細菌感染症31191917, 2018 3) 吉田光範ほか:Med Technol,50:257—263,2022 4) Franco-Paredes C et al:Clin Microbiol Rev, 32:e00069—18, 2018 5) 斎藤 肇:非結核性抗酸菌の基礎と臨床,医薬ジャーナル社,2015,p421—451,508—530,548—560 6) Philips RC et al:J Am Acad Dermatol, 81:730—739, 2019 7) Johnson MG, Stout JE:Infection, 43:655—662, 2015 8) Chen Y et al:Acta Derm Venereol, 98:989—990, 2018 9) Lindeboom JA et al:Clin Microbiol Rev, 24:701—717, 2011 10) Nishikawa R et al:J Dermatol, 45:64—66, 2018 11) Franco-Paredes C et al:Clin Microbiol Rev, 32:e00069—18, 2018 12) Sugawara M et al:J Dermatol, 42:588—595, 2015皮膚科の臨床 Vol.64 No.5 2022❺ M. chelonae,M. abscessus,M. fortuitum感染症文 献 1) Ashley B et al:Mayo Clin Proc, 88:38—45, 2013 2) Forbes BA et al:Clin Microbiol Rev, 31:e00038—性結果と臨床効果が相関しないものもある。病変が限局している場合や難治性の場合,外科的切除も考慮する。❶ M. marinum感染症 M. marinumはテトラサイクリン塩酸塩,マクロライド,エタンブトール塩酸塩,スルファメトキサゾール・トリメトプリム(バクタ®),リファンピシンに感受性がある5)。他の抗酸菌とは異なり,耐性菌の出現は非常にまれであるため,病変が皮膚に限局している症例ではテトラサイクリン塩酸塩系の薬剤を単剤で使用し,深在性の病変ではテトラサイクリン塩酸塩系薬剤に加えて,リファンピシンやクラリスロマイシンを併用するという意見8)や,やはり多剤併用療法を推奨するという意見11)もあり,統一見解はない。2~6カ月間を目安に投与するが,病変が多発している場合や,深部まで及んでいる場合などは,少なくとも2剤は併用し,投与期間も長めがよいと考える。薬剤感受性検査は通常は必要なく,難治性の場合にのみ行う。❷ M. haemophilum感染症 報告例が少なく,治療法はまだ確立されていない。マクロライド(クラリスロマイシン),フルオロキノロン,リファンピシン,シプロフロキサシンなどから3剤併用し9),治療効果をみながら変更も考慮する。❸ M. avium complex感染症 抗結核薬のイソニアジドやピラジナミドは耐性,リファンピシンは静菌的にしか働かず,現時点で殺菌的な薬剤はない5)。肺感染症に準じて治療し,クラリスロマイシン,リファンピシン,エタンブトール塩酸塩の3剤を併用する。多剤併用は,耐性菌予防のためだけではなく,抗菌力増強のためでもある。❹ M. shinshuense感染症 本邦ではリファンピシン,レボフロキサシン水和物,クラリスロマイシンの3剤併用が推奨されている12)。壊死組織がある場合はデブリードマンを行う。 いずれも標準的な抗結核薬であるイソニアジド,リファンピシン,ピラジナミド,エタンブトール塩酸塩,ストレプトマイシン塩酸塩には耐性がある。薬剤感受性は菌株により異なるため,培養陽性後の薬剤感受性結果を参考に治療薬を選択する。M. chelonaeはマクロライド(クラリスロマイシン,アジスロマイシン水和物),ニューキノロン,テトラサイクリン塩酸塩,イミペネム水和物,アミカシン硫酸塩に感受性がある11)。M. abscessusは,マクロライド,イミペネム水和物,アミカシン硫酸塩,リネゾリドに感受性がある11)。M. fortuitumは,マクロライド,ニューキノロン,テトラサイクリン塩酸塩,スルファメトキサゾール・トリメトプリムに感受性がある11)。本邦では,クラリスロマイシン,レボフロキサシン水和物,ミノサイクリン塩酸塩から2剤,もしくは3剤併用の報告が多い。M. chelonae,M. abscessusは至適発育温度が低く,薬物療法に加え温熱療法の併用が有効であった報告もある。
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