8前だのりえ田作口衣ちだ田まえしゅうさくぐち*1 阿南医療センター言語聴覚センター *2 同 耳鼻咽喉科小児では,年齢や発達の段階に応じて一定の順序で構音を獲得することから,構音障害は正常な構音の獲得時期を念頭において評価する.小児の構音障害を検出した際には,まず聞こえや発声発語器官を確認し,異常があれば早期に医療機関へ紹介する.3歳児健診では構音障害を疑う児を検出し,4歳6か月頃に保健師が確認し,改善が乏しい場合には就学までの獲得を目標に言語訓練を行うことを勧奨する.言語獲得時期の構音障害は,適切な評価や構音訓練により正常構音を獲得させることができるため,言語聴覚士のいる専門機関への紹介が望ましい. 秀 野 理小児の構音の発達 千 いづみ*1,2*1*1発育・発達ここがポイント 小児における言語の獲得は,児が生活の場所や社会で話されている言語の刺激を受け,乳児期の喃語から,構音の産生へと変化していく.構音の獲得は構音運動の発達のみで達成されるものではなく,母語の音韻体系の獲得が重要な要素である1). 小児の構音の発達は一定の順序がある.母音の獲得は子音より早く,3歳前後に完成する.子音の獲得は母音より遅れ,就学前後の6~7歳頃に完成する2).表1に構音の獲得時期を示す3).音によって獲得時期が異なり,両唇音のマ行,パ行,バ行と破裂音のカ行,ガ行,ダ行は3歳6か月までに獲得されるが,ラ行,サ行,ザ行,ヂ,ヅ,ツは獲得時期が遅く,4歳6か 小児の構音獲得は言語発達や構音器官の発達に伴い,幼児期には個人差が大きい.そのため乳幼児健康診査(以下,健診)では児の発達段階と個人差を考慮したうえで適切に評価する必要がある. 3歳児健診はその年齢に達したすべての児を対象に,構音に問題のある児を発見することができる最初の貴重な健診だが,3~4歳は構音の獲得途上であるため,経過をみるべきか,早期に介入すべきかの判断が難しい. そこで本稿では小児の構音の発達と構音障害について,3歳児健診における構音の異常とその対応,保護者からの質問・相談への具体的な対応方法について紹介する.小児科 Vol. 65 No.12 20241242はじめに構音の問題―発音がおかしい「『さしすせそ』が上手に言えない」「発音の言い直しはさせたほうがよいか」など
元のページ ../index.html#5