907ClinicHospitalClinicHospital1:データロガー使用2:最高最低温度計使用3:在庫を最小限に抑える4:扉の閉鎖不全警報5:当日使用専用冷蔵庫6:発泡スチロールの使用7:庫内の置き場所に拘る50100(%)50100(%)00670:対応なし1:自家発電機2:非常用発電機3:蓄電池4:保冷剤の大量備蓄5:電気自動車6:庫内の温度記録7:ワクチン保険(N:43)20131127(N:22)16の保管庫としては,一般冷蔵庫(冷蔵庫)を薦めたい.冷蔵庫の欠点は,施錠ができない,温度設定がデジタル指定できないことであり,温度も不安定であるといわれているが,1日の庫内の温度変化を最高最低温度計で測定してみたところ,温度幅は冷蔵室で1℃(+2~+3℃),冷凍室で3℃(-18~-15℃)の範囲におさまっていた.最大の長所は,冷凍室を附帯していることである.また一般保冷室においても,停電時の保冷維持力としては,薬冷庫よりやや高いことがわかっている.そのほか,冷凍室は停電時にも活用用途が多いので,最初の1台には市販の大型冷凍冷蔵庫を薦めたい.生ワクチンは冷凍室保存とし,別に小さな当日専用冷蔵庫を用意し,前日に,翌日使用分を有効期限の確認をしつつ,当日専用冷蔵庫に移管する.冷凍室の余ったスペースには,停電に備えて保冷剤を最大限収納しておく.外部センサー付最高最低温度計をセットし,保冷庫内と冷凍庫内の最高最低温度を毎日人間が記録する.データロガーに頼ることなく,毎日人間がチェックすることが望ましい.最高最低温度計の使い勝手は,データロガーよりはるかに単純,かつ値段も安価(1,000円~)である.手間を惜しまず,人の目で管理することが大切である.5.停電に対する日常の備え 停電に対する日常の備えについては,ClinicとHospitalでずいぶん異なる回答になった(図₇).Clinicでは,63名中「備えなし」が20名も存在した.対してHospitalでは,小児科長の管理ではなく病院全体での備えとなり,中小を含めほとんどの病院が自家発電機または大型の非常用発電機を備えており,地震や津波などで自家発電システムそのものが破損しない限り,停電のみのアクシデントでは困ることはない.Clinicの「備え」に対する医師間の意識の差は著しく,発電機・蓄電池・保冷剤を揃えても不安で,保冷庫内のワクチン保険を検討している医師から,災害発生が起きてから初めて考える医師までさまざまである.ワクチン保険は,今後発売される可能性はあるが,現在一般的な保険のなかに保冷庫内の薬剤を補償してくれる保険はない.あってもおそらく非常に高価なものになるか,広域停電や地震・大型台風などの自然災害時には適応しない可能性もあり,現段階では検討に値しない.後述するが「保冷剤の大量備蓄」は,安価で簡単にできることから,多くのClinicで行われている. 2018年10月1日の台風21号に伴う大規模停電後に,追加のアンケート ② を実施した(表₂).15施設(Clinicのみ)から長期停電に見舞図₆ 保冷庫内の温度を一定に保つ工夫(Q3‒4)図₇ 日常の停電対策(備え)(Q4)小児科 Vol. 61 No.6 2020大規模停電時の管理(アンケート ②)
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