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*Ayumi YOSHIZAKI,東京大学大学院医学系研究科,臨床カンナビノイド学講座KEY WORDS221909皮膚科では基本的には対面での診察が望ましいけど,来院が難しいケースもあるよね。よく診る皮膚疾患での遠隔診療の活用について教えるね。 Information and communication technology(ICT)は情報のやり取りにおける物理的な距離の影響を小さくし,これまでに社会へさまざまな可能性を与え,人々の暮らしを豊かにしてきた。その活用の例は多岐にわたり,近年では医療の世界においても,これを診療に用いた,いわゆる遠隔診療という新しい医療形態が世界中の注目を集めている。特にCOVID—19の世界的な大流行は,本邦においても遠隔診療の知名度を向上させ,また実際に活用できる制度上の範囲が広がったことは記憶に新しい。診察方法のなかでも視診が重要な役割を果たす皮膚科診療においては,写真やビデオ通話などを用いた遠隔診療に特に親和性が高いと期待される。一方で,未だ黎明期である遠隔診療は,まだまだ医師と患者の両者にとって経験が少ないため,今後のエビデンスの蓄積が重要と考えられる。 皮膚科の診療において,多くの疾患は目に見えるため,視診はもっとも重要な診察要素である。このため,写真やウェブカメラを用いることで病変部の観察が可能であるオンライン診療は,皮膚科診療との親和性が高いことが想像される。その一方で,留意しなくてはならないこととして「皮膚科の診療は視診のみによって行われるのではない」ということがあげられる。したがって,すべての皮膚疾患においてオンライン診療が適切ということではなく,他の診療科と同様に,適している疾患と,適さない疾患が存在することを十分に認識する必要がある。このような背景を踏まえ,遠隔診療を国民の健康を守るための医療をよりよく発展させるツールとするためには,今後のデータの蓄積と,確度の高いエビデンスの構築が重要であると考えられる。本項では,よ遠隔診療,痤瘡,アトピー性皮膚炎,乾癬,全身性強皮症コロナ禍になったことで,オンライン診療が急速に広まったように思いますが,皮膚科でも可能でしょうか。吉崎  歩*アドバンストステージ皮膚科診療とオンライン診療診療のしかたⅠ皮膚科における遠隔診療

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