* 香* 塩之谷整形外科院長爪「爪が薄い」「爪が巻いているのではないか」「爪がうまく切れない」などしおかおりのや塩之谷成長とともに徐々に厚さを増し,大人の爪の形態に近づく.末節骨形成不全があると爪は短いままとなる.手足口病が爪変形や剥離を起こす可能性があることを念頭に置く.靴が足爪変形の原因になることがあるので,つま先に余裕のある靴を適切に履く必要がある.皮膚・爪爪が薄いここがポイント0.25 mm,0.26 mmとなり,7歳では0.39 mmとなるとのことである1).全体的に男児より女児のほうが爪が薄いが,これは成人でも同じ傾向にある.官製葉書の厚さが0.22 mmということなので,新生児の爪はやはりそれより薄いといえる.薄いがために欠けやすいが,適切に切っていれば傷を作ることはあまり多くない.なので新生児では「爪が薄」くても徐々に厚くなっていくということを伝え,心配しなくてもよいことを伝える. 爪が末梢に向かっておじぎするように,足趾の先端方向に向かって底屈している状態である(症例1).爪は末節骨に沿って伸びるので,末節骨の形成がまだ未熟な乳幼児では骨が存在しない末梢部位は皮膚に沿って底屈してくる.爪と皮膚の間に慎重に爪切りまたはハサミをくぐらせて切ることを指導する.末節骨の形成が進むと,爪は先端に向けてまっすぐ伸びるようになる. 筆者は整形外科医として自院で足と靴と爪の専門外来を開いているが,乳幼児の爪についての相談で多いのは,「爪が薄い」「爪が変形している(巻いている,反っている)のではないか」「爪が切りにくい,爪をどう切ってよいかわからない」「爪周囲の炎症で痛がる」などの相談である. 新生児から乳児の爪は非常に薄く,紙よりも薄いのではないかと思われるほどである.爪の厚みについての経年変化についてはあまり研究が多くないようであるが,手の爪で計測した0歳から7歳児までの爪の厚みに関しての古い論文があるようである.それによると0歳男児の母指の爪は0.2 mm,1年ごとに0.25 mm,0.28 mm,0.29 mm,0.3 mmと徐々に厚みを増し,7歳で0.43 mmとなるという.女児はそれよりも薄く,0歳では0.12 mm,同じく1年ごとに小児科 Vol. 65 No.12 20241334はじめに爪が巻いている(縦方向)26
元のページ ../index.html#8