特 集 With COVID-19時代のシミュレーション教育・オンライン診療図6 子育て世代包括支援センターの遠隔支援イメージと,こういうふうに簡単に相談できる場所があるというのは大変心強い.不安感が和らいだ」(1歳女児の母)といった声も寄せられており,オンライン相談がSNSを通した新しいコミュニケーションチャネルとして機能し,子育て不安の軽減,子育ての孤立予防に貢献し得ることが示唆された. コロナ禍では受診自体が減少し,状況は変化したが,コロナ禍前,小児科における時間外外来の軽症受診の多さはたびたび問題として取り上げられていた.2012年の報告では,東京都指定二次救急医療機関の休日・全夜間診療事業を受診した小児患者のうち,93%は入院不要の軽症患者であったとする統計がある4).米国と比較し,日本の小児は11倍病院の外来を受診しているという研究もある5).こうした時間外の軽症患者の受診適正化は,医療現場の負担軽減,また,とくに時間外診療における緊急性の高い患者へ医療リソースを集中させる意味でも重要である.小児科オンラインでは,小児科医がテレビ通話やメッセージチャットに貼付された画像,動画を参照しながら受診勧奨を行う.寄せられる相談のうち,夜間でも今すぐ受診すべきとアドバイスする割合は1%ほどである.単純な比較は困難だが,平成29年度#8000情報収集分析事業報告書によると,#8000事業では,その割合は19.9%となっている6).小児科オンラインでは,相談利用後の受診行動に関しても追跡調査を行っている.小児科オンラインを導入している健康保険組合と連携し,本事業を利用した当日夜間,および翌日の利用者の受診行動に関して全例のレセプトデータを用いて追跡したところ(図7),全相談129件のうち,夜間受診を行った利用者は0件,翌日昼間受診を行った利用者は16件であった.24時間以内の緊急入院は0件であった.評価対象とした129件すべて非緊急であり,担当した小児科医は経過観察もしくは翌日日中以降の受診を指示していた.このことより,利用者は小児科オンラインを通した医師の説明に納得し,夜間の外来受診を控えたことがわかり,時間外受診の適正化につながった可能性が示唆された.こちらの内容は,2018年の日本外来小児科学会において,小児科 Vol. 62 No.4 2021子育て世代包括支援センター保健保育園学校センター保健所対面サポート地域の妊産婦,子育て家庭遠隔小児科医,産婦人科医による遠隔オンライン相談375アドバイス,情報連携貢献 ② 時間外受診の適正化
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