湿疹皮膚炎群アトピー性皮膚炎は,「増悪と軽快を繰り返す,瘙痒のある湿疹を主病変とする疾患であり,患者の多くはアトピー素因をもつ」と定義される。皮膚バリア機能低下,免疫異常,痒みを中心に,さまざまな要因が複雑に絡み合っており,それら病因間にヒエラルキーのないことが症状の多様性につながる。変に分けられ,年齢によって特徴的な分布を示す。全年齢を通して皮膚の乾燥傾向がみられることが多い。にみられる。皮膚が赤くなる紅斑と,皮膚が盛り上がる丘疹がある。る。皮膚が厚く硬くなる苔癬化や,強い痒みのある痒疹結節がある。し,多くの場合,左右対称に現れる。乳児期顔面や頭部から始まり,体幹,四肢に広がる幼児期・学童期頸部,肘窩,膝窩などの関節部。乾燥が主体となり,慢性病変に移行する思春期・成人期顔面型や痒疹型がみられる場合があり,上半身に強い傾向があるウイルスによる皮膚感染症をおこしやすい。また,慢性に経過する疾患であり,症状は増悪と軽快を繰り返す。 ●アトピー性皮膚炎の皮疹は,急性病変と慢性病 ●急性病変は,発症時または慢性期の急性増悪時 ●慢性病変は,長期間炎症が続いた場合にみられ ●皮疹は,外的要因が加わる部位に早く強く出現 ●皮膚のバリア機能が低下しているため,細菌や ●アトピー性皮膚炎の重症度は,皮疹の範囲や程 ●全体の重症度評価には,「アトピー性皮膚炎重 ●瘙痒の評価には,主観的に評価する方法として ●QOLの評価には,成人ではSkindex‒16ならび ●小児では,DLQIの小児用であるChildren’s ●その他,質問票で評価するPatient Oriented 度,痒みの強さ,睡眠障害の有無などを総合的に判断して評価する。症度のめやす」と皮膚病変の全般的な評価(Investigator’s Global Assessment;IGA)が簡便である。臨床試験,臨床研究では個々の皮疹の重症度を評価できるSeverity Scoring of Atopic Dermatitis(SCORAD),Eczema Area and Severity Index(EASI)がよく用いられる。Numerical Rating Scale(NRS)やVisual Ana-logue Scale(VAS)のほか,掻破行動と痒みの程度を評価する。にDermatology Life Quality Index(DLQI)が利用可能である。Dermatology Life Quality Index(CDLQI)がある。Eczema Measure(POEM)も患者自身がアトピー性皮膚炎の症状を評価する指標として推奨されている。さらに最近,アトピー性皮膚炎のコントロール状態を包括的に患者が評価するRecap of Atopic Eczema(RECAP),Atopic Dermatitis Control Test(ADCT)といった指標が開発され,長期コントロールの指標としてatopic dermatitis630630(2歳未満)(2~12歳)(13歳以上)4臨床症状アトピー性皮膚炎
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