
 III 非ランダム化比較試験
 IV 分析疫学的研究(コホート研究、症例対照研究、横断研究)
 V 記述研究(症例報告や症例集積研究)
 VI 専門委員会の報告や意見、あるいは有識者の臨床経験

 なお、本ガイドラインは第1〜3版と同様に専門家のコンセンサスに基づいて記載されているため、ガイドラインに推奨レベルは記載していない。また、第3版と同様に、章ごとの執筆者名は記載せず、部位別グループごとの委員の共同執筆とし、さらにガイドライン委員による一部改変、校正を行った。
 最終的に、西村恭昌先生を理事長とする日本放射線腫瘍学会理事、監事の先生方に外部評価をいただき、パブリックコメントを参考に修正を加え2016年改訂第4版が完成し、発刊に至った。
 なお、本ガイドラインの作成のための資金は日本放射線腫瘍学会の支援により得られているが、原稿作成、会議参加に対しての報酬は支給されていない。また、本ガイドラインの内容は特定の営利・非営利団体、医薬品、医療機器企業などとの利害関係はなく、作成委員は利益相反の状況を日本放射線腫瘍学会に開示している。

2016年8月
ガイドライン委員長 宇野 隆
ガイドライン改訂作業委員長 茶谷 正史