042152025045T
4/10

492No.106recRである。No.106recRの腹側縁は規約上右迷走神経とされる7)。しかし,症例によっaa作の重要な位置を占める。同操作においては郭清範囲を走行する左右の反回神経を温存する必要があり,手術手技の定型化と確実かつ愛護的な手術手技が必須となる。1)No.106recR郭清手技われわれは上縦隔操作を同部位の胸膜切除から開始している。尾側は奇静脈弓頭側縁,腹側は右迷走神経のやや腹側,頭側は右鎖骨下動脈尾側,背側は椎体と食道の間隙に囲まれる範囲の縦隔胸膜を切除すると露出される脂肪織ならびにリンパ節が郭清対象となる(No.106recR,No.105)。奇静脈頭側と右鎖骨下動脈尾側は,血管走行が明らかになるラインで設定する(図3a)。右迷走神経の直上の層で頭側に向けて脂肪織を観音開きに処理し,右鎖骨下動脈に至る。この右迷走神経直上の層を保ったままで右鎖骨下動脈に沿って脂肪織を処理すると同動脈が露出される。後の操作のメルクマールにするためにも右鎖骨下動脈の十分な露出が望ましい。ここまでの操作で処理する脂肪織の中には破格がない限り右反回神経は含まれない。続けて右迷走神経をテーピングする。可及的頭側でテーピングするほうが右反回神経の同定の際bbには有利になる。先の操作で明らかにした右鎖骨下動脈尾側縁から血管に沿う層は容易に剝離可能であり,頭側に向けて剝離するとNo.106recRを含む郭清対象組織(以後はNo.106recRと記載)が食道ならびに気管側に集約される。この操作の後にテーピングを利用して右迷走神経に頭側腹側方向のテンションをかけると右鎖骨下動脈を回る右反回神経が容易に同定される。右反回神経の走行を確認した後に奇静脈からやや頭側で右迷走神経にそって脂肪織を処理すると容易に気管右側の層に到達する。微細血管網を気管側につけながら気管軟骨に沿って鈍的に剝離される層は疎であり,容易に頭側まで剝離できる。頸部操作を先行している場合,同操作は容易に頸部操作と連続する。先の右鎖骨下動脈からの剝離層と気管右側の剝離層にはさまれる組織がては右迷走神経を越えて規約上のNo.106preにかかってリンパ節が位置するため,症例ごとに境界を設定する必要がある。No.106recRの背側縁は同組織の食道付着部に該当する。これらの境界が剝離されるとNo.106recRが尾側に引き出され手術 2025年4月臨時増刊号Ⅱ-1-1開胸食道切除術右鎖骨下動脈尾側縁右迷走神経腹側椎骨と食道の間隙奇静脈弓頭側縁右鎖骨下動脈食道右反回神経気管右側図3. No.106recR郭清操作

元のページ  ../index.html#4

このブックを見る