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湿疹皮膚炎群注目されている。(TARC)は,アトピー性皮膚炎の病勢が悪化するにつれて血中濃度が上昇する傾向がある。治療開始後早期にTARC値が十分に低下していることがその後の皮膚状態の改善やプロアクティブ療法への意欲を高めることにつながることが示されており,治療効果を評価する指標として,TARCの血中濃度を測定することも推奨される。項目を満たす場合に診断される。瘙痒痒みがあること特徴的な皮疹と分布湿疹病変があり,その分布が前述のように年齢や部位によって特徴的であること慢性・反復性経過湿疹が繰り返し出現することがなく,痒みもない状態にする(寛解導入)。それを達成したのちに,その状態を維持しながら(寛解維持)徐々に治療を減らし,最終的には治療をほとんど必要とせず,スキンケアのみでその状態が維持されることを目標とする。あることを患者と共有(治療ゴールと治療プランの共有)し,外用指導を含めた適切な実践方法を説明する。患者によって,悪化因子が異なることもあわせて説明し,画一的な対策や検査を行うのではなく,患者にあわせた生活指導を行う。 ●薬物療法の基本は軟膏基剤のステロイド外用薬 ●長期にわたる病変に対しては,湿疹や痒みがな ●あまり再燃を繰り返さない病変に対しては,皮 ●皮膚の状態をみながら,ステロイド外用薬のラ ●スキンケア,悪化因子の対策,生活指導の重要 ●まずは外用治療が適切に実践されているかを確 ●適切な外用治療にもかかわらず効果がみられな ●そのような治療が難渋する重症例では生物学的 ●アトピー性皮膚炎の治療経過は図に示すようにを中心とした外用療法で寛解導入を目指す。使用感によりアドヒアランスの低下がある場合にはクリームやローション基剤を検討する。寛解導入できた場合くても,皮疹の再燃を防ぐために,間欠的に抗炎症外用薬を塗布するプロアクティブ療法を行う。疹や痒みが出現したごく早期に治療・対処を行うリアクティブ療法によって,寛解状態の維持を行ってもよい。ンクを下げ,塗布する頻度を減らし,長期使用による副作用が心配される部位ではデルゴシチニブ軟膏やジファミラスト軟膏,タピナロフクリームなどへの変更を検討する。性を説明する。寛解導入できなかった場合認する。多くの症例では,外用が不十分であるために寛解導入ができていない。い場合は,診断を見直さなくてはならない。アトピー性皮膚炎という診断に間違いがなく,それでも外用の効果不十分な場合には全身療法を含めた追加治療併用を検討する。製剤が使用可能な施設への紹介を検討する。寛解導入期,寛解維持療法への移行期,寛解維持期,最終目標の4つの段階に分けることができる。各段階で患者ごとの特性や外用薬に対する反応性を十分に評価し,それにあわせた最適な治療薬を選択することが重要である。・アトピー性皮膚炎と似た症状が出る他の疾患を除外することも重要である。接触皮膚炎,脂漏性皮膚炎,単純性痒疹,疥癬,汗疹,魚鱗癬,皮脂欠乏性湿疹,手湿疹,皮膚リンパ腫,乾癬,Wiskott-Aldrich症候群,高IgE症候群,膠原病(全身性エリテマトーデス,皮膚筋炎),ネザートン症候群皮膚科の臨床 Vol.67 No. 6 20255631631診断・鑑別治療方針 ●Thymus and activation-regulated chemokine ●アトピー性皮膚炎の診断基準は,以下の3つの ●まずは外用薬を中心とした治療によって,湿疹 ●速やかな寛解導入と長期間の寛解維持が重要で

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