b0a℃1086420-291124RT:20℃4872(時間)あったと確約できる根拠なくして使用することは御法度である.少なくとも,温度を保証する測定系システムを構築する必要がある.保冷システムの維持だけを考えるのであれば,高価な蓄電池や面倒な発電機に頼らずとも48時間程度はカバーできることが証明されたが,実際には,いつまで続くかわからない停電は恐怖にちがいない.48時間という制限時間内に,通電復旧している地区を見つけて,そこへの移送交渉をするのが現実的であろう.ただし東北の大震災のような極端に規模の大きな災害では,想定そのものが難しい. 今回は保冷環境を中心に停電対策を検討したが,電子カルテ時代に保冷環境だけを整えれば済むというものではない.停電時の診療を考えるなら,蓄電池システムを整備していたとしても,保冷は格安対策に任せて,限られた電力を電子カルテと照明に回したい.電気食い虫はプリンターと保冷庫なので,プリンターと保冷庫による電力消費は極力避け,電子カルテの稼働台数を半分に減らし,コピー機の代わりにデジタル写真を利用するなど,電力の利用を最小限に抑えれば,巨大な蓄電池や発電システムをもたないクリニックでも,通電復旧までに細々と 最後に,参考となるアンケートの提供をご快諾いただきました尼崎市の山本千尋先生ほか兵庫県小児科医会の諸先生方に深謝いたします.診療を継続できるかもしれない.しかし,もし停電の日が日曜日で,自院が「日曜当番医院」であったならどうであろう.これは単なる悲観的妄想ではない.実は,大規模停電の翌週の日曜日,当院がその任にあたっていた.そして,折しも次の台風22号が,日曜日に同じコースを通過するという予報が出ていたのである.筆者は,最悪の場合を想定して,少しでも診療ができるように購入可能な蓄電池を慌てて数台取り寄せ,その日に備えた.実際は,21号に相当するような被害はなく,台風は前夜に南寄りのコースを通過していったので,急遽購入した蓄電池の出番はなかった.地域防災を考えるうえで,拠点病院や救急病院だけでなく,当番医院にも救急の仕事を全うするための支援体制(蓄電池や発電機の貸し出しなど)があってもよいのではと思われた.また,現代社会がいかに電力供給に依存した脆弱な基盤の上に成り立っているかという危うさを知ることができた.政府には,災害に強い安定した国づくりを求めていきたい.図₁₀ 格安停電対策と保冷効果の実証実験小児科 Vol. 61 No.6 2020おわりに
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