1802②の場合,緊急性はないが,速やかな手術が望ましい。もし,自施設がCOVID-19が沈静化するまで手術は行わないという方針をとっているならば,通常どおりの手術体制をとっている他施設への紹介が望ましい。③は待機的手術での対応が可能なので,自施設の状況と患者の希望とをすり合わせて対応を決めればよい。④,⑤はすぐに手術を決めずともwatchfulwaitingも可能と考えるので,COVID-19が沈静化してからの判断でも問題はないであろう。もちろん,患者の全身状態(耐術能,併存疾患とその予後予測など),患者の社会的状況(緊急時にすぐに来院できる労働環境かなど),地域の医療環境(緊急時の対応が容易か否かなど)などによって手術時期は変化するものである。watchfulwaitingの適応などは日本ヘルニア学会内でも検討中であり,現時点では普遍的同意を得られたものではないこともお断りしておく。上記の判断基準は筆者のセオリーである。2)日本ヘルニア学会ガイドライン委員会編:鼠径部ヘルニア診療ガイドライン2015.金原出版,20153)術後感染予防抗菌薬適正使用に関するガイドライン作成委員会編:術後感染予防抗菌薬適正使用のための実践ガイドライン.〈http://www.gekakansen.jp/anti-microbial-guideline.pdf〉(最終確認日:2020/6/12)4)日本循環器学会/日本不整脈心電学会合同研究班編:2020年改訂版不整脈薬物治療ガイドライン.〈https://www.j-circ.or.jp/old/guideline/pdf/JCS2020_Ono.pdf〉(最終確認日:2020/7/15)5)Shouldicehospital:HERNIASEXPLAINED.〈https://www.shouldice.com/hernias-explained/〉(最終確認日:2020/7/16)6)VandenHeuvelB,etal:Issurgicalrepairofanas-ymptomaticgroinherniaappropriate?Areview.Hernia15:251-259,2011文 献1)TheHerniaSurgeGroup:Internationalguidelinesforgroinherniamanagement.Hernia22:1-165,2018おそらく多くの外科医が本特集号の各術式のなかで,鼠径部ヘルニア手術は最も容易な手術と考えられているであろう。感染対策・周術期管理においても,特別なことはないが,近年の短期滞在型医療の普及などに伴う変化が最も顕著に現われている分野でもある。自施設の麻酔法や主要術式などによる相違も多いことに注意せねばならないことを再確認しておきたい。おわりに
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