042152025045T
10/10

740 いわゆる“American Bassini”は なぜ再発が多かったのかえにくいことである。神経走行にはバリエーションが多いが,縫合部位に腸骨鼠径神経が走行していることがあるので,針を掛けない注意が必要である。鼠径管後壁補強の共通基本は,鼠径管内側片(鼠径管自体が斜めなので,頭側片と表記することもある)の腱あるいは筋膜組織を,外側片(同,尾側片)の腱あるいは筋膜組織に縫着することである。さまざまな術式があるが,共通のコツとしては,下記が挙げられる。①主体は腱あるいは筋膜で,筋肉は脇役②縫合は非吸収糸を使った連続縫合③両端を疎かにしない,しかし,恥骨結節の骨膜Bassini法の歴史はややこしい。当時の記録がに針は掛けないだだ,筆者はこれが原則と考えているが,詳細は術者によって差異があり,当てはまらない場合も多い。曖昧でもあり,何をもってBassini法と呼ぶかは専門家の間でも意見が一致しないが,あえて定義化すると,①横筋筋膜を切開し,内側片と外側片に分ける②内側片は横筋筋膜,腹横筋(の腱膜弓),内腹斜筋③外側片は横筋筋膜,鼠径靱帯のshelving por-手術 2025年4月臨時増刊号Ⅱ-7-3組織縫合法図1. 標準的Marcy法精索裏面を剥離し精索全体を挙上するため,通常は内鼠径輪近傍で横筋筋膜が環状切開される。横筋筋膜の腹側面を見ながら縫縮するので解剖は理解しやすい。腹膜前筋膜は省略した。精管・精巣動静脈ヘルニア囊断端腹膜横筋筋膜・内精筋膜内鼠径輪縫縮糸 5 4 鼠径管後壁の補強の共通原則

元のページ  ../index.html#10

このブックを見る