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先端医学・難病対策1531広義:人工知能(AI)計算に基づいて判断・知的予測を行う機械学習計算機への大量のデータやパターンからルールを見つけ利用することで判別や未知のものの予測を行うニューラルネットワークデータを多層的に圧縮,復元し,特微量を見出し予測を行う14 AIによる診断支援システム深層学習り学習の場合,正解と正解でないものをそれぞれ学習して,正解かそうでないかを推論する.また,現在のAIの得意分野は,画像解析と自然言語処理である.よって,CT画像などでの推論がAI診断支援システムのよい対象となる.しかしながら,計算法の進歩などにより,その活用範囲は,さまざまな領域に広がっている. 小児科領域においても,CTやX線画像での診断支援などをはじめ,非常に多岐にわたりAI(診断支援)が活用されつつある(表)1).すべてを詳細に述べることは誌面の都合上困難で,また,それぞれについてよい文献1),解説などが出ているので,ここでは,筆者らが実施している,希少・難病のAI診断支援システムと,AI診断支援システム全般の位置づけについて記載する. 希少疾患(わが国では希少・難病)は,各国によりその定義がまちまちであるが,概して人口あたりの罹患者が少ない疾患を指す.わが国においては,国内の罹患者が5万人未満と定義されている.しかしながら,その種類は非常に多く,現在,公開されている遺伝子関連疾患情報のデータベース,メンデル遺伝カタログ(Online Men-delian Inheritance in Man:OMIM)に登録されているだけでも9,500を超えている(希少疾患の約80%は遺伝子関連疾患といわれている).また,その数は,年々増加しており,将来的には数万程度になると予想されている2).希少疾患全体としては,人口の約5~8%,全世界で約3億名以上が罹患し3)4),うち約75%は小児疾患と推定されている.よって,小児の診療では,たとえ一般診療においても,何らかの希少疾患患児に遭遇する機会は少なからずあるといえる.しかしながら,その診断は,種類の多さなどから,しばしば困難で,診断までに5~8年,多数の医師(平均8名)や医療図1 Artificial intelligence(AI)の分類小児科領域におけるAI希少・難病とAIⅢ

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