皮膚科における遠隔診療高血圧症などを合併することがあり,これらはいずれも致命的となる。コロナ禍のような特殊な状況下,さらには身近に専門医が存在せず,また専門施設の受診が不可能な状況下においても,専門医あるいはプライマリケア医による対面診療と,専門医による遠隔診療が有用である可能性がある。 皮膚疾患は目に見えるため,遠隔診療との親和性が高いと考えられる。また,患者自身も病変に気がつきやすいため,昨今,遠隔診療への関心が高まりつつある状況を考慮すると,皮膚科医が遠隔診療に接する頻度は高まることが予測される。そこでわれわれは,日本遠隔医療学会皮膚科遠隔医療分科会の活動として,インターネットに明るく,潜在的に遠隔診療を利用する機会が多いと考えられる,子育て・就労世代に焦点を当て,ヘルスケアに関する意識調査を行った(http://j-telemed-s.jp/subcommittee/sig_teledermatology/)。 この調査は,コロナ禍に至る前の2019年と,コロナ禍に至った2021年の,合計2度,実施された。いずれも1,545人の回答を得ることができた。皮膚に症状を呈する疾患はさまざまであり,皮膚科医は皮膚疾患の専門家であると同時に,さまざまな診療科の窓口になることもあるため,一般的な疾患領域は限定せず,多彩な疾患に関する質問を行った。特に重要と思われる点を以下にまとめる。遠隔診療の認知度については,コロナ禍前では遠隔診療について見聞きしたことがない人が44.1%を占めたが,コロナ禍中には14.8%となった。また,遠隔診療に期待することとして「病院に行く手間が省ける」が最多で,85%以上を占めたが,コロナ禍中には,医療施設および医療施設までの移動の際の感染リスクを減らしたいという要望が増加していた。同時に,通院を中断した理由に関する調査も行ったが,コロナ禍前と比べ,コロナ禍中では,体調の改善などから通院不要と自己判断したり,治療を自分でやめてみて,特に変化がなかったからという割合が10%ほど増加していることが明らかとなった。遠隔診療を用いれば,治療を継続できていたとする割合は40%であり,コロナ禍においても遠隔診療を活用すれば,適切な患者フォローアップが行えることが期待される。 遠隔診療にはさまざまな活用の可能性があり,昨今のコロナ禍の影響も踏まえて,今後,利用される頻度は増えていくと予測される。オンライン診療が医療の質を高め,国民の健康を維持するために有用である場面は確実に存在すると考えられることから,正しい活用について,医師はもちろんのこと,患者自身においても考え続けていくことが重要である。◆◆◆912224皮膚疾患は遠隔診療との親和性が高いことがわかりました。遠隔診療を用いることで患者さんの治療継続にもつながるのですね。患者さんのフォローアップの選択肢の1つとして,遠隔診療についてももっと勉強しようと思います!Ⅳ子育て・就労世代の医療・ヘルスケアに関する意識調査
元のページ ../index.html#4